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情報ネットワーク(第3回)
渡辺 裕
即時式完全線群
即時式:あるサービスの窓口がふさがっている時に、客がそのまま待つことができないシステム。交換機において呼の要求による出線選択時、出線の全会話に遭遇した場合、その呼の接続動作を中止する方式。
完全線群:交換スイッチ回路網において、任意の入線から空いている任意の出線に常に接続できるような交換線群
呼量
呼び:コネクション型ネットワークで発生する接続要求。一つの呼びは、コネクション設定から解放までの間割り当てられたリンクやノードのネットワーク資源を保留する。
トラヒック量:トラヒックの大きさを表す。トラヒック量=呼数×平均保留
呼量:時間単位時間内に発生するトラヒック量呼量aを求める公式は、
呼量a=(トラフィック量)/(測定時間)=(呼数×平均保留時間)/測定時間=Ch/T(erl)
=(呼数(件/時)×平均保留時間(秒))/3600(秒/時)
C:ある期間T内に生起する呼の数h:平均保留時間
呼量の単位はアーラン[erl]
接続品質基準
接続品質とは、回線の全塞がりにより呼びが、呼損となる確率(呼損率)を示す。
接続品質基準:呼損率1%
年間を通しての接続品質基準を守るため、5日間の再繁忙時間帯の平均に対して、呼損率基準7%を設定する。
呼損率基準
トラヒック量回線数
呼損率導出のための仮定
•呼びの到着は、相互にも保留時間にも独立でランダム。•呼びの保留時間は、互いにも到着過程にも独立で指数分布に従う。
平均到着率:λ短い時間間隔の間に呼びが到着する確率:λΔt
保留時間分布:1/µh(t)=µexp(-µt)
呼量:aa=λ/µ
ランダム到着
ランダム到着する呼びの呼数はポアソン分布に従う。
!
f (x) ="t( )
x
x!e#"t
呼びの到着間隔分布:
時刻0に呼びが到着、時刻t~t+Δtに呼びが到着する確率:p(t)Δt
!
p(t)"t = #"tf (0) = #"t#t( )
0
0!e$#t
= #e$#t"t
確率密度関数:
!
p(t) = "e#"t
指数分布
•指数分布とマルコフ性• 指数分布は、マルコフ性があるので、数学的な展開がやさしく、解きやすい。
•マルコフ性• 今後起きることとは過去の経過は一切関係ない。• 例えば、呼びの保留時間が指数分布に従っている場合、開始してからT秒経っている呼びが、今後t秒以内に終了する確率にTは含まれない。つまり、今まで何秒経過していたか、ということ今後何秒後に完了するか、ということは無関係になる。
指数分布:
!
p(t) = µe"µt
平均:
!
1/µ分散:
!
1/µ
即時式回線群の状態変化
n-1 n n+1λΔtnµΔt
時刻tに 即時式完全線群(回線数N)に呼びが到着率λで到着する。 回線群はn個の呼び(0≦n≦N)が利用している。 全ての呼びの平均回線保留時間は1/µである。
時刻t+Δtに回線群を利用している呼びの数は; n-1に減少:確率nµΔt nのまま:確率 (1-nµΔt-λΔt) n+1に増加:確率λΔt
即時式回線群の状態方程式
0 1 n-1 n n+1 NλΔt λΔt λΔt λΔt λΔt λΔt λΔt
µΔt 2µΔt (n-1)µΔt nµΔt (n+1)µΔt (n+2)µΔt ΝµΔt
!
p(n,t +"t) = #"tp(n $1,t)+ (n+1)µ"tp(n+1,t)
+{1$ (# + nµ)"t}p(n,t)
!
p(n) = "#tp(n $1)+ (n+1)µ#tp(n+1)+{1$ (" + nµ)#t}p(n)
(" + nµ)p(n) = "p(n $1)+ (n+1)µp(n+1)
!
(a+ n)p(n) = ap(n "1)+ (n+1)p(n+1)
定常状態を仮定
a=λ/µ:加わる呼量
即時式回線群の状態方程式2
!
ap(0) = p(1)
M
(a + n "1)p(n "1) = ap(n " 2) + np(n +1)
(a + n)p(n) = ap(n "1) + (n +1)p(n +1)
(a + n +1)p(n +1) = ap(n) + (n + 2)p(n + 2)
M
Np(N) = ap(N "1)
!
p(n)i=1
N
" =1
方程式
正規化条件
即時式回線群の状態方程式3
!
ap(0) = p(1)
(a +1)p(1) = ap(0) + 2p(2)
(a + 2)p(2) = ap(1) + 3p(3)
(a + 3)p(3) = ap(2) + 4 p(4)
M
!
p(1) = ap(0)
p(2) =ap(1) + p(1) " ap(0)
2=ap(1)
2=a2p(0)
2
p(3) =ap(2) + 2p(2) " ap(1)
3=ap(2)
3=a2p(1)
3 # 2=a3p(0)
3 # 2
p(4) =ap(3) + 3p(3) " ap(2)
4=ap(3)
4=a4p(0)
4 # 3 # 2
M
p(N) =aNp(0)
N!
正規化条件から
!
p(n) =an/n!
ai/i!
i= 0
N
"
即時式回線群の呼損率
呼損率:回線の全塞がりにより呼びが、呼損となる確率(呼損率)を示す。
p(N)は、回線が全塞がりとなる確率を示す。ポアソン到着の過程から、呼びの到着は、回線の状態と独立となる。
p(N)が、呼損率となる。
即時式回線群の呼損率
呼損率:新たに生起した呼びが、回線全塞に遭遇する確率=p(N)これをアーランのB式:E(N, a)と記述する。
!
p(N ) = E(N ,a) =aN/N!
ai/ i!
i=0
N
"
アーランのB式の計算法
!
E(0,a) =1
!
1
E(n,a)=
ai/ i!
i=0
n
"
an/n!
=
ai/ i!
i=0
n#1
" + an /n!
an#1/(n #1)!{ } $ a /n{ }
=n
E(n #1,a) $a+1
!
E(n,a) =E(n "1,a) #a
n+E(n "1,a) #a
アーランのB式の計算例
!
!"
!""
!"""
! !" !""
!
!"
!""
!"""
! !" !""
!
!"
!""
!"""
! !" !""
!
!"
!""
!"""
! !" !""
a
N
E(N,a)=0.001
a
N
E(N,a)=0.01
a
N
E(N,a)=0.03
a
N
E(N,a)=0.1
アーランのB式の応用ビジネスフォン用回線数
ある企業では、現在ビジネスフォンを利用している。調査の結果、社員一人当たり最繁時1時間に平均通話回数は3回、平均通話時間は5分であった。現在社員数5人で3回線を使っているが、新規採用で新たに5人の社員を採用した。
現在の接続品質を維持する場合、何回線の増設が必要か?
外線3回線
現在の社員新規採用
入社
アーランのB式の応用ビジネスフォン用回線の増設数
現在の接続品質(呼損率) 社員数5人が平均通話回数は3回、平均通話時間は5分であるから回線(外線)に加わる呼量は;
a=5人*3回*5分/60分erl=1.25erl 3回線の場合の接続品質は、E(3, 1.25)=0.097社員数が10人に増加すると回線(外線)に加わる呼量は2倍(2.5erl)になる。2.5erlが回線に加わった場合の呼損率は下表のとおりとなる。したがって、接続品質9.7%以下にするためには5回線必要で2回線の増設が必要となる。
!"# $%&
1 71.4%
2 47.2%
3 28.2%
4 15.0%
5 7.0%
6 2.8%
7 1.0%
8 0.3%
アーランのB式の応用共用計算機用予備PC
共用計算機室のPCの故障に対応して予備のLap Top PCを準備する事とした。PCの不稼働時間が1台あたり年間平均10時間の場合、1000台に対して何台の予備のLap Top PCを準備すれば、 PCの故障時に予備のLap Top PCが全て使用中となる確率を1/10000以下に出来るか?PCの故障は、ランダムに起こり、故障の長さは指数分布で表わされるとする。
PC: 1,000台 Lap Top PC: n台交換
故障
アーランのB式の応用共用計算機用予備PCの必要数
PCの不稼働時間が1台あたり年間平均10時間で、1000台のPCが有るから予備のLap Top群の需要は;a=10000/(24*365)erl=1.142erlアーランのB式から呼損率は下表となる。これから8台のLap Topを準備する必要が有る事が分かる。
Lap T o p!"# $%&
1 53.3%
2 23.3%
3 8.15%
4 2.27%
5 0.516%
6 0.0982%
7 0.0160%
8 0.00228%
9 0.000290%
10 0.0000331%