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症  例 症例:64 歳 男性 主訴:発熱 現病歴:H.17 2 20 より 39 度台発熱 市販小青竜湯acetaminophen した改善られないため2 28 日近医 受診LVFXPL 顆粒等処方された3 2 日呼吸苦出現3 5 日当院内科紹介れたCRP 18.8mg/dlWBC 19937/mm 3 炎症 反応上昇胸部 X-P 上浸潤影めたため肺炎診断入院した既往歴:虫垂炎 家族歴:特記すべきことなし アレルギー歴:特記すべきことなし 入院時現症:身長 165cm体重 42.9kg体温 38.6BP 108/62mmHgHR 110/min 呼吸 24/ min努力様呼吸眼球結膜黄染なし眼瞼結膜貧血なし心音心雑音なし肺音両肺野湿性雑音聴取腹部平坦かつ 圧痛なし下肢浮腫軽度あり皮疹節腫脹等なし神経学的異常所見らかななし好酸球性肺炎が先行した ANCA associated granulomatous GN の症例 吉 澤 雄 介 1 宮 城 盛 淳 1 高 橋 実 希 2 比 嘉 眞理子 2 山 室   渡 2 木 口 英 子 3 石 川 由起雄 4 酒 井   謙 5 水 入 苑 生 5 相 川   厚 5 1 済生会神奈川県病院 腎臓内科   2 同内科   3 同病理科 4 東邦大学 病理学教室   5 同腎臓学教室 Key WordChurg-strauss syudrome好酸球性肺炎acetaminophen - 45 - 第 45 回神奈川腎炎研究会

好酸球性肺炎が先行した ANCA associated …問題点 ①本症例はacetaminophenによりANCAが惹 起され,好酸球増多および血管炎を発症せしめ たと考えるべきか。もしくは薬剤による尿細管

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Page 1: 好酸球性肺炎が先行した ANCA associated …問題点 ①本症例はacetaminophenによりANCAが惹 起され,好酸球増多および血管炎を発症せしめ たと考えるべきか。もしくは薬剤による尿細管

症  例症例:64歳 男性主訴:発熱現病歴:H.17年2月20日より39度台の発熱を生じ,市販の小青竜湯とacetaminophenを内服した。改善が見られないため,2月28日近医を受診しLVFX,PL顆粒等を処方された。3月2日呼吸苦が出現し,3月5日当院内科に紹介された。CRP 18.8mg/dl,WBC 19937/mm3と炎症反応が上昇し,胸部X-P上浸潤影を認めたため,肺炎と診断し入院した。既往歴:虫垂炎家族歴:特記すべきことなしアレルギー歴:特記すべきことなし入院時現症:身長165cm,体重42.9kg,体温

38.6℃,BP 108/62mmHg,HR 110/min 整,呼吸数 24/ min・努力様呼吸,眼球結膜:黄染なし,眼瞼結膜:貧血なし,心音:純・心雑音なし,肺音:両肺野に湿性雑音聴取,腹部:平坦かつ軟,圧痛なし,下肢:浮腫軽度あり,皮疹・関節腫脹等なし,神経学的異常所見:明らかな異常なし。

好酸球性肺炎が先行したANCA associated granulomatous GNの症例

吉 澤 雄 介1  宮 城 盛 淳1  高 橋 実 希2

比 嘉 眞理子2  山 室   渡2  木 口 英 子3

石 川 由起雄4  酒 井   謙5  水 入 苑 生5

相 川   厚5

1済生会神奈川県病院 腎臓内科  2同内科  3同病理科4東邦大学 病理学教室  5同腎臓学教室

Key Word:Churg-strauss syudrome,好酸球性肺炎,acetaminophen

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末梢血液WBC 19370 /mm3

Ne 69.0 %

Ly 4.0 %

Mono 1.0 %

Eosino 26.0 %

RBC 458×104 /mm3

Hb 14.3 g/dl

Ht 42.3 %

Plt 47.0×104 /mm3

IgE RIST 399 U/ml

ANA (-)

抗DNA (-)

RA 2+

β‐Dグルカン <11.0 pg/ml

生化学Na /K /Cl 137/ 4.2/98 mEq/l

TP/Alb 6.6/2.0 g/dl

BUN/Cr 14.0/0.70 mg/dl

UA 2.3 mg/dl

T-Bil 0.4 mg/dl

AST/ALT 94/135 U/l

LDH 247 U/l

CK 18 U/l

ALP 2851 U/l

TC/TG 176/119 mg/dl

BS 98 mg/dl

HbA1c 6.4 %

CRP 18.8 mg/dl

TPHA/STS (-)/(-)

HBsAg (-)

HCV Ab (-)

MPO-ANCA 149.0 U/ml

PR-3ANCA 1.3 U/ml

CCr 101.5 ml/min

尿検査比重 1.015

PH 7.0

糖 (-)

蛋白 (-)

潜血 (-)

沈査 RBC 0-1/1F

WBC 0-1/1F

尿細管上皮 0-1/1F

表1.入院時検査所見

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問題点①本症例は acetaminophenにより ANCAが惹

起され,好酸球増多および血管炎を発症せしめたと考えるべきか。もしくは薬剤による尿細管間質性腎炎を発症し,granulomaを伴ったものとすべきか。②もし acetamoinophenによる尿細管間質性

腎炎を発症したとする場合,ANCAとの関連はどう説明するのか。組織学的に肉芽腫性病変として良いか否かの可否,及びその局在に関しても含めてご教示頂きたい。③血管外領域への好酸球浸潤が乏しい本症例

を CSSと診断して良いか,診断項目に含めてよいものか。④糖尿病と易感染性を有する本症例に対して

今後どのような免疫抑制療法を行うべきか。

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討  論 宮城 後半の司会をさせていただきます済生会神奈川県病院の宮城と申します。前半に引き続き闊達なご討論をスピーディーにお願いしたいと思います。 1題目ですが,さっそくいきたいと思います。「好酸球性肺炎が先行したANCA associated

granulomatous GNの症例」,済生会神奈川県病院の吉澤先生,お願いいたします。吉澤 では,よろしくお願いします。【スライド】症例は64歳の男性です。主訴は発熱です。現病歴ですが,平成17年2月20日より39℃台の発熱を生じ,市販の小青竜湯とac-

etaminophenを内服しました。改善がみられないため,2月28日,近医を受診し,クラビット®,PL顆粒®等を処方されました。3月2日,呼吸苦が出現し,3月5日,当院内科に紹介されました。CRPが18.8mg/dl,白血球が19,937/mm3

と炎症反応が上昇し,胸部レントゲン上,浸潤影を認めたため,肺炎と診断し入院しました。既往歴は虫垂炎,家族歴,アレルギー歴等は特記すべきことはありませんでした。【スライド】入院時現症ですが,血圧が

108/62mmHg,呼吸は努力様でした。呼吸音と軽度浮腫があった以外に特記すべきことはありませんでした。【スライド】採血上は炎症反応の高値,肝酵素の上昇および末梢好酸球数が5,036/mm3とeo-

sinophiliaを認めました。IgEも上昇し,その後行ったDLSTにてacetaminophenに陽性を示しました。なお,MPO-ANCAは149U/mlと上昇を認めましたが,尿所見,クレアチニンクリアランスなどは正常でした。【スライド】3月5日の初診時のレントゲンです。両肺野に強い浸潤影を認め,左胸水も認めます。CTでは両肺末梢優位にair-bronchogramを伴うconsolidationを認めます。左に軽度の胸水も認められます。【スライド】肺生検です。スライドの上2枚の

ように,肺生検では肺胞内を中心に好酸球主体の浸潤を認めました。好中球の浸潤は比較的軽度でした。肺胞内ではスライド左下のごとく,浸出物と炎症性細胞の浸潤,線維増生によって充満している肉芽形成様の部位も認められました。 また,スライド右下のように肺胞壁の肥厚を伴う部位も認め,新旧混在する好酸球性肺炎に合致する所見と考えられました。その後行った気管支洗浄液の好酸球上昇も認められ,好酸球性肺炎と診断しました。【スライド】入院時,細菌性肺炎も否定できないため,メロペネム,エリスロマイシンを投与しましたが,この時点で好酸球性肺炎が最も考えられたため,第2病日に気管支鏡を行い,第3病日からプレドニゾロン40mgを開始しました。その後,喀痰培養が陰性であったため,好酸球は中止しました。プレドニゾロン40mg

を開始して間もなく好酸球は減少し,肺炎像も消失し,退院しました。外来でのプレドニゾロン漸減中,5月11日に7.5mgとしたところでクレアチニン1.53mg/dl,蛋白尿3+,潜血±と腎機能の悪化を認めました。MPO-ANCAが54.0U/mlと陽性のままであったため,ステロイドを20mgまで増量しましたが,その後も改善が見られず,精査加療目的にて2回目の入院を7月11日にしました。【スライド】そのときの腎生検所見を示します。

HE染色弱拡大像ですが,スライドのように3

本の検体には合計54個の糸球体が観察され,うち3個は完全硬化でした。尿細管では広汎な間質細胞浸潤を認めました。【スライド】スライドのごとく,糸球体係蹄を取り囲むように肉芽腫性病変をきたした部位が6カ所に認められました。【スライド】ほかの残存糸球体では,スライドのごとくほぼ正常構造の部位も認められ,かかる糸球体の周辺の尿細管間質では肉芽形成および間質細胞浸潤は認めておりませんでした。【スライド】間質細胞浸潤をきたしている部位

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の強拡大像ですが,一部に好酸球の浸潤を認めるものの,リンパ球・形質細胞の浸潤が主体でした。【スライド】IFでは,IgMと IgAの沈着がcapil-

laryに±のみで,EMでもmesangium領域および内皮上皮下に高電子密度物質の沈着は認められませんでした。以上の結果から,ANCA関連の肉芽腫性腎炎と診断しました。【スライド】経過に戻ります。2回目の入院時,四肢末端のしびれ,および皮疹などを認めました。薬剤によるアレルギーが先行し,好酸球の増加,末梢神経障害,皮疹などを認めたことから,薬剤誘発性のChurg-Strauss syndrome

を含めたANCA関連の肉芽腫性腎炎と考えられました。そのため,初期治療としてプレドニゾロンを増量し,入院継続することを勧めました。しかし,本人の同意を得られず,プレドニゾロン20mgのまま7月14日に退院しました。 退院後もクレアチニン,蛋白尿とも変わらぬまま,8月19日,鬱血性心不全と細菌性肺炎を合併し,3回目の入院をしました。ループ利尿剤,メロペネム,エリスロマイシンを7日間投与して間もなく改善しましたが,クレアチニンが2.02mg/dlと上昇したため,9月11日,メチルプレドニゾロン1gを3日間投与し,40mg

を初期量として開始しました。開始時のMPO-

ANCAは2.8とカットオフ以下ではありましたが,結果クレアチニンは1.47mg/dlまで低下し,プレドニゾロンは40mgを2週間投与後,週5mgずつ減量してプレドニゾロン20mgで10月19日,退院しました。【スライド】現在の問題点です。まず多くの薬剤で血管炎発症との関連が報告されていますが,本症例もacetaminophenによりANCAが惹起され,好酸球増多および血管炎を発症せしめたと考えるべきなのか,もしくは薬剤による尿細管間質性腎炎を発症し,granulomaを伴ったものとすべきか。もしacetaminophenによる尿細管間質性腎炎を発症したとする場合,ANCA

との関連はどう説明するかという問題です。組

織学的に肉芽腫性病変としてよいか否かの可否,およびその局在に関しても含めてご教示いただきたいと思います。 次に本症例はChurg-Strauss syndromeと診断してよいかという問題です。90年のAmerican

College of Rheumatologyのcriteriaでは,診断項目7項目中4項目で確定診断できますが,本症例は好酸球増多症,神経障害,肺浸潤の3項目は満たすものの,血管外領域への好酸球浸潤は乏しいため,診断項目に含めてよいものでしょうか。 最後に糖尿病と易感染性を有する本症例に対して,今後どのような免疫抑制療法を行うべきか。以上につき,ご教示をお願いいたします。以上です。宮城 ありがとうございました。では,まず臨床的な面からの質疑応答をフロアからお願いいたします。何かございませんでしょうか。内輪で質問をするわけにもまいりませんので,ぜひお願いしたいのですけれど。お願いいたします。鎌田 私は臨床的にはChurg-Strauss症候群でいいのではないかと思いますけれど,病理の先生からぜひ組織のコメントをいただきたいと思います。 治療ですが,心不全を起こしたあとにANCA

抗体価が下がっているのに,なぜ強い治療をされたか理由を教えていただけますか。吉澤 その当時に感染症がしっかり抑えられたことと,クレアチニンが1.4mg/dl程度で推移していたところ一挙に2まで上がったものですから,それまでANCAに関してはしっかり抑えられているという自信はあったんですけれども,もう少し追加でやってみて,それで後療法としては40mg,そして早めに下げるという形でやってみました。免疫抑制が強かったかなと。鎌田 グラフを見るとプレドニン20mg/日投与でANCA抗体価は下がっています。そこで大量ステロイド投与を行うことは,私は非常に危険なことではないかと感じます。20mg/日のままでも,ANCA抗体価は下がってくれたのでは

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ないかと思います。もしおやりになるのだったらば,少量エンドキサン投与が良かったと思います。エンドキサン,25mg週1回投与でも効くと思います。そういう治療のほうが,よろしいかと思います。吉澤 その辺もぜひお聞きしたいところだったのですが,この方は腎症に関しては発症が5月で,7月に実際入院されるまでの2カ月間,どうしても入院をかたくなに固辞されていまして,その間のANCAの tighterがグラフで見ると下がってはいるように見えますが,30から40

のオーダーぐらいをうろうろしている状況で,どうも私としては初期治療が十分ではなかったのではないかということで,ずっと心にひっかかっておりまして。 いつかの機会で,まずしっかり60mgのリサイクルをするか,パルスをやるかと考えていたときに肺炎で入院されてきまして。そこでの最初のパルスうんぬんに関しては議論があるところだと思いますが,呼吸器のドクターと相談をしまして,あまり長い期間60mgぐらいでだらだらやられるよりは,1回パルスをやって,少し低めのプレドニンの維持量で早めの漸減をしたらどうかという結論に至って,ああいう治療を選択しました。宮城 重松先生,お願いいたします。重松 この方の最初のeosinophilがうんとあって起こってきた肺炎は,聞くところによるとacetaminophenに対するアレルギーで起こったと。今度,この方が3回目に入院されたときですね。そのときは臨床としてはむしろANCA

relatedの間質性肺炎として考えておられたのでしょうか。吉澤 いえ,それに対してはいわゆる細菌性肺炎として考えておりまして,実際に白血球の核も左方移動していて,抗生剤治療によってしっかり影もなくなったという状態です。いわゆるcompromised typeの肺炎でも,抗原由来の肺炎でもなく,菌の名前は忘れたのですが,一般細菌が同定されまして,一般の抗生物質で軽快す

るという経過でした。宮城 原先生,お願いします。原 かなり高齢の方にステロイドパルスだとか,エンドキサンとか,マニュアルがあって,その量を使用するのだと思うのですが。この辺で感染を起こさないためにはどうすればいいのかということで,例えば免疫グロブリンの量がどのように推移して,どれぐらいでクリティカルレベルになるとか,お教えいただければ。吉澤 経過中に IgGを測ったり,そういったことに関してはしていなかったと思います。原 臨床側としては今後そういう見方をやっていったほうがいいのかどうか,ほかの先生方のお考えもあると思いますが。高齢化してきて,こういった腎病変に対して積極的に治療をすることはすごく重要なことだろうと思います。ただ,どこで撤退するかということも重要と思います。クレアチニンが7以上だと,もう治療をしないほうがいいという指針が出たりもしているわけで。実際に治療をしていくときに,若い人と年寄りでは,同じdoseを使っても,その suppressの度合いは違うだろうと思うのですね。今後もし見ていかれたら,ぜひ教えていただきたいなと思います。宮城 私もぜひ教えていただきたいということ提示させていただいたのですが,厚生省の血管炎の治療に対する recommendationも,ご高齢の方だと1ランク下げた治療にしなさいという形では書いてあるので,私どもとしては維持量を遠慮して使って1ランク下げたつもりではいたのですが。特にこの方の場合,高齢以外の要因で免疫力が低下していることがありますので,その辺のところはある種,もう一歩突っ込んだガイドラインがあればなと,日々臨床では感じるので。この場ではなかなか難しいかもしれないのですが,ご意見があったらと思いますが。よろしくお願いします。鎌田先生,お願いします。鎌田 私どもは過去5年間,初期治療を40例ぐらいやっていますが,1例も死亡していません。

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それはどうやっているかというと,60歳代の患者を標準として500mgパルスを3日間やって,経口プレドニンは0.4mg/kg,腎機能は血清クレチニンの値が4を超えたらプレドニンを0.1mg/kg落とす。年齢は70歳を超えたら,またプレドニン投与量を0.1mg/kgを落とす。70

歳代でクレアチニンが6になる人がいますね。その場合には,経口プレドンは0.2mg/kgで治療します。いくらのステロイドでもないのですが,これで治ります。また,60歳以下の患者では10才毎に0.1mg/kgを増量します。 感染症については,血清 IgGが500mg以下になったら,どうしようかと考えます。私は移植例でそれを感じていたものですから血清 IgGは500mg/dlが感染症のcritical pointと考えています。それ以下の400mg/dlぐらいになったらイムノグロブリンを投与しますが,なるべく入れないようにしています。このような治療をしても,カリニ肺炎とCMV感染症はたくさん起こります。この病気ではたぶんステロイドを減らしても,カリニ肺炎とCMV感染症はなくすことはできないのだと思います。ですから,この病気ではステロイド療法とか,免疫抑制療法も大切ですが,カリニ肺炎とCMV感染症にどれだけ対策を練れるかということが,救命治療に至るポイントだろうと感じています。原 私自身も感染症をいかに早期発見して,早期治療するかだと思うのですが,感染を起こさないcritical levelを今後,探していくというか,そういう見方をしていくことはすごく大事ではないかなと感じておりますので。宮城 ありがとうございます。では,時間もあれですので,早速病理のコメントに移らせていただきたいと思います。では,重松先生からでよろしいでしょうか。重松 大変,臨床的にも興味ある例だし,病理の組織からも非常に難解ですけれど,示唆に富んだ症例だと思います。【スライド01】この標本が送られてきて一番驚いたのは,演者はここのところを出さなかった

のですが,ここにすごい血管の中に血栓だろうと思いますが,こういうものがドンと詰まっている,そういうbiopsyなのです。あとは間質病変,糸球体病変があるのですが。まず血管,糸球体から見ていきたいと思います。【スライド02】これは間質の病変が目立ちますが,話題になってくる肉芽腫性の腎炎と言えるような病変があるのです。【スライド03】これはどうも静脈らしいと思いましたが,静脈炎はあまりはっきりしないで,内腔に血栓ができているのですね。これは,この病態とどういう関係があるのかが,ちょっと気になります。【スライド04】Massonで染めますと,壁はfi-

brousで,非常に萎縮した平滑筋がちょっとある程度ですね。ですから,これは血栓ができて,そして静脈瘤のようにふくれあがった状態ではないかと思います。【スライド05】PAM染色で血栓の器質化が始まっていることがわかりました。ここのところを大きくします。【スライド06】静脈の壁から肉芽組織ができて,そして血管の血栓の器質化と再疎通が起こっています。 静脈の変化ですので,血管炎の仲間とは外したほうがいいだろうと見ています。【スライド07】あとの血管はちょっとグロテスクですが,はっきりした血管炎と言えるような変化はどうもないですね。こういうところの領域の糸球体はある程度,保持されています。【スライド08】ここもそうですね。ここも血腔はきちんと開いている。少し拡張気味の血管でおさまっています。【スライド09】ところが,だいたい20%の糸球体だと思いますが,非常に激しい,本当に糸球体の一部しか残っていないような肉芽腫性糸球体炎です。要するにmacrophageがいろいろな変態した細胞でできた,結節状の病変に変わってしまっている肉芽腫性糸球体腎炎があるということです。

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【スライド10】これは凝集した基底膜だと思いますが,そのまわりにすごい肉芽腫の形成があります。【スライド11】これもそうですね。類上皮細胞,

macrophageといったもので,肉芽腫結節になっている。【スライド12】それから,もう1つは糸球体のまん中ではなく,もっと血管のまわりというか,間質かもしれませんが,そういうところに肉芽腫ができている。それで二次的に糸球体が圧排されている。そういうでき方をしているところもあります。ここも,どうもそうらしいのですが。これは静脈ですね。ちょっと静脈炎があります。これは血管炎の表われかもしれません。【スライド13】そういうperiglomerularというか,そのあたりの肉芽腫自体は糸球体に起ったのとそう変わらない。【スライド14】同じところですね。少し染み込み病変のようなものが混じっております。【スライド15】これは静脈炎ですね。軽いものですが,静脈炎が起こっています。【スライド16】そういうところはPAM染色で染めますと,糸球体構造がほとんど壊されてしまって,肉芽腫で置換されている状態になっています。【スライド17】ここもそうですね。collapseした糸球体のそばに肉芽腫が大きくできあがっている状態です。【スライド18】それから,間質の病変ですが,演者もおっしゃいましたが,肺の組織を見せてもらったときはeosinophiliaが目立ったのですが,こちらのほうは単核の細胞が多いのです。特にエオジノが多いわけでもないし,こういう間質に肉芽腫と言えるようなものはどうもない。でも,血管あるいは糸球体に密接して,ああいう肉芽腫は起こっていて,そのほかのところは普通の tubulointerstitial nephritisのような形で病変が見られるということです。【スライド19】ここもそうです。少し変な血管だけれど,これを血管炎と言うことはできない

だろうと思います。【スライド20】同じところですね。これは血管周囲に肉芽腫みたいなものができたと思われるところを撮ったものです。【スライド21】電子顕微鏡の写真は,あまり肉芽腫形成にかかわる病変をつかむことができなかったのですが,虚脱した糸球体が出ていて,とにかくはっきりした immune depositは見られないということは言えると思います。【スライド22】これもそうですね。mesangium

にもdepositはない。基底膜の変化も強いことはないですね。【スライド23】ここはちょうどボーマン嚢の

capsuleですが,capsuleは保持されているところで,間質病変のひどいところは含まれていませんでした。 ということで,この症例で IFはあまり意味のある沈着はなかったということですが,この病変を考えるときには,演者がChurg-Strauss

症候群の診断としていいかどうかを問題とされていますが,むしろ私の見た範囲では糸球体,間質の肉芽腫病変はWegener肉芽腫症に近いと思います。病理でChurg-Strauss症候群の血管炎と糸球体病変は,あんなにすごい肉芽腫まで展開することはないわけではありませんが,Wegenerに比べるともっと弱い。それから,eo-

sinophilという特殊なものが浸潤細胞に加わっている。 それから,肺の病変自体も間質性肺炎というより,むしろ喘息様の発作が随伴して起こっているということで,肺の病巣の場も末梢よりむしろ気管支のほうにあるということで,Churg-Strauss症候群はあくまで臨床の概念ですが,病理組織学的に言うと,むしろこの病態はWegenerに近い。結局,この症例のきっかけはallergicの出現,アセトアミノフェンでしたか,そういうもので惹起された肺病変,血管病変でinitiateされて,それが二次的にANCA関連の自己抗体産生にかかわってきた。そして糸球体病変はWegenerに似たような肉芽腫性の腎炎に展

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開していったと。そのように私は考えました。以上です。山口 【スライド01】生検材料の弱拡大です。【スライド02】弱拡で見ると,これは動脈か,静脈なのか,重松先生は静脈と言ったのですが,私は動脈ととらえている。腎外静脈のときに鑑別が難しいように思います。それから,球状をなしているのは,静脈は球状を呈さないです。この症例は糸球体のボーマン嚢周囲から攻めてきて,肉芽腫様の病変が多発して見られ,広汎な tubulointerstitialな病変があると思います。【スライド03】糸球体 tuftはほとんど変化がありませんが,間質にびまん性の炎症細胞浸潤があって,尿細管間質病変が強い。ボーマン嚢の周囲に肉芽腫ができてくるのか。見ながら,非常に不思議に思っていた。【スライド04】tuftが破れている形跡はないです。ボーマン嚢上皮が残っていて,一部,上皮様,あるいは組織球系細胞がまとわりついて,基底膜が消失している。ボーマン嚢に対する免疫的な反応かなと感じもあるわけで。好酸球が少し出て,あとはリンパ球,形質細胞が主体だと思います。【スライド05】ボーマン嚢の基底膜が消失して,

epithelioidな肉芽腫,そのまわりに放射状に肉芽腫様病変ができてくる。それから,peritubu-

lar capillaritisもある。それから,尿細管炎もある。一部,THP蛋白が間質に漏れている。 肉芽腫性半月体性腎炎に入ると思います。granulomatous crescentic glomerulonephritisと思います。 糸球体の tuftが一部出て,肉芽腫性病変で大部分は糸球体がターゲットになっているのは間違いないです。 血管炎なのかどうか,フィブリン様物が一部出ていますので,血管も巻き込まれている。2

核の類上皮細胞が出て,多核の類上皮細胞の反応も見られている。まわりから押し寄せてcrescent様の肉芽腫様病変をつくっていると思います。好酸球がまばらにまわりに存在してま

す。【スライド06】尿細管炎が強く,Churg-Strauss

だと尿細管が壊れて,そこにgranulomatousな病変ができてくるので,ここはややgranuloma-

tousな印象です。interstitial granulomaと, tubular

な反応があります。【スライド07】この病変をどう見るか,今後の全身の血管炎とか問題になるわけで,静脈はこの辺で壁構造はないです。veuomuscular com-

plexで平滑筋の束が散在性にある。これは動脈炎と考えていいと思っています。出血のあとがあり,ヘモジデローシスが強く起こっています。間質性出血,腎実質性の出血で,広い意味での血栓です。Churg-Straussだと血管炎に好酸球が一緒にまとわりつくことが多いです。動脈瘤状に拡張していますので,もともとはそれほど大きくなかったのかもしれないです。【スライド08】電顕的には特に問題ないです。内皮下の拡大がある。granulomatous crescenticGNで,angitisと inter-

stitial granulomaが 加 わ り,acetaminophenで,Churg-Strauss syndromeを起こす文献が出ています。Churg-Straussでいいのではないか。おそらくdrug inducedかと考えます。以上です。宮城 どうもありがとうございました。では,ただいまのコメントも含めて,質疑応答をお願いします。periglomerularというか,糸球体周囲に限局した肉芽は,Wegenerのときにはしばしば見られるものでしょうか。重松 その場合,山口先生と私とgranulomaのでき方の考え方にちがいがあると思います。山口先生は,間質病変から二次的にglomerulusがやられて起こってくるというニュアンスが強いのですね。私のほうは,むしろ糸球体の中,あるいは入口に近いところの動脈系に肉芽腫性の変化が起こる。そういう考えです。ですから,Wegenerの肉芽腫症の発生論でも山口先生のように間質病変が最初であって,二次的に糸球体が侵されるという意見がまだ強いし,一方で血管炎に出てくるのだから動脈,あるいは糸球体

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血管が中心になって肉芽腫ができて,二次的に糸球体が壊される。そういう考え方があるのですね。たまたま2人のでき方のディスカッションが違っているわけですが,これを解決するのは1枚の一時点での生検標本だとわからないですね。動きがあるものですから。宮城 連続切片だとか,あるいは何か特染などでオリジンを同定するような方法論はございますでしょうか。山口 どうでしょう。なかなか難しい。granu-

lomatousでcrescenticなものは,血管にこだわらなくていいように思う。ただ,それがvasculitis

の広がりとして見るのか,どうかと思う。ボーマン嚢とボーマン嚢周囲は特殊な環境だとは以前から言われ,それがどのように免疫的な反応としてからんでくるのかは,よくわかりません。宮城 わかりました。ほかは特にございませんでしょうか。お願いいたします。岩崎 聖隷横浜病院の岩崎と申します。病理から離れるのですが,問題点の3の,いかなる免疫療法が妥当であるかということについて考えていたのですが。少し暴言に近いかもしれませんがANCA関連血管炎はステロイド投与量が多くても,少なくても,もしくは免疫抑制剤が多くても,少なくても,病態依存性に免疫不全の状態になるのではないかと思っています。 それはなぜかというと,我々は先ほど原先生のお話にあったように,免疫グロブリンをチェックしたり,リンパ球数などモニターして,免疫不全の状態にならないようにステロイドならびに免疫抑制剤をコントロールしております。例えば IgA腎症もANCA関連血管炎のグループも同じようにコントロールしてますが,その中で IgA腎症のグループはほとんど免疫不全にならないのです。ところが,ANCA関連血管炎のグループは,サイトメガロ感染症を起こしたり,帯状疱疹にもなったり,大腸菌の肺炎にまでなったり,いろいろな合併症を起こします。ではと思って少なめにやったとしても同じようになる。

 それで先ほど鎌田先生の発言をお聞きしまして,最後のほうにぽつりと,「これは少ない量でもなるんだよね」という話が先ほどあったかと思うのです。実際,私もそう思っていて,このように感じている先生がけっこういらっしゃるのではないかと思うので,ANCA関連血管炎と免疫不全との関係を鎌田先生にお伺いしたいなと思っております。宮城 では鎌田先生,お願いいたします。鎌田 ANCA関連血管炎の治療をやっている先生たちは皆同じように感じていると思います。この疾患は,ステロイドをあまり使わなくても日和見感染症が起こると皆さん感じているようです。私が腎臓学会で発表したときも,賛成してくれる方がたくさんいました。 最初の3カ月間の治療はまあまあ満足する成績を得ているものですから,今はその先の治療を考えています。ステロイドを減らしていきますと,半分ぐらいの人でANCA抗体価はまた上がってきます。ANCA抗体価が上がりますと,次に血清クレアチニン値が動きだします。そこをどうするかというのが,今の我々のテーマです。プレドニン量が5mgぐらいで再発する人もいるし,10mg,15mgという人もいます。エンドキサンの使い方がまた難しいのです。腎機能が低下すると血中濃度が上がります。腎機能を見ながら上手にエンドキサンを使い,ステロイド投与量をなるべく少なくして,感染を乗り切りたいというのが,私の考えているところです。宮城 ありがとうございました。小沢先生,お願いします。小沢 横須賀クリニックの小沢です。今,鎌田先生のご意見でステロイドが多すぎても,少なすぎても suppressionが起こってしまう。side ef-

fectの面ではそうであるけれども,effectの面ではどうでしょうか。というのも,この症例で言いますと,最初,好酸球性肺炎が起こった。ある程度のステロイドがいった段階で好酸球肺炎が治っていますよね。それでステロイドがいっているにもかかわらず,腎障害が起こってし

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まったということで。よりいっそうこの治療が難しいなと思ったのですが。鎌田 私も最初,こういう症例はステロイドを大量にいかなければいけないと信じてやっていたのです。ところが感染症で亡くなる例が起るのです。それで少しずつステロイドを減らしにかかった。プレドニン0.4mg/kgにくるまでには5年ぐらいかかっているわけです。プレドニン0.4mg/kgというのは,私は至適なdoseであろうと考えています。それは結果が非常によいからです。それと,感染症をどう乗り切るかということを十分に考えて頂きたい。ステロイド治療よりも感染症のほうに重点をおいて頂きたい。私は体温が37℃を少しでも超えたら,カリニ肺炎,CMV感染症,真菌症の検査を全部測かるように,指導しています。何の症状がなくても異常が検出されるので,治療をやるかやらないかと,苦しみます。現在は,臨床症状がなくても十分に治療をしています。臨床症状が出てからだと,治療は間に合わない例が多いですね。 それと,先生のご質問の慢性維持期の治療ですが適切な薬剤量は一人ひとりが違うと思います。その人は何ミリのステロイドが至適かというのはわからないので,困るわけです。慢性型のANCAの症例で,クレアチニン値が上がったら,ステロイドを増やします。すると,クレアチニン値が少しだけ下がる。ステロイドを減らすと,クレアチニン値が上がる例があります。慢性維持期では,一人ひとりの至適doseが違うのではないかと思います。宮城 ありがとうございました。では,原先生,お願いします。原 こういうANCA関連腎炎はある意味ではループス腎炎などと同じように systemicな病変だろうと思います。もちろんANCAの値を見ながら,doseを増やしたり,減らしたり。IgA

腎炎でのパルス療法とか,年齢的には少し違うのではないかと思うのですね。 時間が遅れていて申しわけないのですが,山

口先生が血管病変を出されましたね。これぐらいのレベルだと冠動脈レベルと同じだということを先ほどコメントでおっしゃっていらしたのですが,この方が途中で心不全の合併と書いてありますが,この心不全は虚血性心疾患というか,閉塞性の冠動脈狭窄によるもので血管炎に伴った心不全のような所見でしょうか。吉澤 最初に入院されたときの心電図変化は不完全右脚ブロックと軽度のPVCのみで,wall

motionは悪くなかったのですが。第3回目の心不全と肺炎を合併したときのwall motionはかなり落ちている所見があって,実はその状態でカテをやるかどうかということも迷ったのですが,ご本人とのお話で…。あとは腎臓に対して治療をしっかりやっている部分と,心不全がコントロールできたことがあったので,今はまた外来で検討する方向になっています。宮城 心カテを定期的にやりましょうということで,今,タイミングを見ている状況ですので。心不全の成因は,あのときかなりの溢水状態にあったということが主体であったのではないかと考えてはいるのですが。microangiopathyのようなものはあるかもしれないということは,考えながら見て,カテも,あるいは心筋生検も含めて考えてはいます。原 ぜひ御検討されて下さい。宮城 はい,わかりました。ある程度,戻っているはずです。細かな数値は忘れましたけれど。あとはよろしいでしょうか。治療面に関してはなかなか1つの議題では結論の出る話ではないと思いますので,その都度またサジェッションを重ねていただきたいと思います。では,この演題はこれで終わりにさせていただきたいと思います。 では,2題目のほうに。「興味ある IF所見を呈した抗核抗体強陽性MPO-ANCA関連腎炎の一例」,横須賀市立市民病院,小川先生,よろしくお願いいたします。

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