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THE VERTIGO SOUND VSC-2 Quad Discrete Compressor Plug-in
ユーザーマニュアル
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Thank you for using the Vertigo VSC-2 plugin
Vertigo VSC-2プラグインをご購入頂き、ありがとうございます。
本製品は VERTIGO SOUND VSC-2を忠実に再現したプラグインです。
この度のプラグイン版VSC-2の発売はVertigo社製品のプラグイン化としては最初のリリース
となります。Brainworx社との密な協力体制の下、Vergito社の「Big Impact Design」をコン
セプトに開発され、トラックやミックス・バス、マスターで使用するコンプレッサーの新たな標準と
なるべく開発されました。
ディスクリート VCAを 4基搭載
VSC-2は一般的なコンプレッサーと異なり 4基の VCA を搭載しており、正確無比な性能を特
徴とします。4 基の「1979VCA」搭載による恩恵はリアルなアナログ・サウンドだけではありま
せん。現代の制作現場における様々な場面で活用できるはずです。
ハードウェア版VSC-2の基本とコンセプト
Vertigo Sound VSC-2は各チャンネルのオーディオ回路に 1基とサイドチェイン回路に1基の
ディスクリート「1979VCA」が、つまり両チャンネルで合計 4 基の「1979VCA」が搭載されてい
ます。
ステレオ・モードではサイドチェイン信号もステレオ仕様で動作します。VSC-2 は両チャンネル
のピークを比較し、高い方の値をその瞬間のピークとみなします。(ステレオ・モードにおけるス
テレオ・サイドチェイン機能)
ステレオ信号をサミングしてモノラルなサイドチェイン信号を作るわけではありませんので位相
ずれによる誤ったコンプレッションの心配も無用です。
ゲイン・リダクションとメイク・アップ・ゲインにより 2 次と 3 次の可変ハーモニクスが付加されま
す。これによってクリーンでありながら独特の色付けが行なえるという特徴を持っています。
精密性
VSC-2 は精密なサウンドが自慢です。マスタリングやステレオ・バスのダイナミクス調整の場
面でに最初に試す手段として有効です
ミキサー・チャンネルでの使用
VSC-2 はステレオ・バス・コンプレッサーとして開発されており、チャンネル毎にパラメーターの
設定が可能です。レコーディングやミックスに必須のデュアル・モノ・コンプレッサーと言えるで
しょう。
プラグイン版VSC-2について
プラグイン版 VSC-2はハードウェア版と全く同様に操作性と機能を持ち合わせています。ハー
ドウェア版のデュアル・モノ・モードでの使用を再現するためにモノラル・バージョンのプラグイン
も開発されました。
モノラル・バージョンではステレオ・モードに関するインターフェイスがグレー・アウト表示され使
用できなくなっています。また 5.1、7.1などのマルチ・モノラル方式にも対応しています。
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フォーマット
VSC-2は動作環境としてMAC と PCをサポートします。VST、RTAS、AU、AAXに対応して
いますので全てのメジャーな DAWで使用することが可能です。
使い方のコツ
まずはステレオ・ミックス・バスやステレオ・ファイルにVSC-2を通し、このプラグインの素晴らし
いコンプレッサー効果を体感してみることをお勧めします。
プリセットについて
スタート・ポイントとして最適なプリセットが多数用意されています。スレッショルド値は使用する
ソースによって異なりますので入力信号に合わせて正しく設定してください。
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インターフェイス
それでは操作方法について解説します。フロント・パネル左から右方向に進めていきます。
Threshold(スレッショルド)
コンプレッションがかかり始める信号のピークを設定します。時計方向に回す
と値が大きくなります。スレッショルド値は約 48dBの範囲で設定可能です。
一般的に良く使われる範囲の縮尺が拡大されているため、この範囲のスレッ
ショルド値をより細かい解像度で設定することが可能です。(ズーム機能)
操作のコツ:スレッショルドを決定するには、つまみを時計回りに完全に回し
た状態から反時計回りにパラメーターを徐々に下げ、求めるコンプレッション
が得られるスレッショルド値を探すと良いでしょう。
他のパラメーターを変更した場合はスレッショルド値の微調整が必要かも知
れません。
Ratio(レシオ)
コンプレッション・カーブの傾きを設定します。入力信号に対して出力信号を
圧縮する比率を設定します。レシオが高いほどコンプレッションを強くかかり、
より「潰れた」サウンドになります。
例:2:1に設定した場合、入力信号がスレッショルド値を超えて 2dB変化する
と出力信号はコンプレッションにより 1dBの変化として出力されます。
ソフト・モード:一般的に「ソフト・ニー」として知られる機能ではありませんの
でご注意ください。ソフト・モードは入力レベルに合わせてレシオが 1:1 から
8:1にまで自動的に変化する機能です!コンプレッション・レシオは全くコンプ
レッションがかからない 1:1 から始まり、入力信号が上がるにつれて自動的
に増加していきます。
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使い方のコツ:
ソフト・モードは、レベルが低い信号にはゲイン・リダクションを全くかけたくない、または聴感上
なるべくコンプレッションを感じさせたくないと言った場面で活用できます。
まずは気軽に試してみましょう。スネアなどを素材にすると良いかも知れません。
ソフト・モードを用いることでオプト・コンプレッサーのサウンドに近い効果を得ることが
できます。
ミディアム〜ハード・ニー特性
2:1、4:1、8:1、10:1から選択可能です。
「ハード・ニー」または「ソフト・ニー」の特性です。それぞれ異なる音楽的特徴を持ちます。ハー
ド・ニーは「潰れているがパンチのある」サウンド、ソフト・ニーは「音楽的だがパンチに欠ける」
サウンドになります。
Brick(ブリック)
ブリック・モード=リミッター
レシオを「Brick」に設定すると VSC-2 はアナログ・リミッターとして機能し、設定したレベル以
上の信号をカットします。この機能はサンプルのピークを完全にカットするいわゆる「ブリック・
ウォール・リミッター」ではありませんのでご注意ください。
マスターのレベルを 0dB に限りなく近づけるには「Brainworx bx_XL」の様なリミッター・プラ
グインをマスターの最終段に別途使用する必要があります。
VERTIGO社お勧めの使い方
1 チャンネルに 2 つの VSC-2 を使用することで特別なコンプレッション効果を得る事が可能で
す。1番目の VSC-2のレシオをソフト・モードに、2番目を 8:1に設定します。
2番目のアタックとスレッショルドを好みの値に設定してください。
コンプレッション・カーブ
VSC-2 のコンプレッション・カーブはラウドネスを均一に感じることができる様に調整がされて
います。ソフト・モードのカーブは、レベルが低い場合はコンプレッションが全くかからず、レベ
ルが上がるに従いレシオが自動的に上昇するユニークな曲線が採用されています。
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Attack(アタック)設定(0.1 ms、0.3 ms、1 ms、3 ms、10 ms、30 ms):
「Attack(アタック)」はスレッショルド値を超える信号レベルが検出されてから
内部回路が圧縮を開始するまでの時間を設定するパラメーターです。
アタックを遅めにすると VSC-2 はより平均的な信号レベルに反応するように
なるため、RMS(実効値)検出器の様な振る舞いをします。この設定はサウ
ンドがよりスムーズで原音のダイナミクスが保たれる特徴を持ちますが、突発
的なレベル上昇に対応できないという欠点もあります。
アタックを早めにすると VSC-2はピークに対しされて敏感に反応するため、入力信号の平均レ
ベルを上げることが可能になります。アタックとリリースを過度に早くするとコンプレッションによ
るレベル変化がすばやく生じてしまう結果飛び跳ねる様な音になったりリズム系の素材によっ
ては歪みが生じることもありますので注意が必要です。
歪みが生じない範囲で最適のレベル・コントロールを得られる「スイート・スポット」を探すことが
できれば、アタック・タイムを正しく設定できたことになります。
簡単に適切な設定ができる VERTIGO社お勧めの方法
強めのゲイン・リダクション(10dB 程度)が得られるまでスレッショルドつまみを設定します。こ
の状態で最適なサウンドになる様にアタックつまみを設定します。アタックを設定できたらスレ
ッショルドを適切な値(ゲイン・リダクション 2〜4dB)まで下げます。リリース・タイムも同様にし
て設定します。
この方法は、極端にブーストする周波数をスイープしながら不必要な帯域を探し出す EQ の設
定方法と同様です。
ベースのアタック設定の例:
ベースに対してアタック・タイムを遅めに設定すると、ピッキングのアタック音を強調することが
できます。VSC-2 のアタック・タイムは「オーバーロード・プロテクター」として使える程早めに設
定することが可能です。ただし音楽性を損なわないコンプレッション処理を行うには若干遅めの
3ms〜10msに設定すると良いでしょう。この設定によって、音楽的なニュアンスを保ったコンプ
レッション処理を行うことが可能になります。
一般的なアタック・タイム設定:
まずアタック・タイムを 3ms に設定し、出音を確認しならがアタック
値を変更すると良いでしょう。ソフト・モードの場合はアタック・タイ
ムを早めに設定した場合でも音楽的なコンプレッション効果を得る
ことが可能です。トライ&エラーを繰り返し自分好みの設定を探し
てみましょう! ハードウェア版 VSC-2に 4基搭載の
ディスクリート「1979VCA」
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Release(リリース)タイム(0.1s、0.3s、0.6s、0.9s、1.2s、Auto Mode):
「Release(リリース)」は信号がスレッショルド値を下回るレベルを検出してか
らコンプレッサーが圧縮を終了するまでの時間を設定するパラメーターです。
リリース・タイムが早いとコンプレッサーは少しのレベル変化にも敏感に反応
する様になります。その結果コンプレッションは「きつく」且つ「生々しい」サウ
ンドになります。ダイナミック・レンジを減少させ、出力の平均レベルを確実に
上げることができます。
リリース・タイムが遅い場合は、早い場合に比べてより潰れた音になりがちです。出力の平均
レベルは低くなりますが、原音のダイナミクスを保つことが出来るという利点があります。
ハードウェア版 VSC-2に搭載される 2基の「1979VCA」。1チャンネル分の基盤の図。
極端に遅いリリース・タイム設定はエフェクターとして活用できます!
リリース・タイムを遅くする設定は 1960 年代に流行し、ドラムの音作りなどに利用されました。
Fairchild 670のサウンドが良い例です。
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Make Up Gain(メイク・アップ・ゲイン)
コンプレッサーを用いてダイナミクスを押さえ込むと信号全体のレベルは減少
します。「Make Up Gain」つまみを用いることでコンプレッション処理の後段
で信号のゲインを上げることができます。「1979VCA」による 22dB のゲイン
が可能です。
ハードウェア版 VSC-2の「Make Up Gain」つまみは、最も良く使われるゲイ
ン値 0dB〜6dB の範囲の縮尺が拡大されており、より細かい解像度で設定
が可能となっています。
プラグイン版 VSC-2 にもこれは踏襲されておりハードウエア版と同等の操作
が可能です。
「Make Up Gain」を用いた A/B比較
「Make Up Gain」つまみで出力レベルをバイパス信号と同じレベルに調整することでコンプレ
ッションした信号とバイパス信号の A/B比較が可能です。
サイドチェイン・フィルター(SC Filters)- 60 Hz 〜 90 Hz
バス・ドラムやベースなどの低音成分に対しコンプレッサーが必要以上
に反応してしまい不必要にコンプレッションがかかってしまうことがあり
ます。その場合はサイドチェイン・フィルターを使用してください。低域成
分がカットされたサイドチェイン信号をコンプレッションのトリガー信号と
して使用することで適切なコンプレッション処理が可能となります。
選択可能な 2種類のサイドチェイン・フィルター曲線は緩やかでスムーズ、そして音楽的なカー
ブが特徴で、残したい低域成分までカットしてしまうことはありません。低域成分は適度に抑え
られ過度なコンプレッションを抑えることができます。
サイドチェイン機能を用いることでソースの低域成分を強調することができます。選択できる 2
種類の設定(60Hzと90Hz)は、あらゆる場面で活用でき最大限に音楽的なコンプレッション処
理が行える様に調整がされています。
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ステレオ・モード・スイッチ
ステレオ・モードではサイドチェイン信号もステレオ信号として扱われます。モノ
ラル化した信号をサイドチェイン信号として使う訳ではありません。VSC-2 は両
チャンネルのピークを比較して高い方のレベルをその瞬間のピークとみなし、そ
れを元にソースの両チャンネルにコンプレッション処理を行います。
ステレオ・モード(リンク無し)
より凝った設定をしたい場合はステレオ信号をリンクせずにデュアル・モノとして個別の設定を
することも可能です。まずステレオ・モードで通常通りに各パラメーターを設定します。求める音
に設定できたら「Stereo」スイッチを「Mono」に切り替えてください。これによりステレオ・イメー
ジに広がりを加えることができます。2 ミックスのトリートメントに有効な手段です。ステレオ・イメ
ージの広がりが極端すぎると感じた場合は通常通りステレオ・モードに戻してください。
ゲイン・リダクション・メーター
入力信号に対するゲイン・リダクションの量を表示
するメーターです。表示は非線形特性で 6dB まで
のゲイン・リダクションを正確に表示します。ゲイン・
リダクション・メーターを用いることで、ソースに施さ
れた処理を瞬時に正確に確認することができます。
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VERTIGOユーザー
初めて VSC-2を使う方達へ。あなたは私たちの仲間です。
詳細は www.vertigosound.com にアクセスしてください。Vertigo 社のハードウェア製品や
数多くのユーザー・レビューが掲載されています。
サウンドの色付け、ディストーション
サウンドの色付けはミキシングやマスタリングの隠れたコツとして知られています。独自のサウ
ンドを極め未来のクラシックを創造しましょう!
Vertigo 社の「1979VCA」はゲイン・リダクションとメイク・アップ・ゲイン処理の際、主に2次倍
音を付加する特徴を持ちます。「1979VCA」はクリーン且つ精密なサウンドを作り出すだけで
なく、ダイナミクスと周波数に合わせた 2次および 3次倍音を付加することで VSC-2独自のサ
ウンド生成に貢献しています。
コンプレッションせずに色付けだけを加える
ゲイン・リダクションせずにサウンドの色付けだけに VSC-2を用いることも可能です。スレッショ
ルドつまみを時計回り一杯に設定した状態で「Make Up Gain」つまみで信号に付加される倍
音の量を調整してください。
これは SSL、MCI、Quad Eigh などの古いコンソールの設計を再現したことになります。これ
らのコンソールはコンプレッサーの使用に関わらず、出力セクションに搭載されたディスクリート
VCAを信号が通過することでそれぞれ独自のサウンドを付加していたのです。
信号経路について:パーツが少ない程、サウンドはクリアーに
ハードウェア版 VSC-2 は入力セクションに「Jensen トランス」が、出力セクションに「Burr
Brown」または「THAT 1646」が搭載されています。またハードウェアを構成する高品質なパ
ーツもクリアなサウンド実現に貢献しています。
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国内輸入代理店
株式会社宮地商会
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町 1-4
TEL 03-3255-2888 FAX 03-3255-0382
URL www.miyaji.co.jp/MID/ E-mail [email protected]