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1 FTAEPAの概要とその活用方法 日本貿易振興機構(ジェトロ) 海外調査部アジア大洋州課 2015年6月 Copyright © 2015 JETRO. All rights reserved. 禁無断転載

FTA EPAの概要とその活用方法 - ASEAN...EPAでは、更にヒト、カネの移動の自由化や知的財産、競争政策などの柱が含まれる。 1-1. FTA・EPAとは何か

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1

FTA・EPAの概要とその活用方法

日本貿易振興機構(ジェトロ)

海外調査部アジア大洋州課

2015年6月

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本日お話しする内容

1.FTA/EPAとは何か

2.ASEAN経済共同体(AEC)とその進展

3.EPAの活用方法

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(写真)開発が進むカンボジア中心地(プノンペン、14年10月撮影)

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(写真)ミャンマーで開催されたASEAN経済大臣関連会合(ネピドー、14年8月撮影)

1.FTA/EPAとは何か

2.ASEAN経済共同体(AEC)とその進展

3.EPAの活用方法

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FTA (Free Trade Agreement: 自由貿易協定)、EPA(Economic Partnership Agreement: 経済連携協定) いずれも物品貿易の自由化、投資分野、サービス貿易分野の自由化を柱とする。

EPAでは、更にヒト、カネの移動の自由化や知的財産、競争政策などの柱が含まれる。

1-1. FTA・EPAとは何か

•経済連携協定(EPA・・Economic Partnership Agreement)

•自由貿易協定(FTA・・Free Trade Agreement)

FTAを柱に、ヒト、モノ、カネの移動の自由化、円滑化を図り、幅広い経済関係の強化を図る協定

EPA

特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃する協定

FTA

投資規制撤廃

人的交流の拡大

各分野の協力

知的財産制度、競争政策の調和

物品の関税を削減・撤廃

サービス貿易の 障壁等を削減撤廃

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1-2. FTA・EPAの具体的メリット(物品貿易)

MFN=20%

$100 $120

日本

A国

B国

C国

フィリピン

各国では自国産業保護等、様々な理由で輸入関税を設定。

WTO上、国ごとに輸入関税率を恣意的に変更することは認められておらず、「最恵国税率」(MFN税率)が一律に適用される。

ただし、FTA/EPAでは、2国間・多国間でMFN税率より低い税率を定めることが認められており、それら協定を持っている国・地域間で有利な条件で貿易を行うことが出来る。

MFN=20%

$100 $120

日本

A国

B国

C国

フィリピン

$100

EPA税率=0%

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1-3. FTA・EPAの利用率(日系企業)

既存(発効済)のFTA・EPAの活用の有無 (輸出入をしている企業のみ)

3.3 25.5

29.4 33.5

35.9 38.1

42.5 45.5 47.2 48.3

52.1 54.6

59.5 64.1

0 10 20 30 40 50 60 70

通信・ソフトウェア(n=30)

建設(n=51)

運輸(n=51)

電気機械器具(n=290)

精密機械器具(n=53)

鉄・非鉄・金属(n=226)

一般機械器具(n=113)

木材・パルプ(n=22)

ゴム・皮革(n=36)

卸売・小売(n=650)

食料品(n=94)

化学・医薬(n=216)

輸送機械器具(n=294)

繊維(n=64)

16.2

16.7

24.5

27.8

31.3

32.0

36.0

37.9

41.4

47.5

48.9

53.7

54.1

58.2

66.7

0 20 40 60 80

香港マカオ(n=99)

ミャンマー(n=12)

台湾(n=53)

カンボジア(n=18)

中国(n=329)

フィリピン(n=100)

ベトナム(n=289)

オーストラリア(n=95)

シンガポール(n=198)

インド(n=255)

マレーシア(n=178)

タイ(n=415)

ニュージーランド(n=37)

インドネシア(n=306)

韓国(n=87)

(%) (%)

活用率の比較 2013年→2014年(輸出・輸入)

FTA・EPA活用率(全体、企業規模別、業種別) FTA・EPA活用率(国・地域別)

在ASEAN日系企業のFTA・EPA活用率の推移

19.3 23.0

29.7

40.3 43.8 40.7 40.4 42.6

16.7 19.7

24.1

35.0 37.2 38.9 40.4 42.4

0

10

20

30

40

50

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

輸出 輸入

36.6 47.6

43.7

0 10 20 30 40 50 60

中小企業(n=889)

大企業(n=1,610)

総数(n=2,499)

(%)

(注)n≧10の国・地域

35.4

37.9

0 10 20 30 40 50

2013年

(n=1,834)

2014年

(n=1,800)

活用中

(%)

<輸出>

39.6

42.1

0 10 20 30 40 50

2013年

(n=1,945)

2014年

(n=1,945)

活用中

(%)

<輸入>

(%)

貿易を行っている在アジア・オセアニア日系企業のうち、FTA・EPAを活用している企業の割合は43.7%となった。

FTA・EPAの活用率は中小企業(36.6%)

に比べ、大企業(47.6%)が高い。

フィリピンに関しては、上記割合は32.0%。

他方、フィリピンに進出する企業の多くはフィリピン経済区庁(PEZA)の投資恩典を受けているため、利用率は他のASEAN

諸国に比べてやや低くなっている。

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1-4. フィリピンで使うFTA・EPA

②日ASEAN包括経済連携 (2018/2026)

2005年7月

2008年12月

④中国・ASEAN FTA (2010/2015)

関税撤廃年 (先進ASEAN/ 後発国)

③ASEAN自由貿易地域(AFTA) (2010/2015)

フィリピンの貿易相手国上位は、日本、中国、米国でほぼ均衡。

それらの国・地域と結んでいるFTA/EPAは以下の通り。日本については、二国間(日・フィリピン経済連携協定)、多国間(日ASEAN包括経済連携)の2種類があり、より有利なものを各社が選択。

①日フィリピンEPA (2018)

2008年12月

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48.7

66.2

55.1

54.8

51.8

49.1

49.0

48.2

43.1

41.7

41.1

40.7

35.3

33.2

28.4

18.1

8.9

7.9

30.4

26.7

16.1

29.4

33.5

35.8

15.5

28.8

32.4

7.1

30.6

33.9

31.6

35.1

43.9

33.0

38.5

37.5

7.0

2.5

0.9

3.8

1.9

3.5

8.0

9.9

10.3

13.7

12.8

11.4

15.9

10.8

8.8

3.7

17.3

20.3

6.2

1.1

5.2

6.4

5.8

8.7

6.0

5.6

28.2

5.8

7.4

3.4

12.5

6.9

31.2

24.4

23.5

7.7

4.7

26.7

6.8

6.4

5.9

18.8

7.1

8.7

9.3

9.8

6.6

13.8

8.5

12.0

14.1

10.9

10.9

総数(n=2,205)

中国(n=561)

ニュージーランド(n=28)

タイ(n=348)

台湾(n=43)

韓国(n=85)

オーストラリア(n=45)

インド(n=177)

インドネシア(n=264)

バングラデシュ(n=21)

シンガポール(n=43)

マレーシア(n=147)

パキスタン(n=10)

ベトナム(n=268)

フィリピン(n=83)

香港・マカオ(n=39)

カンボジア(n=17)

スリランカ(n=13)

現地 日本 ASEAN 中国 その他 図 進出日系企業の原材料・部品の調達先の内訳

(出所)在アジア・オセアニア日系企業実態調査(2014年度)(ジェトロ)

圧倒的に現地調達率が高いのは中国。

ASEANではASEAN域内での原材料・部品の調達も一定程度進展。フィリピンの現地調達率は28.4%に過ぎない。43.9%の部材が日本から、8.8%の部材がASEANから、また6.9%の部材が中国から、それぞれ調達されており、日本からの調達比率がASEAN諸国の中で最も高くなっている。

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1-5. 進出企業の調達状況

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1-5. 進出企業の輸出状況

43.9

74.3

69.1

66.3

59.8

58.3

57.3

44.1

42.6

40.5

39.8

36.1

34.7

32.3

31.7

31.2

25.3

13.8

22.4

14.2

7.7

11.3

10.0

19.7

15.3

3.4

27.1

13.0

31.4

11.7

5.9

18.8

17.0

41.2

19.5

56.7

6.2

5.1

2.7

4.2

3.8

7.2

4.2

5.4

23.3

5.2

1.9

28.5

7.1

34.3

4.7

1.4

2.7

1.8

5.4

3.0

1.2

1.0

4.6

5.1

5.6

7.7

5.0

6.7

3.1

4.3

11.7

4.4

6.2

3.5

5.7

5.3

4.5

3.6

1.0

4.1

8.6

3.6

4.2

3.4

3.1

2.9

5.2

12.1

4.6

4.8

1.0

6.0

4.4

3.1

2.6

3.6

16.9

10.5

12.9

17.6

9.1

13.6

39.3

14.8

17.0

11.4

16.7

48.9

35.3

12.5

12.0

14.3

15.8

総数(n=2,816)

カンボジア(n=18)

ミャンマー(n=11)

バングラデシュ(n=24)

中国(n=624)

ベトナム(n=316)

フィリピン(n=99)

ニュージーランド(n=49)

インドネシア(n=251)

スリランカ(n=11)

タイ(n=444)

韓国(n=123)

オーストラリア(n=108)

インド(n=160)

香港マカオ(n=135)

マレーシア(n=167)

台湾(n=61)

シンガポール(n=200)

日本 ASEAN 中国 インド 米国 欧州 その他

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

(%) (注)n≧10の国・地域

進出日系企業の輸出先の内訳は日本の構成比が平均43.9%で最大となり、次いでASEANが22.4%となった。

2013年調査(n=2,768)から輸出先としての主要国・地域の構成比に大きな変化はない。日本は0.2ポイント増、ASEANは0.6ポイント減、中国は0.1ポイント減と、いずれも1%未満の増減にとどまった。

フィリピンは、日本への輸出割合が高いのが特徴的。ASEANへの輸出割合はASEAN5の中で最低。

図 進出日系企業の輸出先の内訳

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(写真)ミャンマーで開催されたASEAN経済大臣関連会合(ネピドー、14年8月撮影)

1.FTA/EPAとは何か

2.ASEAN経済共同体(AEC)とその進展

3.EPAの活用方法

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ASEANは2015年末までに、ASEAN経済共同体(AEC)設立を目指す。

AECはEUと異なり、各国で主権は保った形で貿易・投資・サービス・人の移動の自由化を図るもの。日本が締結している経済連携協定(EPA)に近い。

EU AEC EPA FTA

関税撤廃 〇 〇 〇 〇 非関税障壁撤廃 〇 〇 △ △ 共通域外関税 〇 × × ×

サービス貿易自由化 〇 △ △ ×

規格相互承認 〇 △ △ × 貿易円滑化 〇 〇 〇 △ 投資自由化 〇 〇 △ × 人の移動 〇 △ △ × 知的所有権保護 〇 〇 〇 × 政府調達開放 〇 × △ × 競争政策 〇 △ △ × 域内協力 〇 〇 〇 × 共通通貨 〇 × × ×

表 AECの対象分野 表2 AECブループリントの構成

A1. モノの自由な移動

A2. サービスの自由な移動

A3. 投資の自由な移動

A4. 資本のより自由な移動

A5. 熟練労働者の自由な移動

A6. 優先統合分野

A7. 食品・農業・林業

A. 単一市場・生産拠点

B. 競争力のある経済地域

B1. 競争政策

B2. 消費者保護

B3. 知的財産権

B4. インフラ開発

B5. 税制

B6. 電子商取引

C. ASEAN統合イニシアティブ(IAI)

D1. 首尾一貫した外部経済関係

D2. グローバル供給ネットワークへの参加の強化

D. 国際経済への統合

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2-1. ASEAN経済共同体とは何か

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ASEAN物品貿易協定

(ASEAN Trade in Goods Agreement, ATIGA)

ASEAN包括投資協定 (ASEAN Comprehensive Investment Agreement, ACIA)

ASEANサービス枠組み協定 (ASEAN Framework Agreement on Services, AFAS)

AECのFTA的要素(物品貿易、投資、サービス貿易)についてはそれぞれ協定の下で自由化が進む。

サービス貿易については、現在の枠組み協定からより包括的な内容の協定に移行する見込み。

共通効果特恵関税

(CEPT)

ASEANサービス貿易協定

(ASEAN Trade in Service Agreement, ATISA)

2009年2月26日署名

2009年2月26日署名/2014年8月改定議定書署名

2015年内に移行? 1995年12月15日署名/2003年9月2日修正議定書採択

サービス貿易分野の「自由化」及び「相互認証」を規定。

ポジティブリスト(約束表)形式

2003年の修正議定書では、2カ国以上の加盟国で先行して交渉し、合意することが出来る(「ASEAN-X」方式)ことを明記。

現在第8パッケージまで合意。2015年8月の経済大臣会合で、第10パッケージの合意を目指す。

ASEAN投資地域 (ASEAN Investment Area, AIA)

ASEAN投資保護促進協定 (ASEAN Investment Guarantee Agreement, AIGA)

投資分野の「保護」を規定。

投資分野の「自由化」「促進」を規定。

ネガティブリスト(留保表)形式

1987年署名/1996年改定議定書署名

1998年署名

投資分野の「保護」「自由化」「円滑化」を規定。

AIAに比べ、紛争解決についての詳細な規定が置かれている。またパフォーマンス要求を禁止。

ネガティブリスト(留保表)形式

昨年8月の改定議定書では、AECブループリントに沿った留保の低減・削除を各国に義務付け。

2-1. ASEAN経済共同体とは何か(続き)

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2-2. 進むASEAN域内の関税撤廃

(注1)「その他」ではAFTA特恵関税が示されていないもの(対象品目は国によって異なるが、概ね武器、アルコールなどが対象)。5%以上の品目は、一般的除外品目(GEL)、センシティブ品目(SL)、高度センシティブ品目(HSL)から関税削減・撤廃品目(IL)に組み込まれたばかりのもの。

(注2)AHTN2012バージョン(HS8ケタレベル) [資料]ASEAN事務局資料(2014年11月)からJETRO作成。

国名

品目数 総品目数に対する割合(%)

0% 0%<

その他 総数 0% 0%<

その他 ≦5% 5%< ≦5% 5%<

ブルネイ 9,844 0 0 0 72 9,916 99.27 0.00 0.00 0.00 0.73

インドネシア 9,899 17 0 17 96 10,012 98.87 0.17 0.00 0.17 0.96

マレーシア 12,182 73 60 13 82 12,337 98.74 0.59 0.49 0.11 0.66

フィリピン 9,685 109 74 35 27 9,821 98.62 1.11 0.75 0.36 0.27

シンガポール 9,558 0 0 0 0 9,558 100.00 0.00 0.00 0.00 0.00

タイ 9,544 14 14 0 0 9,558 99.85 0.00 0.15 0.00 0.00

ASEAN 6 60,712 213 148 65 277 61,202 99.20 0.35 0.24 0.11 0.45

カンボジア 5,700 3,858 3,706 152 0 9,558 91.48 7.79 (n.a.) (n.a.) 0.00

ラオス 7,525 1,946 1,585 361 87 9,558 89.32 9.77 (n.a.) (n.a.) 0.91

ミャンマー 7,614 1,882 1,882 0 62 9,558 92.56 6.91 (n.a.) (n.a.) 0.53

ベトナム 6,905 2,463 2,365 98 190 9,558 90.02 7.92 (n.a.) (n.a.) 2.07

CLMV 27,744 10,149 9,540 611 339 38,232 90.85 8.10 (n.a.) (n.a.) 1.06

ASEAN 10 88,456 10,362 9,688 676 616 99,434 95.99 3.33 (n.a.) (n.a.) 0.69

表:AFTAによる各国の関税撤廃および引き下げ状況(品目数および総品目に占める割合)2015年1月末時点

後発加盟国(CLMV)は、2015年1月1日に関税撤廃・削減品目(IL)の関税を撤廃。しかし、総品目数の7%を上限に、2018 年まで関税撤廃期間の猶予が与えられている。

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14

中国 韓国 日本

豪州・NZ

インド

<インド・ASEAN FTA> (2013/2018)

*フィリピンは2018年

<韓国・ASEAN FTA> (2010/2018)

* 2016 in Viet Nam

<日ASEAN包括経済連携> (2018/2026)

2005年7月

2007年6月

2008年12月

2010年1月発効

2010年1月

<中国・ASEAN FTA> (2010/2015)

<豪NZ・ASEAN FTA> (2020/2025)

関税撤廃年 (先進ASEAN/ 後発国)

<AEC> (2010/2015)

<RCEP> (交渉中)

ASEANと周辺国との間のASEAN+1 FTAネットワークは事実上完成。FTAの運用上の問題はあるものの、モノの移動はASEAN+6諸国間で円滑になりつつある。

原産地規則の調和、地域大での調達・生産を可能にするような累積規定の導入など、東アジア包括的経済連携(RCEP)に対する期待が高まっている。

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2-3. ASEANを取り巻くFTAネットワーク

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通関手続きの煩雑さや法制度整備の遅れにより、モノの移動の自由化が阻害されている。

「関税障壁」の撤廃が進む一方、それ以外の「非関税障壁」を設けようとする動きが一部の国で見られる。

サービス産業分野の自由化は限定的で、マーケット参入機会が損なわれている(例外はシンガポールとカンボジア)。

1.通関手続き、法規則の未達、原産地規則の混在等がモノの移動の自由化を阻害

ASEAN域内でFTAによる関税撤廃が進展する一方、煩雑な通関手続きや、通達・規則の周知徹底の不備、また複数の原産地規則の混在による労力・コストの増大などが、自由化の阻害要因として、関税よりも大きな課題として指摘される。

2.非関税障壁は「可視化」が進展するも、2015年までの撤廃は非現実的

非関税障壁の撤廃に向けては、ATIGAのもとで撤廃期限が合意され、ASEAN事務局を中心に取り組みが進められているが、実際の措置実施は国内法や通達によるため、当初設定した目標期限に沿った運用とはなっていない。新たな障壁を導入する場合の報告義務なども設定されているが、一部の国で、関税削減に反比例する形で、強制規格(鉄鋼製品等)導入やアンチ・ダンピング措置の発動を増加させている例もある。

3.サービス自由化は(現時点では)限定的

サービス分野の自由化に関しては、これまでのところAECのイニシアチブが各国の実質的な規制緩和には結びついていない。業務拠点の設置(投資)については、2015年末を期限に、ASEAN資本企業に対する外資70%までの開放という目標を掲げるが、運用は各国によって異なり、「ASEAN資本」の定義も明確ではない。自由化が必要なサブ・セクターのカウント方法の問題により、「見せかけの自由化」が進展しており、国によって格差・不平等感も生じているため、この是正が必要。

4.熟練労働者の移動自由化はほぼ手つかず

AECのもとでは、熟練労働者の移動の自由化が目標に掲げられるが、「査証および労働許可証の発給促進」と明記されるのみで、実際の運用は各国に委ねられ、ほぼ手つかずの状況となっている。また、ASEAN域内では、エンジニアリング・サービスや、建築、会計など8つの資格分野で、資格の「相互認証協定(MRA)」が締結されているが、いずれも発効していない。

サービス貿易分野の自由化、非関税障壁の撤廃が今後の課題

2-4. 今後の経済統合に向けた課題

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1.FTA/EPAとは何か

2.ASEAN経済共同体(AEC)とその進展

3.EPAの活用方法

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

メリットの確認

FTA/EPAの利用

3-1. FTA/EPAを用いる際のステップ

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

全ての貿易品目は、「HSコード」という世界共通の番号に区分されている。

HS 87.03.21 類 項 号

車両ならびにその部分品 乗用自動車その他の自動車 1000CC以下のもの

=「1000CC以下の乗用車」

HSコードは、輸出入業者、もしくは相手国税関に問い合わせることで確認可能。

★取り扱い品目の関税分類番号の特定(HS Codeの特定は輸入国税関が行う) (1)日本から輸出の場合: ① 輸出取引の場合、 ①-1.輸入締約国へ当該対象産品を初めて輸出する場合、輸入者を通じて輸入国税関に文書による関税率分類の事前教示 (Advance Rulings of Tariff Classification)を利用してHS Codeの特定をする ①-2.輸入締約国へ当該対象産品を過去輸出した事があれば、輸入国税関が承認したその対象産品の輸入許可書上のHS Code で特定された事になる。 ② 過去に輸出実績があれば許可された輸出許可書に記載されている統計品目番号を調べる ③ 近隣の税関に問い合わせる 「関税分類(税番)や関税率などについての照会」 http://www.customs.go.jp/question2.htm 「事前教示制度(品目分類関係)」 http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/index.htm#a 「事前教示回答(品目分類)の公開について」 http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1203_jr.htm 「輸入貨物の品目分類事例」 http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/bunruijirei/bunruijirei_index.htm ④ 税関の「関税率表解説・分類例規」で調べてみる http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/index.htm (2)日本への輸入の場合: ① 品目分類の事前教示制度照会書に対する回答書よる特定 http://www.customs.go.jp/zeikan/seido/index.htm#a ② 過去に輸入実績があれば許可された輸入許可書に記載されているHS Codeを調べる ③ (1)‐③、④に同じ 註)A.輸入締約国の税関と輸出締約国税関の関税分類判断が異なる場合は、輸入締約国税関の判断が優先する。従って、(1)‐②、③、④、 (2)‐③を利用する場合は、輸入国税関特定のHS Codeと異なる事があることがあり得る。(品目分類の事前教示は文書によらない 電話やメールによる問い合わせの場合も同様) B.④の税関の「関税率表解説・分類例規」で調べた後は、③の「関税分類(税番)や関税率などについての照会」で確認する事をお勧めする

① 関税番号の確認

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

②優遇税率の確認(関税引き下げの種類) EPAの関税率については、大きく①EPAが発効と同時に撤廃される品目(「即時撤廃」)、②毎年徐々に引き下げが行われる品目(「段階的撤廃」)、③EPAの関税撤廃スケジュールの対象外のもの(「除外品目」)に区分される。

関税がどのようなスケジュールで引き下げられるかは、「譲許表」で確認する。

①即時撤廃

②段階的撤廃

③除外

発効日

(2008.12)

5%

4%

3%

2%

1%

0%

2009 4/1 2010 4/1 2011 4/1 2012 4/1

実行関税率表

World Tariff

(次ページ)

譲許表

(P24)

<例:日フィリピンEPA>

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用 MFN税率 EPA税率

(日比) EPA税率

(日ASEAN)

②優遇税率の確認(日本への輸出) HSコードを特定した後、当該コードで輸入国側がFTA/EPA上の優遇税率を設定しているか確認。

<日本へ輸出する場合=「実行関税率表」を確認>

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

HSコードを特定した後、当該コードで輸入国側がFTA/EPA上の優遇税率を設定しているか確認。ただしWorld Tariffは日本在住の方のみ利用が可能である点に留意。

<フィリピンに輸入する場合=World Tariffで確認>

②優遇税率の確認(フィリピンへの輸入)

http://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/

①上記サイトにアクセス。初めて利用する方はユーザー登録を行う。

①ユーザー登録後、「登録ユーザーの方」からログイン画面に進み、登録されたID、パスワードを入力。

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HSコードをクリックすると原産国ごとに最も低い税率が調べられる

譲許スケジュール

品目別原産地規則

③国名、品目(HSコード)を選択し、「Submit」をクリック。 ④MFN税率と特恵税率の低い方が表示される。

②優遇税率の確認(続き)

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②優遇税率の確認(日比EPAの構成と譲許表)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/philippines/jyobun.html

出所:外務省ウェブサイト

日本側譲許表

フィリピン側譲許表 Annex 1の278頁以降

品目別原産地規則 協定全文

関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

協定書は、本文と付属書で構成される。日比EPAの場合、附属書1で譲許表が定められており、和文で日本に輸出する際の関税削減スケジュールが、英文でフィリピンに輸出する際の関税撤廃スケジュールが、それぞれ記載されている。

<協定文の内容=外務省ウェブサイトで確認>

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②優遇税率の確認(譲許表の構成)

http://www.mofa.go.jp/region/asia-paci/philippine/epa0609/annex1.pdf

関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

譲許表では、HSコードごとに基準になる税率(第3欄)、関税撤廃スケジュール(第4

欄)、注釈(第5欄)が記載されている。

「A」は「即時撤廃」を、「Bn」はn+1年での「段階的撤廃」を、「X」は「除外」を表す。

<フィリピン側譲許表の内容=「英文テキスト」のAnnex 1で確認>

当該品目のHSコード(上6桁は国際共通) 基準税率 必ずしもMFN税率に一致しない 必ず最新のMFN税率も確認する

日本語の品目名は例えば http://www.customs.go.jp/yusyutu/2015/ (輸出統計品目表)

撤廃までの スケジュール

注釈

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

③原産地規則の確認(原産地規則の種類) FTA/EPAは、特定の国・地域の間だけでの取り決めであり、「その国が原産であるもの」 のみが特恵関税を享受することが出来る。

その原産性を判断するための規則が「原産地規則」。以下の3つに大きく分類可能。

① その国の領域で採れたもの(完全生産品=Wholly Obtained=WO) ② その国の原産材料のみから生産されたもの(Produced Entirely=PE) ③ 非原産材料を使って「その国の中で生産されたと見なせるもの」

このうち③については、「実質的にその国で変更が加えられた」ことを示す必要がある。

収穫した小麦

<WO> ・その国で得られた動植物

・その国で採掘された地下資源等

<PE> ・その国で得られたもののみで生産されているもの

収穫した小麦 小麦粉

育てた鶏 鶏肉

から揚げ

収穫した小麦 小麦粉

育てた鶏 鶏肉

から揚げ

<???>

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

③原産地規則の確認(「実質的変更」の考え方) 日フィリピンEPAでは、「実質的変更」の基準として以下3つがあげられている。

(1)その国で十分な付加価値が付いているか(「付加価値基準」=VA) (2)その国で「質的に大きな変更」が行われているか(「関税分類変更基準」=CTC) (3)その国で「重要な製造工程」が行われているか(「加工工程基準」=SP)

原産地規則は、「一般規則」と「品目別規則」に分かれているが、日フィリピンEPAでは「一般規則」に相当する条項がなく、全てそれぞれの「品目別規則」に従って原産地規則を確認する。

基本的に、上記(1)~(3)のいずれかを満たせば原産性が認められる(Or基準)。ただし中ASEAN FTAにはCTCルールがなく、また印ASEAN FTAでは(1)と(2)の両方を満たす必要がある(And基準)など、FTAによって基準・ルールが異なるため留意する必要がある。

概 要 適用される産品例

非原産材料を用いて加工された産品

非原産材料を使用して当該締約国で生産される産品であって、附属書2(品目別規則)に定める実質的変更基準を満たすもの

鉱工業品 日フィリピン経済連携協定では、鉱工業品の場合、付加価値基準もしくは関税分類変更基準のいずれか一方を満たすことをもって原産品とするルールが一般的。

(1)付加価値基準 加工の結果、産品に付加された価値が特定の比率(例:40%)以上となる場合に、原産品とする

(2)関税分類変更基準 輸入原料・部品の関税分類番号(注)と完成品の関税分類番号が異なれば、完成品の製造国の原産品とする

(3)加工工程基準 各製品について、重要と認められた製造作業又は技術的な加工作業を例示し、域内で当該加工が行われたことをもって原産品とする

繊維製品 日フィリピン経済連携協定では、織物の場合には染色が、織物の場合には製織と染色がASEAN諸国内で行われることが必要。

<日フィリピンEPAにおける原産地規則(抜粋)>

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87・01

87・02 –87・06

8707.10-8708.21

第87・01項の産品への他の項の材料からの変更又は、

原産資格割合が40%以上であること(第87・01項の産品への関税分類の変

更を必要としない)

原産資格割合が40%以上であること(第87・02項から第87・06項までの各項

の産品への関税分類の変更を必要としない)

第8707.10号から第8708.21号までの各号の産品への当該各号が属する項

以外の項の材料からの変更又は、

原産資格割合が40%以上であること(第8707.10号から第8708.21号までの

各号の産品への関税分類の変更を必要としない)

第87類 鉄道用及び軌道用以外の車両並びにその部品及び付属品

(原文は縦書き)

関税分類番号変更基準

付加価値基準

③原産地規則の確認(具体例) 関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

原産地規則については、附属書2「品目別規則」を参照。

以下の場合、例えばHS8701.10(農業用トラクター等)については、関税分類変更基準、もしくは付加価値基準のどちらかを満たしていれば「原産品」となる。

またHS8702(10人以上を輸送する自動車=バス)は、付加価値基準を満たせば「原産品」となる。

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

③原産地規則の確認(付加価値基準) 「付加価値」とは、その国での製造工程において付与された価値のこと。

日フィリピンEPAでは、以下の計算式に基づき、「産品の価額」から「非原産材料の価額」を差し引いて「原産材料の割合」を算出する。

20

10

5

7

10

48

原材料費

労務費

利益

間接費

その他

非原産材料

非原産材料価額=産品の生産において使用される全ての非原産材料の価額

産品の価額-非原産材料価額 産品の価額(FOB価格)

≧X%

産品価額=FOB価格

<必要書類>

・計算ワークシート(部材別の原産・非原産の区別、それぞれの単価、生産コスト、利益、輸送コストなど、FOB価格の産出情報) ・総部品表(原産、非原産を特定したもの) ・製造工程のフロー図

・生産指図書

・生産在庫記録

・非原産材料単価の算出根拠資料(契約書、請求書、インボイス等)

(出所)関税局業務課

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

③原産地規則の確認(関税分類変更基準) 輸入した部材(非原産材料)のHSコードと、その国で生産した製品のHSコードが「異なる」ことを示すことで、その品物の「性質が大きく変化した」ことを証明する方法。

日フィリピンEPAでは、品目別規則に従い、HS2桁(CC)、4桁(CTH)、6桁(CTSH)の3つの基準が定められている。

HS 87.03.21

2桁(類) 4桁(項) 6桁(号)

(出所)関税局業務課

オレンジ

砂糖

マーマレード

HS: 0805.10

HS: 1701.11

HS: 2007.91

<例:マーマレードをフィリピンで作り、日本に輸出する>

1.「品目別規則」の確認 2007類:「20.07項の産品への、他の類からの材料の変更

2.材料のうち、「非原産材料」のHSコードを確認

3.原産地規則を満たしたことを確認。原産地証明書の申請へ

フィリピン 日本 EPAを利用

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④原産地証明書の申請(概要) 関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

原産地であることを示すためには、「第三者機関」による証明が必要。そこから「原産地証明書」を取得する(ただしAFTAについては2016年から自分自身で証明できる、「自己証明制度」が導入される予定)。

日本で特定原産地証明書を発給できるのは、以下22の日商事務所。

http://www.jcci.or.jp/gensanchi/office_list.html

<日フィリピンEPAにおける特定原産地証明書の申請方法>

発給機関(日本側):日本商工会議所 (フィリピン側:関税局)

提出時期:輸入申告時

有効期間:1年間

対象となる輸入は1回限り

第三国で発出されるインボイス:受け入れ可

遡及発給:あり

再発給:あり

一般特恵(GSP)の原産地証明書の代用は不可

200USドルを超えない、または輸入国が規定する額を超えない貨物の場合 (日本:20万円)には、提出を要しない

出所:日本商工会議所マニュアルより一部抜粋

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出所:日本商工会議所「特定原産地証明書発給申請の手引き」より一部抜粋

企業の場合:

(1)履歴事項全部証明書(発行日から3カ月以内のもの)

(2)「1.特定原産地証明書発給に係る登録申請者、2.特定原産地証明書の 発給に係る手続き及び署名に関する権限を有する者」(ON‐LINE画面)

(3)「企業登録申請書」 (ON‐LINE画面の印刷フォームに署名、押印したもの)

個人の場合:

(1)戸籍抄本(外国人の場合は外国 人登録証の写し)、印鑑証明書 (双方共に発行日から3カ月以内のもの)

(2) 「1.特定原産地証明書発給に係る登録申請者、2.特定原産地証明書の 発給に係る手続き及び署名に関する権限を有する者」(ON‐LINE画面)

(3)企業登録申請書(ON‐LINE画面の印刷フォームに署名、押印したもの)

企業登録申請に必要となるデータ

④原産地証明書の申請(必要データ)

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出所:日本商工会議所「特定原産地証明書発給申請の手引き」より一部抜粋

(1)判定依頼者、担当者に係る情報 (企業名、企業登録番号、氏名、所在地、郵便番号、 担当者氏名、所属部署、電話番号、FAX、E‐mail等)

(2)生産者に係る情報(企業登録番号、企業名(英文・和文)、所在地(英文・和文)、郵便番号、電話番号等)

(3)原産品判定を行う輸出産品のHSコードと英文名称

(4)原産品判定基準 (原材料情報や証明書類に基づいて行った原産品判定基準)

A:国内で完全に得られ又は生産された産品 B:国内において、原産材料のみから生産された産品 C:国内において、非原産材料を使用し生産された産品で、品目別原産地規則 (附属書2)の要件等を全て満たす産品 ①付加価値基準 ②関税分類変更基準 ③加工工程基準 ④付加価値基準+関税分類変更基準

(5)僅少、累積、代替材の救済規定適用の有無

(6)証明資料提出同意通知書 (特定原産地証明書発給申請者の企業登録番号、企業名、郵便番号、 所在地、代表者名、電話番号、FAX,E‐mail、有効期限等)

(7)この他にも別途必要に応じて資料を求める場合もある

原産品判定依頼に必要となるデータ

④原産地証明書の申請(必要データ)

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Page 33: FTA EPAの概要とその活用方法 - ASEAN...EPAでは、更にヒト、カネの移動の自由化や知的財産、競争政策などの柱が含まれる。 1-1. FTA・EPAとは何か

出所:日本商工会議所「特定原産地証明書発給申請の手引き」より一部抜粋

(1)発給申請者に係る情報 (氏名(和文・英文)、企業登録番号、企業名(和文・英文)、役職(和文・英文)

郵便番号、所在地、電話番号、FAX、E‐mail、担当者名、電話番号、FAX、E‐mail等)

(2)輸出者に係る情報 (企業登録番号、社名(和文・英文)、電話番号、FAX,郵便番号、 所在地(和文・英文)、E‐mail等)

(3)輸入者に係る情報 (社名(英文)、所在地(英文) 、電話番号、FAX等)

(4)原産品判定番号 (HS番号、原産品名)

(5)輸送手段 (出航予定日、積込地(英文)、経由地(英文)、最終仕向地(英文)、便名(英文))

(6)インボイス・産品・荷姿情報 (Invoice 番号、インボイス日付、インボイス発行者名と所在地(英文)、品名、数量・単位、 包装数量・形態(Number and kind of package)、荷印・荷物番号(Marks and numbers))

(7)手数料納付・証明書交付方法 (手数料現金支払い・振込み、証明書窓口・郵送受取)

(8)この他にも別途必要に応じて資料を求める場合もある

原産地証明書発給申請に必要となるデータ

④原産地証明書の申請(必要データ)

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④原産地証明書の申請(記載例)

日フィリピン協定原産地証明書 記載内容

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関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

日本商工会議所HP 特定原産地証明書発給申請 マニュアル110頁 http://www.jcci.or.jp/gensanchi/tebiki.pdf

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フィリピンDTIのウエブサイト 日フィリピンEPAの紹介ページ

→この中の「Frequently Asked Questions」のリンクの最下部にお問い合わせ窓口が記載してあります。

http://www.dti.gov.ph/dti/index.php/resources/trade-agreements

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⑤お問い合わせ先(フィリピン当局) 関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

手続きに関する具体的な問い合わせは、フィリピン貿易産業省(DTI)が担当(発給当局は税関)。

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⑤お問い合わせ先(ジェトロ) 関税番号の確認

優遇税率の確認

原産地規則の確認

原産地証明書の申請

FTA/EPAの利用

EPAの利活用等、貿易相談を含めたご相談は、ジェトロマニラセンターにお寄せください。

https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/ph_manila.html

電話番号 : +63-2-892-4376

FAX番号 : +63-2-818-7490

住所 :

44th Floor, Philamlife Tower, 8767

Paseo de Roxas, Makati City 1226,

Metro Manila, PHILIPPINES

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まとめ

FTA/EPAの活用は、調達コストを低減させ、また販売価格を抑える上で、在フィリピン日系企業にとって重要な要素となっている。また物品貿易だけではなく、サービス貿易、投資、ヒトの移動など、様々な面で貿易投資関係の強化が図られている。

ASEANでは、「AFTA」、「ASEAN+1 FTA」や「RCEP」など、地域全体で活用が可能な広域FTA/EPAの構築がなされ、また構想されている。「スパゲッティボール」と呼ばれる複雑なルールがそれら広域FTA/EPAにより解消されることが期待される。

FTA/EPAを利用するためには、①関税番号の確認、②優遇税率の確認、③原産地規則の確認、④原産地証明書の申請のステップが必要。特に原産地規則については、FTAごとに異なるため、十分留意が必要。

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ご清聴ありがとうございました。