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LDA-KYOTO News vol.10 教育無償はもはや理念では なく政策課題 教育費無償化の改憲論など がありますが、日本政府はす でに国際人権規約の教育費 無償化の留保を撤回してお り、教育費の漸進的無償化は もはや国際公約になっています。今必要なのは理念で はなく、公約実現のための政策です。それは政権に左 右される問題ではありません。世論と運動がここまで の到達を作ってきたのだと改めて認識しました。 授業料の引き下げを運動の軸に 義務教育の無償化が授業料の不徴収を軸にしてい るように、高等教育でも授業料の引き下げを要求の柱 にしていく必要がある、という指摘は大変勉強になり ました。 給付制奨学金の拡充が政策的な焦点になっていて、 関心もそちらに向かいがちですが、奨学金はあくまで も学生生活を支えるものであって、授業料が無料にな っても必要なもの。この違いを踏まえた運動の組み立 てが大事だと思いました。 韓国では学費半額の成果も 学費半額化の運動が広がった韓国では、2011 年の ソウル市長選で学費問題が一大争点となった結果、ソ ウル市立大学の学費が半額に。また、大統領選挙を通 じて、給付型国家奨学金が創設された話には励まされ ました。 11 月 26 日、LDA-KYOTO は 5 回目となるシンポジウムを開催。教育 費無償化の研究をされている神戸大学教授、渡部昭男先生に講演をし ていただきました。また、2 年間の実態調査をもとに、京都府政に実 現を求めるマニフェスト(案)を発表ました。 参加者の感想から ・(権利としての教育など)がよくわかり、(学費減免 など)要求していくことの確信になりました。 ・無償化に向けた法律的助役的根拠も学べたし、奨 学金と学費の問題を分けて学べたのもよかった。 ・素晴らしかった!親世代として皆さんの運動に感 動。親世代もがんばらなくてはと心から思った。 神戸大学教授 渡部昭男先生 マニフェスト(案)「1000人 の声から生まれた京都府に実現 してほしい17のこと(仮)」 シンポジウムの第二部では、この 間、聞いてきた切実な実態の改善を求めるマニフェス ト(案)を発表。学費・奨学金(返済)、ブラックな働 き方、若者の生活保障の三つの柱に整理して、17 項目 を要求しています。「5 人家族。世帯収入400万円。奨 学金だけでは足りずに親戚から借金」「親の年収200 万。バイトと奨学金でやりくり。食事は日に一食」「仕 送りなし。週 45 時間労働」など、一刻も放置できない 深刻な実態の改善へ全世代の力で変え ていきましょう。(裏面に項目一覧) ←マニフェスト(案)全文はこちら アンケート一次集約:12月27日 署名締め切り:1月26日(金) みんなでがんばろう!! <LDA 宣伝> 12月25日(月)P7~@出町柳駅 1月 8日(祝)午後 @みやこめっせ(成人式) <次回実行委員会> 1月16日(火)午後7時~@京都府教育会館 2017.12.16

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Page 1: LDA-KYOTO News vol - BEKKOAMEkfpu/lda/ldanews-10.pdfLDA-KYOTO News vol.10 教育無償はもはや理念では なく政策課題 教育費無償化の改憲論など がありますが、日本政府はす

LDA-KYOTO News vol.10

教育無償はもはや理念では

なく政策課題

教育費無償化の改憲論など

がありますが、日本政府はす

でに国際人権規約の教育費

無償化の留保を撤回してお

り、教育費の漸進的無償化は

もはや国際公約になっています。今必要なのは理念で

はなく、公約実現のための政策です。それは政権に左

右される問題ではありません。世論と運動がここまで

の到達を作ってきたのだと改めて認識しました。

授業料の引き下げを運動の軸に

義務教育の無償化が授業料の不徴収を軸にしてい

るように、高等教育でも授業料の引き下げを要求の柱

にしていく必要がある、という指摘は大変勉強になり

ました。

給付制奨学金の拡充が政策的な焦点になっていて、

関心もそちらに向かいがちですが、奨学金はあくまで

も学生生活を支えるものであって、授業料が無料にな

っても必要なもの。この違いを踏まえた運動の組み立

てが大事だと思いました。

韓国では学費半額の成果も

学費半額化の運動が広がった韓国では、2011 年の

ソウル市長選で学費問題が一大争点となった結果、ソ

ウル市立大学の学費が半額に。また、大統領選挙を通

じて、給付型国家奨学金が創設された話には励まされ

ました。

11 月 26 日、LDA-KYOTO は 5 回目となるシンポジウムを開催。教育

費無償化の研究をされている神戸大学教授、渡部昭男先生に講演をし

ていただきました。また、2 年間の実態調査をもとに、京都府政に実

現を求めるマニフェスト(案)を発表ました。

参加者の感想から

・(権利としての教育など)がよくわかり、(学費減免

など)要求していくことの確信になりました。

・無償化に向けた法律的助役的根拠も学べたし、奨

学金と学費の問題を分けて学べたのもよかった。

・素晴らしかった!親世代として皆さんの運動に感

動。親世代もがんばらなくてはと心から思った。 神戸大学教授

渡部昭男先生

マニフェスト(案)「1000人

の声から生まれた京都府に実現

してほしい17のこと(仮)」

シンポジウムの第二部では、この

間、聞いてきた切実な実態の改善を求めるマニフェス

ト(案)を発表。学費・奨学金(返済)、ブラックな働

き方、若者の生活保障の三つの柱に整理して、17 項目

を要求しています。「5 人家族。世帯収入 400 万円。奨

学金だけでは足りずに親戚から借金」「親の年収 200

万。バイトと奨学金でやりくり。食事は日に一食」「仕

送りなし。週 45 時間労働」など、一刻も放置できない

深刻な実態の改善へ全世代の力で変え

ていきましょう。(裏面に項目一覧)

←マニフェスト(案)全文はこちら

アンケート一次集約:12月27日 署名締め切り:1月26日(金) みんなでがんばろう!!

<LDA宣伝>

12月25日(月)P7~@出町柳駅

1月 8日(祝)午後 @みやこめっせ(成人式)

<次回実行委員会>

1月16日(火)午後7時~@京都府教育会館

2017.12.16

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「1000人の声から生まれた京都府に実現してほしい17のこと(仮)」

◆学費奨学金制度について

1、学生、保護者の学費負担を軽減するために、高等教育予算の抜本的な増額を国に要請すること。また、府

立大学と府立医科大学の学費を引き下げること。

2、京都府独自の返済不要の奨学金制度を創設すること。

3、奨学金の機関保証の保証料への補助を行うこと。

4、必要な人に届くように進学・就学に関わる諸制度の広報に取り組み、周知徹底すること。

◆奨学金返済支援

5、奨学金の負債を抱える個人の返済額の一部または全額負担、利子補給制度など、返済者個人に直接行き届

く支援制度を創設すること。

6、奨学金返済の相談窓口を設置し、返済者の実態を把握すること。

◆ブラックな働き方について

7、京都府内すべての高校・大学で労働法の学習を年 1回以上実施すること。

8、教育機関内における、労働法やブラック企業・ブラックバイト、労働相談窓口などを周知する印刷物の全

学生への配布と、教育機関内の掲示を徹底すること。

9、公共交通機関・公共施設等においても、労働関連の情報の周知と質・量ともに向上させること。

10、若者の生活実態の定期的な調査を労働局と連携して実施し、結果に基づいて適切な対応策を行うこと。

11、労働局と連携して、府内の各企業・事業所に対し「学業と両立しない」働き方や違法行為等の監督や指導、

是正を強化すること。

12、出張労働相談窓口を定期的に大学キャンパス内や駅ターミナル内で設置するなど、学生・若者が労働相談

をしやすい環境を整備すること。

13、「府が関わる仕事は最低でも時給 1500 円にする」など、賃金をはじめとする労働条件の底上げを図るこ

と。

◆若者の生活を保障するために

14、学生の住環境支援として、公営団地や空き家を学生の住まいとして有効利用するための方策を講じるとと

もに、学生の家賃負担補助制度を新設すること。

15、東京都で実施されている家賃補助制度等の事例を踏まえて、子育て世代に対する家賃補助を実施すること。

16、近隣の大阪市と比較しても割高な学割定期の割引率の引き上げを京都府と京都市との協調により実施する

こと。

17、通学時の自転車利用の多さを踏まえて、学生利用の頻度の高い駅周辺の駐輪場及び自転車専用道の計画的

な整備を進めること。

ご意見はこちらまで [email protected]