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Title コンベンションの現状と沖縄における振興方策 Author(s) 比屋根, 隆和 Citation 沖縄短大論叢 = OKINAWA TANDAI RONSO, 10(1): 59- 104 Issue Date 1996-03-01 URL http://hdl.handle.net/20.500.12001/10670 Rights 沖縄大学短期大学部

Title 沖縄短大論叢 = OKINAWA TANDAI RONSO, 10(1): 59- 104 …okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/... · 語として用いられ、主に政府高官が特定の職務の人々を集め会議を開くこと

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Title コンベンションの現状と沖縄における振興方策

Author(s) 比屋根, 隆和

Citation 沖縄短大論叢 = OKINAWA TANDAI RONSO, 10(1): 59-104

Issue Date 1996-03-01

URL http://hdl.handle.net/20.500.12001/10670

Rights 沖縄大学短期大学部

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コンペンションの現状と沖縄における

振興方策

1.はじめに

2. コンペンションの概念と背景

(1) 定義と類型

(2) コンペンションの変遷

(3) 都市経営戦略としてのコンペンション

(4) コンペンションの効果

比屋根隆和

3.世界および日本におけるコンペンションの現状

(1) 世界におけるコンペンションの現状

(2) 日本におけるコンペンションの現状

(3) 日本におけるコンペンション施策

4.沖縄におけるコンペンションの現状と施策

(1) 県政におけるコンペンションの位置づけ

(2) コンペンション関連組織・施策

(3) 沖縄コンペンションセンターとオキナワコンベンションビュロー

(4) 沖縄におけるコンペンションの現状

(5) 沖縄観光・リゾートの特性

5.観光・リゾート地とコンペンション

(1) 観光・リゾートとコンペンションの補完関係

(2) 観光・リゾート地におけるコンペンション

(3) 海外における観光・リゾート型コンペンションの事例

6.沖縄におけるコンペンションの振興方策(むすび)

(1) 観光・リゾート型コンペンションの推進

(2) 観光・リゾート型コンペンションの振興策

-59ー

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1. はじめに

近年、コンペンションは欧米のみならず世界の多くの都市でとりわけ注目を

浴びている理由のひとつは、それが単に地域内の集まりというよりは、地域外

から人々を呼ぴ集め、これらの人々を媒体にして物、情報、知識を域内に取り

込み、これによって地域に経済効果、社会・文化効果を与えることが期待され

るからである。

コンペンションという明確なコンセプトのもとに都市づくりやビジネスが意

識され、プロジェクト化されたのは、まだ歴史が新しい。アメリカにおいてコ

ンペンションが注目を集めたのは、‘70年代になってからである。最初は、リゾー

ト地のオフシーズン対策としてできたが、その後、インナー問題(後述)解決、

外来客の増大による都市経済の活性化に貢献したと認められるや、多くの都市

がコンペンション都市として名乗りでることとなった。現在、 600余のコンペン

ション都市が激しい誘致競争を繰り広げているといわれる。

アジア・太平洋地域においても、国策として国際コンペンション振興の取組

みを開始した韓国やコンペンションビュローを設立したジャカル夕、台湾など、

香港やシンガポールの他にも新たな強力なコンペンション都市が出現しようと

している。一方、わが国では、多くの自治体においては、コンペンションを国

際化、経済及び観光の活性化の手段として捉え、大規模のコンペンション施設

が整備され、推進機関が続々と設立されている。今後の動向としては、地球規

模で国家間及び都市聞において誘致競争が従前にも増して激化の傾向を辿って

いくことが予想される。

このような状況をふまえ、本稿では、コンペンションの意義及び効果、海外

やわが国におけるコンペンションの現状について概観し、沖縄県のコンペンショ

ンの現状、施策等についてのべる。これまで観光といえば自然景観と文化財な

どが中心であったが、これからの観光は創られた観光から、さらにコンペンショ

ンへと変貌しつつある。沖縄県の志向すべき発展方向は、その豊かな自然と歴

史文化を生かした“観光・リゾート型コンペンション"であることは衆目の一

致するところである。したがって、最後にまとめとして、沖縄コンペンション

の発展方策の考察をおこない、振興策について若干の提言を試みる。

60 -

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2. コンペンションの概念と背景

(1) コンペンションの定義及び類型

1) 定義

コンペンションは、狭義的には、もともとアメリカにおいて盛んな集会様式

であり、業界団体、学術団体、政党、組合、企業その他諸団体の年次総会的な

ものを指し、最近ではもうすこし広い意味を持たせて、ヨーロツパ型のメッセ

を含むものとして捉えるようになったとされる。従って、最近では、実体面の

変化に対応して、コンペンションは、「非日常的な人の集まりを核とした物・知

識・情報などの交流のための集まりであり、ある園、地域の人・物・知識・情

報などを呼び込むシステム」を総称して使われるのが通例となっている。 (1)

2) 類型

コンペンションは一様でなく、規模や形態はきわめて多様で、幾つかの類型

化が試みられている。形態による分類は次のとおりである。 (2)

a.情報交換を主とする形態で、学術的な会議、業種・団体、企業内の集

会等:会議、大会、学会、委員会、研修会、商談会等

b.モノの情報交換を目的とし、製品展示や企業イメージを紹介するもの

等:展示会、見本市、博覧会、発表会、即売会、品評会等

c.祭事的催物:祭り、音楽祭、表彰式、宴会、タ中ンスパーティ等

d.その他の催物:記者発表会、入社式、入学式、報奨旅行等

このように、一応の類型化がなされるが、しかし実際には、これらが複合あ

るいは混合化された形で催されることが多い。

コンペンションの定義を明確にしていくための一つの方法として次のような

分類が試みられている。 (3)

a 集会・大会・会議:

-政党、宗教、組合、企業等 convention

の大会

(全国大会、地区大会等)

-正式の会議、学会等

b.研究会・シンポジウム:

congress, conference

-61ー

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-研究会、研修会、視察旅行 seminar,workshop

・シンポジウム、公開討論会 symposium, panel discussion,

colloguium, collogny, forum

C 見本市・展示会:

.見本市

-展示会

・博覧会

d.行・催物

messe, fair, show

ausstellung, exhibition

exposItlOn

・スポーツ大会、祭り、芸術祭、event,festival

音楽祭

e.会合・祝宴

・祝賀パーティ、記念会合、 celebration, meeting, assembly

発表会

(2) コンペンションの変遷

1) r西欧型のメッセ」と「アメリカ型のコンペンションJ(4)

欧米におけるその歴史的経緯からすると、大きく「西欧型のメッセj と、

「アメリカ型のコンペンション」とに大別される。

中世の「市」を起源とし古い歴史をもっドイツ型メツセは数百年を経て徐々

に規模が大きくなり、対象もその地域内にとどまらず、西欧全般にさらには

世界にまで広がって見本市に発展した。このような見本市という方式がドイ

ツを中心として発展してきたのは、生産者と小売業者との直接取引きの場を

設けることにより時間、経費、人手など流通コストを低減できることから、

ドイツ国民の合理性に合っていたという理由がある。今日、西ヨーロッパに

おいて独特の「見本市産業」という新しい分野が確立しており、メッセ都市

として発展している都市が少なくない。また近年では見本市のみならずそれ

に関連する会議やシンポジウムを併催するなど、単なる展示は相談の場から、

より多面かつ経済、文化交流へと変容してきている。

一方、アメリカにおいては、コンペンションという言葉は、元来、政治用

-62-

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語として用いられ、主に政府高官が特定の職務の人々を集め会議を開くこと

を意味していた。また、企業や各団体の年次総会等を表す言葉でもあった。

いずれにせよ、アメリカにおいては、コンペンションは「人や情報Jを中心

とした集まりを指し、そこで人の交流を意味していた。そして、近年では、

新技術の紹介や発表、業界人、専門家聞の多様な情報の交換や討議、さらに

は企業の会議や研修等の目的をもっコミュニケーションの場として多くの企

業、学会などにとって重要な意味をもつようになってきている。一方、見本

市は従来、国内市場向けの生産財の専門市や一般消費財の見本市であったが、

1970年代に入り、会議やシンポジウムに付帯して展示会や見本市が数多くお

こなわれるようになった。

2) コンペンションセンター

コンペンションの開催にあたって欠かせないものはコンペンションセンター

であるo 今日あるアメリカの主なコンペンションセンターは、殆んどが70年

代以降に建設されたものである。 1970年代始め、まずホテルがこの場を提供

し、特にリゾートのオフシーズン対策として出てきたのであるが、また多く

の都市では劇場、市民ホールなど、各種の文化施設が整備された後に、近年

のコンペンション需要に対応した専門施設の建設されているのが一般的であ

る。

1970年代半ばにかけロサンジェルス、シカゴ、アトランタ等の大都市にお

いては、都心の再開発計画の一環として建設されるのが多く、インナーシティ

問題(ダウンタウン衰退、スラム化)(5)の解決を、外来客の増大による市経済

の活性化に貢献したことが認められるや、 1979年代後半から1989年代にかけ

各市が、コンペンション都市として名乗りでることとなった。建築物は、近

年ますます大型化の傾向を辿っている。既設の施設では狭障に過ぎ、大型化

する米国コンペンションニーズに対応できないこと、また拡張すれば新たな

コンペンションマーケットが開拓できる等の理由でセンターの拡張がなされ

てきた。

3) コンペンション・ピュロー

コンペンションはその本来の目的にそって円滑に運営するためには、ソフ

qa po

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トウエアを担当する組織が必要である。欧米の先進的なコンペンション都市

にはコンペンション・アンド・ビジターズ・ビュロー、或いは、コンペンショ

ン・アンド・ツーリズム・ビュローと称される組織があり、コンペンション

の需要(マーケティングリサーチ)やセールス活動、開催コンペンションの

サポート・ホスト役といった多様な活動を行っている。歴史的には、第2次

世界大戦後に欧米において発達したものであり、主要都市に当該都市のコン

ペンション・ピュローが設置されている場合が多い。

(3) 都市経営戦略としてのコンペンション

1) コンペンション都市

コンペンションといわれる会議・大会等は古くからおこなわれている。し

かし、コンペンションという明確なコンセプトのもとに都市づくりビジネス

が意識され、プロジェクト化されたのは、まだ歴史が新しいといってよい。

欧米では、1960年代にその萌芽がみられ、1970年代に入って目立つようになっ

た。特に、アメリカにおいて、今日いわれるような概念としてのコンペンショ

ン都市が生まれたのは、 1970年代初期のことで、当時、 15の都市がコンペン

ション施設をもっていた。現在は、 600以上(6)のコンペンション都市があり、

激しい都市間競争をくり広げているといわれる。アメリカで生まれ、世界中

に広がりつつある現代コンペンションは「都市そのものを売る」という戦略

へと成長してきた。

コンペンション都市とは、単に会議場や見本市会場などのコンペンション

施設を建設する、或いは所有している都市ということではない。それはコン

ペンションという形式により地域外から人を集め、かれらの地域内での消費

活動によって地域経済の活性化をはかり、また人が集まることによって集中・

発生する情報の効果的な活用により新たな地域文化の創造をも期待するとい

う、複合的な都市経営戦術のもとに、地域の産業をコンペンション産業とし

て再編成し、それを基礎として、都市全体が一つになって「都市そのものを

商品として売出してゆく j都市のことである。 (7)

2) コンペンション都市の成立要件同

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コンペンション都市として成立させる基礎的要件は次の通りである。

a.ある程度の収容力をもっコンペンション開催可能施設を有すること

コンペンション開催都市として、会議・展示施設と宿泊施設が量的にも

充実していることが大前提である。これら施設が歩行圏域内にあることが

コンペンション施設として理想的である。

b.交通条件がよいこと

コンペンション参加者の、目的の都市への交通手段には、空路、陸路、

海路など、交通手段の選択に多様性があること。いつでも簡単に行げると

いうシステム(定期性、頻度)があることが必要である。都内での移動、

例えばホテルからコンペンション会場へのアクセスが容易であること。

C. 都市としての魅力があること

歴史性、文化性、質の高い都市環境、歩いて楽しい街、豊かな観光資源

を有していることである。地域外からのコンペンション参加者の参加意欲

をかりたてるものは、その都市の観光魅力である。コンペンション開催前

後の観光にゆげるという要素が必要である。西ヨーロッパの多くの都市で

は、歴史・文化の豊かさをコンペンション誘致の一つの重要なセールスポ

イントに置いている。

d.ある程度の都市機能集積があること

コンペンション都市を成立させる基礎的条件として、情報、産業をはじ

めとする、ある程度の都市機能集積を有することが必要である。欧米にお

いて、都市機能集積の高い、あるいは産業に特化している、といった都市

がコンペンション都市として成立しているのは、集積のもつメリットを十

分に発揮しているからにほかならない。

アメリカで小さな都市でもコンペンション都市として成立している例も

あるが、それらの多くは観光・リゾート地としての基盤を有しているから

である。その他医療施設の完備、金融機関、国の出先機関の存在など、各

種の業務機能がある程度、集積していることが必要となる。

e.住民のホスピタリティ、支援体制の充実

コンペンション開催都市の条件として最も重要なものの一つは地域住民、

-65-

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産業界など各界各層のコンペンションに対する理解と協力である。また、

地域を一体的に宣伝し、誘致活動、特に受入れに係わる支援・サービス業

務の充実が重要である。これは、地域外からのコンペンション参加者に対

する「もてなしの心(ポスピタリティ )Jと、主催者の労力を軽減するため

の、地元として十分な協力体制というこつの側面をもっている。

(4) コンペンションの効果

コンペンションの開催は多面的な効果を有する。経済効果のみならず、学術、

芸術、文化などの情報の集積と交流によって文化社会的効果を都市、あるいは

地域に与える。

1) 経済効果

コンペンションの経済効果聞は、消費活動を通じての都市経済のみならず、

コンペンション施設建設による需要誘発効果も大きい。コンペンション建設

には、建築物建設、交通基盤整備にはじまって、新交通システム構築、造園

工事、街路整備など関連公共投資を加えると、投資額は大きい。また、所得

誘発効果や雇用創出効果、さらには雇用の安定効果も大いに期待できる。

コンペンションは、「地域外からの人・物・知識・情報など呼び込むシステ

ム」と総称すると捉えられるだげに、そこで発生する人々のニーズは限りな

く多様多種である。コンペンションの開催は、実に多様な分野で需要を拡大

し、新しい産業を創出させる。例えば、経済波及効果を直接受けるコンペン

ション関連産業にとどまらず、商底、飲食庖等のサービス産業、ホテル関連

産業、観光関連産業、交通・運輸・サービス関連産業、印刷・出版関連産業

など多岐にわたり、これらすべてが「コンペンション産業Jを形成すること

になる。コンペンション産業は概ね、 a.会議関連産業、 b.展示関連産業、

C. ホテル関連産業、 d.観光関連産業の 4つの産業分野で構成される(表

1 )。

-66-

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表 l コンペンションの経済効果の波及

一業一一産一

一連一一関一

一示一一展一 ホテル関連産業

資料:沖縄地域科学研究所

「沖縄コンペンションホール建設構想調査報告書J(昭和54年12月、 P52)

2) 文化・社会効果(10)

a.人的交流による効果

人々が集まることによって新しい情報を地域にもたらし、学術会議は地域

のイメージアップにつながる。学者、研究者との交流は学術、技術、教育、

芸術文化の水準の向上を促す。

b.文化水準の向上

優れた文化・スポーツとの接触は、活動層の底辺の拡大、都市のこれらの

水準の向上発展につながる。文化施設等の利用を通じて地域住民の文化的ニー

ズの充足、社会的連帯の高揚が図られる。文化財保護、観光資源開発などは

文化財保全行政の下支えとなり、建造物としてのコンペンション関連施設美

術館、博物館などが都市美を創造する。

ipo

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C. 国際化効果

国際コンペンションは、外国との直接的な交流により、知識、情報の摂取

集積や住民の国際感覚の酒養を通じて地域の国際化を促す。開催を重ねるこ

とによって、地域のイメージアップ、国際都市というステイタスの確立、世

界的な知名度の向上をもたらす。

3.世界および日本におけるコンペンションの現状

(1) 世界における国際会議の現状(l988~1993)

1) 国際会議の開催状況

国際団体連合(uA 1)が毎年発表している国際会議統計川によると、国

際会議の開催件数は1971年に1,542件、その後毎年増加し、1988年に初めて8,000

件の大台にのぽり、 2年後の1990年には8,504件を記録した。 1991年は5,107

件と 2年振りに減少したが、これは1991年に勃発した湾岸戦争の影響とみら

れる。 1993年には、世界で8,817件で、これは過去最高の数字であり、先進諸

国を中心とした世界的な不況下でありながら開催件数が1992年 (8,627件)、

1993年ともに増加を続けた。これは、景気にあまり左右されないといわれる

国際会議の性格の一面を表している(表 1)01993年に、日本で開催された国

際会議は240件で、対前年比3.2%減となり、国別では、前年の10位から11位

に後退した(表 3)。

11994年コンペンション統計J(12) (速報)によると、 1994年の国際会議開

催件数は対前年比1.86%増の8,981件で3年連続で過去最高記録を更新した。

2) 大陸・州別開催状況

世界で開催された国際会議を大陸・州別にみていくと、 l位はヨーロッパ

(全体の60%台)、 2位南北アメリカ (20%台)、 3位アジア (10%台)となっ

ている。毎年順位は全体的にはほとんど変わっていない。これは、国際団体

本部の所在地の多少に比例しており、今後もシェアに多少の変動はあるもの

の大陸別の開催件数の順位はこのまま推移するものと思われる(表 2)。

1994年については、国際本部の多い欧州、!のシェアが58.9%と3年連続で低

下する一方、アジアのシェアが13.2%連続で増加した。

一68-

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表2 大陸州別国際会議開催件数5年聞の推移

ふ〈1993 1992 1991 1990 1989 1988

件数 % 件数 % 件数 % 件数 % 件数 % 件数 %

アフリカ 446 5.1 399 4.7 368 4.5 355 4.2 356 4.4 365 4.4

南北アメリカ 1,802 20.4 1,762 20.4 1,547 18.9 1,642 19.3 1,665 20.4 1,540 18.5

ア ジ ア 1,138 12.9 1,018 11.8 985 12.0 1,096 12.9 1,024 12.5 1,060 12.7

オセアニア 162 1.8 149 1.7 187 2.3 186 2.2 175 2.1 368 4.4

ヨーロッパ 5,269 59.8 5,299 61.4 5,107 62.3 5,225 61.4 4,945 60.6 5,001 60.0

合 計 8,817 100.0 8,627 100.0 8,194 100.0 8,504 100.0 8,165 100.0 8,334 100.0

資料:国際観光振興会「コンペンション統計」各年版により作成

国際会議の開催が国際団体本部の所在との聞には、ある程度の相関関係が

あり、欧州に存在する国際団体本部数は、全世界の約3分の 2を占めており、

欧州での国際会議開催が多いことは当然といえる。しかし、国際団体本部数

が全世界の約6%にすぎないアジアにおいて12%以上もの会議が開催されて

いるのはアジアにおける各国の誘致努力の成果であるといえる。

3) 国別開催状況

国別の国際会議開催件数の順位は、 1位が米国、 2位フランス、 3位英国、

4位ドイツとなっている。この順位は過去5ヵ年の間変わっていなしlO 1位

の米国以外はすべて国際団体が多く存在する西ヨーロッパ諸国が占めている。

日本は、アジア諸国の中ではトップを維持しているが、全体に占めるシェア

は低く (1993年は2.3%)、同じアジアのシンガポール、インド、中園、香港

とのパイの獲得競争のなかで苦戦を強いられている。なお、日本は11位の地

位であり、またアジア内におけるシェアは12.7%である(表 3)。

1994年の国別開催件数をみると、米国、フランス、英国、ドイツ、イタリ

ア、オランダ、ベルギーと上位 7か国の順位は前年と全く変動が無かった。

日本は、対前年比12件、 5.0%減の228件で前年の11位から12位に下がった。

-69ー

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表3 国別国際会議開催件数5年間の推移

1993 1992 1991 1990 1989 1988

順位 件数 順位 件数 順位 件数 順位 件数 順位 件数 順位 件数

米 国 11 1,018 11 982 11 880 11 894 11 973 11 881

フ フ ン ス 2 745 21 789 21 761 21 757 21 734 31 693

英 国 3 633 31 577 31 660 31 722 31 700 21 750

ド イ ツ 4 535 41 544 41 546 41 505 41 505 41 488

イ タ リ ア 5 380 71 359 71 304 61 332 61 344 51 392

オ フ ザ〆〆 ゲ 6 347 61 380 51 385 51 385 71 292 71 333

<<. yレ ギ 一 7 321 81 323 91 289 81 303 81 284 91 279

ス <<. イ / ‘ 8 300 51 417 10 264 91 294 91 273 10 276

ス イ ス 9 272 91 271 61 313 71 318 51 367 81 305

オーストリア 10 263 11 244 81 294 12 219 10 199 14 1721

日 本 11 240 11 248 11 239 10 266 11 195 11 1901

カ ナ ダ 12 183 11 230 12 189 13 186

デンマーク 13 158 13 176 15 134 16 131

フ ィンランド 14 152 14 166 13 161 12 1881

オーストラリア 15 130 18 128 16 124 61 340

ス ウェーデン 16 124 15 159 14 138 15 135

ノル ウ ェ ー 17 123 19 101 27 65 20 94

ハンガリー 18 113 20 100 30 63 20 94

シンガポール 19 110 17 136 18 111 18 109

|日 ソ 連 20 106 23 87 23 78 33 59

チェコスロノすキア 21 103 21 93 20 92 28 70

香 港 22 102 74 74 22 60

イ 、J ド 23 100 24 89 21 88 19 99

プ フ ジ lレ 24 90 16 142 17 121 17 125

中 国 25 78 24 85 22 84 24 82

資料:国際観光振興会「コンペンション統計j各年版により作製

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4) 都市別開催状況

都市別開催件数は、パリ、ロンドンが常にそれぞれ 1位、 2位を占め、パ

リは例年2位以下を大きくヲ|き離し、断然首位となっている。そのあとプラッ

セル、ウィーンと続く。都市別開催件数では、日本の場合は、国別でトップ

の米国の場合同様、 10位以内に入っていなしミ。アジアの他の都市では、シン

ガポールが例年上位10都市に留まっている。開催件数で例年トップグループ

を形成している。諸都市の例をみると、パリの開催総件数全体に占めるシェ

アは91年の4.3%から93年は4.0%と減少しており、同じくロンドンは3.0%か

ら2.2%へ、ブラッセルは、 2.2%から1.9%へ、ウィーンは2.8%から1.8%へ、

ジュネープは2.2%から1.6%へと後退している。これは各都市聞の競争の激

化を背景とした開催の分散傾向を示しているといえる(表 3)。

1994年は、都市別では、東京は前年の14位から26位へと大きくランクを下

げた。この結果、これまで東京はシンガポール、香港とともにアジアの 3大

コンペンション都市の地位を保持してきたが、 1994年の統計では 3位の座を

表4 都市別国際会議開催件数5年聞の推移

1993 1992 1991 1990 1989

順位 件数 順位 件数 順位 件数 順位 件数 順位 件数

ノf リ l 355 1 407 1 345 361 1 388

ロ ンドン 2 191 2 185 2 244 2 268 2 261

プラッセル 3 164 3 184 4 184 3 194 4 165

ウ ィーン 4 163 4 161 3 230 4 177 7 129

ジュネープ 5 145 6 138 5 178 5 166 3 170

ベルリン 6 117 11 101 6 166 5 166 5 160

シンガポール 7 116 8 112 7 110 8 136 9 111

香 港 8 108 14 86 10 102 18 74 13 74

アムステルダム 9 103 7 115 9 106 9 108 11 101 I

コペンハーゲン 10 99 12 100 12 89 14 85 16 70

東 尽 (14) 90 (17) 74 (14) 84 (16) 81 (17) 69 I

資料:国際観光振興会「コンペンション統計」各年版により作成

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バンコクに譲り、ソウノレと並ぶ第 4位にとどまった。他の日本の都市では、

京都が第56位、大阪(順位不明)、神戸と続いている。 UAIの国別統計で日

本の開催件数が減少したのは、主として東京の減少によるもので、他の地方

都市の開催件数はむしろ堅調に増加しており、わが国の国際会議の地方分散

傾向は、 UAI統計でも裏付けられていると言える。間

(2) 日本におけるコンペンションの現状

1) 国際会議開催状況14)

開催件数

わが国における国際会議の開催件数は順調に増加している。1983年に384

件に過ぎなかった国際会議開催件数は1990年に初めて1,000件の大台を突破

し、 1993年には、 1,665件を数え、この10年間で4.3倍になった(表 5)。

参加外客数

会議開催件数の増加に伴い参加外客数も毎年増加し、 1983年には31,148

人であったが、 1993年は過去最高の63,134人に達し、これも倍増した。ま

た、訪日外国人数全体に占める割合は、1993年(3,410,449人)でみると1.9%

となっている。特に近年の日本を含め世界の先進諸国の経済的不況、およ

び急激な円高というマイナス情勢のなかで開催件数、参加外客数が、とく

に増加したことは注目に値する(表 5)。

参加者規模別開催件数

参加者の規模別に開催件数をみると、毎年、参加者総数100~199人規模

の会議が第 1 位で、第 2 位50~99人、第 3 位20~49人、第 4 位200~299人

規模の順となっている。これは、わが国における国際会議の規模が中小型

のものが主流になっていることを示しており、20~299人の参加者規模の国

際会議が全体の70%台を占めている。 1,000人以上の大型会議は全体の 2

~3%のシェアである(表 6 )。なお、参加外客数で開催件数をみると、 1993

年で参加外客数が300人以上の会議が39件と過去最高の数になっているもの

の、毎年参加外客数49人以下の会議件数は、圧倒的に大きなシェアを占め

ている。この規模の国際会議の増加が全体の開催件数の増加にストレート

9u

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表5 国際会議開催件数・参加外客数・訪日外国人数

参加外客数の

開催件数 参加外客数 訪日外客数 訪日外国人数

全体に占める割合

1983 384 31,148

1984 408 31,650

1985 438 29,499 2,327,045 1.3%

1986 502 34,408 2,061,526 1.7%

1987 549 37,299 2,154,864 1.7%

1988 764 41,450 2,355,412 1.8%

1989 865 45,329 2,835,064 1.6%

1990 1,077 54,552 3,235,860 1.7%

1991 1,244 61,123 3,532,651 1.7%

1992 1,456 55,054 3,581,540 1.5%

1993 1,665 63,134 3,410,449 1.9%

資料:国際観光振興会「コンペンション統計」各年版より作成

表6 参加者総数別会議開催件数

1993 1992 1991 1990 1989 参加者総数

件数% 件数 件数 件数 % 件数% % %

20~49 280 16.8 250 17.1 1~9 6 0.5 1~9 9 0.8 1~9 1 0.11 1O~49 228 18.3 1O~49 178 16.5 10~49 124 14.3

50~99 325 19.5 272 18.6 201 16.1 185 17.1 156 18.01

100~199 409 24.6 339 23.1 2活8 23.1 266 24.6 185 21.4

200~299 188 11.3 204 13.9 153 12.3 128 11.8 126 14.61

300~399 138 8.0 120 8.2 14.81 166 13.3 136 12.6 128

400~499 86 5.2 57 3.9

500~999 158 9.5 140 9.6 125 10.0 107 9.9 90 10.41

1 , 000~1 , 499 44 2.6 41 2.8 36 2.9 31 2.9 28 3.3

1,500~ 1 ,999 13 0.8 14 1.0 9 0.7 8 0.7 8 0.9

2,000以上 19 1.1 26 1.8 25 2.0 30 2.8 19 2.2

不明 9 1.5 2 0.1 9 0.7 3 0.3

合計 1,665 100.0 1,465 100.0 1,246 日00.0 1,081 100.0 865 100.0

資料:国際観光振興会「コンペンション統計J各年版により作成

-73ー

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に反映していることがわかる(表 7)。

表7 参加外客数別会議開催件数

1993 1992 1991 1990 1989 参加外客数

件数 % 件数 % 件数 % 件数 % 件数 %

1~9 804 48.3 718 49.0 565 45.3 425 39.3 325 37.6

1O~49 564 33.9 484 33.0 410 32.9 367 33.9 340 39.3

50~99 147 8.8 131 8.9 130 10.4 138 12.8 97 11.2

100~199 83 5.0 85 5.8 68 5.5 69 6.4 57 6.6

200~299 20 1.2 23 1.6 24 1.9 20 1.9 20 2.3

300~499 21 1.3 4 0.3 22 1.8 14 1.3 12 1.4

500~999 12 0.7 10 0.7 9 0.7 10 0.9 7 0.8

1000以上 6 0.4 5 0.3 7 0.6 7 0.6 7 0.8

不明 8 0.5 5 0.3 11 0.9 31 2.9

計 1,665 100.0 1,465 100.0 1,246 100.0 1,081 100.0 865 100.0

資料:国際観光振興会「コンペンション統計J各年版により作成

都市別開催件数

開催件数の多い都市は、東京、京都、神戸、名古屋、大阪、横浜、札幌、

福岡、広島、北九州等である。注目されることは、横浜、札幌、福岡、広

島、北九州といった地方都市がいずれも大きく件数を増加させていること

である(表8)。開催件数の多い都市は、いずれもコンペンション施設およ

び宿泊施設が整備されていること、コンペンションピュロ一等のコンペン

ション推進機関があること、また、経済、学術、国際交流団体や大学、研

究機関が存在していること等の諸条件に恵まれているといえよう。

都市別にみると、ここ数年の聞に国際会議の地方分散化の傾向が顕著に

現れた。 1994年でみると、東京が辛うじて第 1佐(208件)を保ったものの、

第 2位の大阪 (206件)にわずか2件の差まで詰められ、全開催件数に占め

るシェアは11.8%と過去最低を記録した(表 9)。

一方、各都市は、地域の文化、特性を生かしたコンペンションの創出に

もとりくんできている。こうした企画の推進・支援は、各都市のコンペン

a唖弓

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表8 都市別国際会議開催件数 10年間の推移

よ之 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年

キL 腕 18 25 36 16 48 41 42 65 72 68

f山 "ei ‘ 8 10 11 11 18 17 31 31 36 30 山 形 l 。 。 。 。 4 3 4 。 1

新 潟 1 1 1 。 4 3 4 3 11 4

つ く 凶? 8 11 3 3 5 25 30 13 19 47

前 橋 。 。 。 1 。 。 9 3 2 。千 葉 1 1 。 。 。 。 11 8 35 50 東 耳ミ 190 184 139 190 205 187 172 181 228 259

横 浜 14 8 8 21 24 41 49 68 87 85

箱板富士 13 6 7 5 11 5 4 2 2 8 静 岡 。 l 1 。 。 。 1 3 2 2

浜 松 1 。 2 1 2 2 2 3 2 2 名古屋 19 17 22 15 33 51 87 146 105 141

松 本 。 。 1 1 。 1 2 1 2 3 富 山 1 1 4 。 。 3 。 1 9 6 金 沢 。 。 9 9 8 6 7 4 2 14

福 井 。 1 。 。 。 。 1 2 1 5

岐 阜 2 。 。 。 4 4 7 14 3 5

尽 都 34 31 58 77 131 115 184 209 180 150

奈 良 2 。 1 。 1 。 8 12 7 11

大 阪 20 56 59 66 66 92 96 98 164 196

千 里 51 82 神 戸 41 36 57 55 89 125 161 164 177 186

広 島 10 10 13 19 7 21 23 41 43 42 松 山 。 1 5 1 3 1 3 2 1 8 北九州 1 l 3 9 11 17 27 39 43 48

福 岡 7 5 18 21 22 41 43 62 82 87

長 崎 1 3 2 4 7 4 8 2 1 3

5H 府 。 。 。 。 2 。 。 2 3 3

青島 本 2 2 4 2 4 2 2 l 6 6 { 昌 崎 。 2 l 。 1 。 1 。 3 3

鹿児島 1 3 4 2 1 1 3 5 2 3 沖 縄 。 。 。 1 2 1 2 4 4 6

その他 30 37 45 36 68 73 59 61 102 101

合計 426 453 514 566 777 883 1,082 1,254 1,487 1,665

注 1: 1つの会議が複数の都市にまたがって開催された場合、それぞれの都市に 1件として計上しであるため、都市別開催件数は実際の会議開催件数よりも多くなる。

注 2:東京は23特別区:箱根富士は箱根町、御殿場、富士五湖周辺:千里は豊中、吹回、茨城を含む:沖縄は那覇、宜野湾、沖縄、浦添を含む。

資料:国際観光振興会f1993年コンペンション統計JP. 8

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表9 国際会議開催件数上位13都市

1994年 1993年

順位都市 件数 都市 件数

1 東京 208 東京 259

2 大阪 206 大阪 196

3 京都 180 神戸 186

4 名古屋 175 尽都 150

5 神戸 170 名古屋 141

6 横浜 104 福岡 87

7 福岡 102 横浜 85

8 千里地区 86 千里地区 82

9 札幌 78 札幌 68

10 広島 67 千葉 50

11 北九州 60 北九州 48

12 千葉 51 つくば 47

13 仙台 38 広島 42

資料: rc&cJ No.49 Oct~Dec 1995, P .83

表10 地域の特性を生かした国際会議の事例(1991)

開催期日 会議名称 参加外客数 園内参加者数 開催地

2/28 文明のシルクロード・博多

74 410 福岡一海の道と陸の道一

5/30-31 室戸付加体国際会議

40 70 室戸一南海トラフ・四万十帯・そして地球ー

8/4-5 第5回滋賀県人会世界大会 300 450 大津

8/26-29 国際茶研究シンポジウム 70 180 静岡

8/30-9/1 第4回松本国際高地医科学シンポジウム 23 271 松本

9/1-6 氷と物理と化学国際シンポジウム 35 107 札幌

9/2-4 ミパエ類の生態と防除に関する

45 85 沖縄国際シンポジウム

10/14 第 1回北海道サケ会議 20 52 札幌

11/8 国際温泉シンポジウム 10 250 前橋

資料:国際観光振興会 11991年コンペンション統計JP. 5

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ションの振興、またそれに伴う地域の国際化、活性化に大きな意味をもつ

ことになるだろう。 1991年に開催されたこれらの事例は別表のとおりであ

る(表10)。

2) 見本市・展示会開催件数間

見本市・展示会の開催はほぼ順調に推移している。 5年間の推移でみると

1988年には、開催件数295件、入場者15,804,625人であったが、 1993年には、

それぞれ、 414件と、 24.387.080人となっている(表11、12)。

都市別でみると、 1989年、 1位東京(180件、全体の56.6%)、 2位大阪(56

件、 17.6%)、 3位名古屋 (27件、 8.5%) と上位 3都市で全体の 8割以上を

占めている。 1989年に千葉市に幕張メッセが開設されたため、 1990年には千

葉 (40件、 12.4%) が名古屋を抜いて 3位に浮上している。以後毎年順位は

変わらず、また東京、大阪、千葉、名古屋といった大都市集中が続いている。

特に、関東(東京、千葉、横浜、 53.5%)のシェアは突出しており、関西(大

阪、神戸、 26.7%) の倍となっている(表11)。

表11 都市別主要見本市開催件数

1993 1992 1991 1990 1989

件数 % 件数 % 件数 % 件数 % 件数 %

東尽 149 35.9 99 29.1 127 35.5 150 46.4 180 56.6

大 阪 95 22.9 68 20.0 66 18.4 61 18.9 56 17.6

千 葉 61 14.7 66 19.4 52 14.5 40 12.4 3 0.9

名古屋 24 5.8 26 7.6 25 7.0 19 5.9 27 8.5

神戸 16 3.9 15 4.4 18 5.0 9 2.8 6

福 岡 15 3.6 3 0.9 12 3.4 7 2.2 11 3.5

横 浜 12 2.9 10 2.9 7 2.0 5 1.5 6 1. 91

広島 10 2.4 4 1.2 8 2.2 3 0.9 6 1.9

北九州 9 2.1 15 4.4 15 4.2 12 3.7 8 2.5

札 幌 8 1.9 13 3.9 7 2.0

その他 16 3.9 21 6.2 21 5.8 17 5.5 15 4.7

合計 414 100.0 340 100.0 358 100.0 323 100.0 318 100.0

資料:国際観光振興会「コンペンション統計」各年版により作成

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表12 わが国における主要見本市開催件数

1993 1992 1991 1990 1989 1988

件 数 414 340 358 323 318 295

出展社数 59,804 56,927 54,796 48,462 43,179 37,151

入場者数 24,387,080 18,305,375 20,563,612 18,424,378 18,063,916 15,804,525

資料:国際観光振興会「コンペンション統計j各年版により作成

国際会議については、施設の整備とピュローの設置に伴い、ここ数年地方

分散化の傾向が顕著にみられたが、見本市に関しては、大都市集中のパター

ンが変わらない。これは、わが国の見本市、展示会はPR志向が強く、一般

を対象として見本市が多いため、集客の容易な大都会での開催が好まれるか

らである。しかしながら、 10位以下の都会の全体に占める割合は、わずかで

はあるが、伸びてきており、将来的には地方分散化の可能性がでるものと思

われる。

大型のコンペンション施設の整備も進み、パシフィコ横浜、山形国際交流

プラザ、アクトシティ浜松、ワールド・コンペンション・センター・サミッ

トなど施設が続々と開業した。80年代後半に各地で大型施設の建設が相次ぎ、

運輸省が指定する「国際会議観光都市」は42か所に広がった。これから多く

の都市がコンペンションの受け入れ態勢を整備し、従前にも増して積極的な

誘致、宣伝活動を展開するものと予想される。つまり、都市問、施設聞の競

争が一層激化するということである。

(3) 日本におけるコンペンション施策

1) コンペンション関連組織

a. 日本コンペンション・ピュロー

わが国におけるコンペンションへの本格的な取組みは昭和40年に始まる。

コンペンション推進機関を設立する動きは昭和30年頃からあったが、 40年6

月に、国際観光振興会、東京商工会議所、日本航空の 3団体により、当時任

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意団体「日本コンペンション・ビュロー」が設立された。翌年、国際観光振

興会の一部局として取り込まれた。設立目的は、昭和39年に開催された東京

オリンピックを契機に国際会議を誘致し、国際社会に復帰した日本をみても

らうことにあった。ビュローの業務は、海外への、日本'の宣伝、主催者・

受入団体へのコンサルティング、誘致・参加者勧誘活動等であった。

b. 日本コンペンション推進協議会

昭和60年 4月に、国際観光振興会は国際化を志向する地方自治体およびコ

ンペンション推進機関とともに、国際会議の誘致と受入れ体制の整備の一層

の促進を目的として設立された。

C. 糊日本コンペンション振興協会

全国レベルでのコンペンション振興体制を整備する視点、から、63年6月に、

地方自治体を始めとして、旅行業、宿泊業、運輸業、会議代行業、広告代理

業等のコンペンション関連事業者等の参画を得て、制日本コンペンション振

興協会が設立された。同協会は、コンペンションの誘致、コンペンション振

興に従事する人材の育成等、わが国のコンペンション振興のための諸活動を

実施している。

2) 国際コンペンション・シティ構想

a.構想の背景(16)

国際コンペンションの振興は、消費機会の増大により内需の甚大に資する

こと、人的国際交流の促進により国際的相互理解に役立つこと、地方の国際

化に役立つこと等、多大な意義を有することから、その振興の必要性は従来

から強く認識されてきた。しかしながら、わが国における国際コンペンショ

ンの現状は、極めて立ち遅れた実情にあった。島国というハンディキャップ

があるため、西欧の主要都市に比較して国際会議開催件数がすくないのは止

むを得ないにしても、日本の地理的条件においてさほど差のない、シンガポー

ル、ソウル等におくれをとっている事態をみると、関係者の協力によるコン

ペンション振興活動の必要性が痛感された。国際会議の開催地については、

地方分散化の傾向が顕著に現れた。これは地方都市が近年コンペンション振

興に取り組みはじめたことを反映している。このようにわが国が国際コンペ

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ンションについて遅れていること及び地方都市コンペンション振興に熱意を

もち始めたことを前提として、運輸省は、 1987年、国際コンペンション・シ

ティ構想、を打ち出した。この構想は、コンペンション・シティとして基礎的

条件が整っている都市を諸外国に宣伝することにより国際コンペンションの

誘致をはかりそれぞれの都市におげるコンペンション振興を推進することを

通して、わが国全体のコンペンションランドとしてのレベルアップを図ろう

とするものである。

b.指定要件

コンペンション・シティの指定の対象となる都市は、ア)会議場施設、宿

泊施設等ハード面の体制が整備されていること、イ)コンペンション誘致推

進組織等のソフト体制が整備されていること、ウ)魅力ある観光資源が存在

すること、エ)適切な事業実施計画を有すること、の 4つの条件を満たす必

要がある。

C. 支援措置

指定都市に対する支援措置は、ア)会員都市の諸外国への宣伝、イ)海外

コンペンションへの参加、海外巡回セミナーの実施、ウ)コンペンション開

催決定権者の招鴨等、エ)研修会等の開催、オ)コンペンション・ミッショ

ンの派遣、カ)都市別コンペンション開催手法の分析、キ)関係情報の提供、

その他となっている。

3) コンペンション法の制定

a.法制定の背景

近年、多くの都市においては、国際会議場施設の整備やコンペンション推

進機関の設立が積極的に行われているものの、国際会議場は一部を除いて十

分に活用されておらず、人材、ノウハウ及び事業費の不足など問題をかかえ

ているところが多い。また、わが国で開催されている国際コンペンションの

開催件数は欧米のコンペンション先進国に比べ低い水準にとどまっており、

国を挙げて国際コンペンションの誘致にとりくんでいるアジア各国にも遅れ

をとるおそれがある。このため、平成 6年に「国際会議等の誘致の促進及び

開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律(コンペンション法)Jが

-80ー

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制定され、国際会議等の一層の誘致の促進および円滑化を図ることとした。(17)

b.国際会議観光都市

コンペンション法の制定により、従来の「コンペンション・シティ」の指

定制度は解消され、新たに「国際会議観光都市j制度が設けられた。同法に

もとづき現在42都市が国際会議観光都市に指定されている。認定をうけた都

市に対しては、(特)国際観光振興会が国際会議等の誘致に関する情報の提供、

諸外国における宣伝および誘致活動に対する支援を実施するとともに、一定

の要件を満たす国際会議等については、寄附金の募集、交付金の交付を行う

など、主催者への援助をおこなう。 (18)

C. 国際コンペンション誘致センター

コンペンション法の制定をうけ、国際コンペンション誘致活動を飛躍的に

拡大するため、(特)国際観光振興会の内部部局として、従来のコンペンショ

ン・ビュローを改組して、コンペンション誘致センターが設置された。国レ

ベルのコンペンション推進機関であり、わが国への国際コンペンションの誘

致、開催支援をおこなう。

4) コンペンション施設(センター)と推進団体(ピュロー)

a. コンペンションセンター

一般的にいって、コンペンションの開催が可能な施設、つまりコンペンショ

ン施設としては、次のようなものがあげられる。専門会議場、多目的会議場、

見本市会場、展示会場、体育館などスポーツ施設、ホテル(宴会場、会議場)、

文化施設、各種団体の会議場、大学などの講堂、大規模な広場等である。コ

ンペンションの内容が多様化し、誘致競争が激しくなってくると、中途半端

な施設では誘致が大変難しくなってきた。目的に叶った機能と柔軟性を備え、

各種イベントに対応できるスペースをもち、サービスに徹したスタッフが揃

う近代的コンペンション施設が求められる。そうした要素をとり込んだのが、

現在わが国の各地で、自治体が建設、運営するコンペンション施設(センター)

である。

施設(センター)の建設及び管理運営は、自治体の負担において行われる

ケースが多い。センターの維持管理はおおむね赤字であり、赤字補填は行政

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においてなされる。これは、単に施設単体の収支をみるのではなく、地域に

もたらされる消費額の大きさ、雇用効果、計量できない文化水準の向上効果、

情報拠点効果など、間接的ないし社会的効果を含めた総合的な収支からすれ

ば、公共が投入する金額の大きさは問題とならないという認識にたっている。

b.コンペンション推進機関(ピュロー)

既述の如く、米国では全国約400都市にコンペンションピュローが設置され

ている。わが国では、昭和50年代後半から昭和60年代前半にかけて地方都市

のコンペンションビュローが相次いで設置され、現在では、全国約50の都市{聞

においてコンペンションピュローが設立されている。その多くが財団法人化

されている。構成上は概ね、県、市、商工会議所で構成される第3セクター

であることが多い。それに加えて通信会社、旅行代理屈等民聞からの出向者

も含めて構成されることもある。

ビュローの役割は、コンペンションを誘致し、コンペンションセンターの

みならず、地域内のコンペンション関係施設の活用を図ることにある。その

主な業務は、都市の知名度の国内外での確立、地域経済効果の高いコンペン

ションの誘致と開催件数の拡大、総合的な地域情報の提供、地元のサポート

機能の強化、コンペンション産業としてのシステム化の推進等である。

ビュローの運営資金をどうするかは大きな問題である。独立採算でいげる

見込みは、欧米の例からしてもほとんどないと思われる。わが国のピュロー

の運営費の財源は行政からの補助金と会費収入によるが、一般的に財政規模

は小さく、十分な活動は期待できない。 (20)アメリカでみられるような宿泊費

の一部を還元するとか旅行業のように斡旋手数料をとる社会慣習が成立して

いない。従って、会費収入を確保する財源的裏付げがない以上、運営費の大

部分を行政の資金的援助に頼らざるを得ない状況である。 (21)

わが国とアメリカのピュローとの根本的な違いは組織の設置の在りかたに

あると思われる。アメリカにおいてはピュローは公益法人として独自に運営

しているため、その運営には弾力性、主体性がある。スタッフもコンペンショ

ンには長い経験をもったプロ集団である。これに対して、わが国は、自治体

や商工会議所の一部門として設けられているケースが多い。従って、報L務に

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就く人は数年で異動するので人材の定着がはかられない。今後、地域問、施

設問競争が強まってくることから、ハード、ソフト両面での差別化、地域特

性のつよいコンペンションの企画と継続的実施ができる人材養成の課題があ

る。

全国55のコンペンション推進機関へのアンケート調査(アイシーエス企画)(22)

によると、「誘致事業を推進するうえでもっとも苦労すること・課題」のトッ

プが「人材不足J44.6%である。人数が足りないという他に「スタッフの大

半を他国体の派遣職員が占め経験を積みかさねた噴に異動となるJという悩

みを抱えている組織もある。第2番目は「資金不足J33.9%、「手法がわから

ない人jが7.1%、「その他J14.2%である。年間予算額については、人件費

をどのように負担するかは別として、回答のうち最高は 1億2,000万円(職員

14人)、最低は約4,000万円(同 3人)。このような状況のなかで、せっかくの

組織が有効に機能しうるか、危慎を抱かせる。

4.沖縄におけるコンペンションの現状と施策

(1) 県政におけるコンペンション施策の位置づけ

沖縄県では平成4年からスタートした「第 3次沖縄振興計画Jのなかで観光・

リゾートを県のリーディング産業として位置づけている。一方では、「リゾート

沖縄マスタープランJ(1990年3月策定)において、国の第 4次全国総合開発計

画」および「総合保養地域整備法」との関係を配慮しつつ、観光・リゾート開

発を展開するに当たっての基本的課題、基本方向、基本施策を明らかにし、今

後の観光・リゾート振興策の具体的方向性を提示している。同マスタープラン

は、コンペンションを誘致誘客の起爆剤、通年対策及び国際リゾート沖縄の国

際交流機能、情報発進機能を担い且つ強化するものと位置づけ、リゾート振興

施策とコンペンション振興施策との連携の必要性を説いている。

(2) コンペンション関連組織・施策

1) 行政組織

県におけるコンペンション行政は、商工労働部観光文化局観光振興課が所

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管する。また、県のコンペンション行政の総合的、効率的推進を図るため庁

内関係機関として、平成元年に、「めんそーれ沖縄県民運動推進協議会」、平

成2年に、「沖縄コンペンション推進連絡会議」が設置された。同推進連絡会

議は、コンペンションの誘致・支援に関わる連絡調整・推進およびコンペン

ションに関する県庁の情報収集・交換などの協議をするための横断的な組織

である。

2) コンペンション施策問}

平成7年度の県政における重点施策のなかの観光振興関係重点施策では、

「自立を目指した特色ある産業の推進」を柱とし、「観光・リゾート地の形成

及びレクリエーション地域の形成」を施策目標としている。これに基づいて、

「観光・リゾート推進の開発整備J1コンペンションの推進」が「誘客宣伝活

動の推進J、「推進体制の整備J、「関連産業の振興」と並んで重要な項目となっ

ている。この施策体系をみても分かるように、沖縄県では、コンペンション

振興策、コンペンションビュローの育成が観光振興策の一部として明確に位

置づけられている。なお、観光文化局は、観光客の誘致対策として、 1)三

大イベント (1花のカーニノりレ」、「海のカーニノりレ」、「サントピア沖縄J)の

実施、 2)各種キャンペーンの実施、と並んで、 3)コンペンションの誘致

を掲げている。

3) コンペンション関連団体

県の観光リゾートの振興を支援する外郭団体として「オキナワ・ビジター

ズ・ビュローJ(前沖縄県観光連盟と前沖縄県観光開発公社が合併した)、及

びコンペンション関係団体では、「糊沖縄コンペンションセンターjと「オキ

ナワコンペンションビュローJがある。 3団体は、各々役割分担をしながら、

かつ連携して観光・リゾート及びコンペンションの推進機能を果たしている。

特に、ビジターズビュローとコンペンションビュローは緊密な情報交換をし

ながら、沖縄の PR、誘致、支援活動をおこなっている。

(3) 沖縄コンペンションセンターとオキナワコンペンションピュロー

1) 沖縄コンペンションセンター

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沖縄におけるコンペンションセンターの建設計画は、全国でも先駆的なも

のであった。沖縄県が観光客の通年化と長期滞在型の観光・リゾート型形成

をめざして展開した具体的なコンペンション推進の動きは、昭和54年「沖縄

コンペンションホール建設構想」に始まる。第2次沖縄振興開発計画(昭和

57年.......66年)において、「アセアン諸国等を対象にした研修等の機能を有する

国際センターの設置と相乗効果をもつような国際的会議・集会等の開催が可

能な施設の整備」として建設構想が打ち出された。

構想策定の直接のきっかけ附は、昭和53年に沖縄で開催された青年会議所

大会である。同大会が3,000人規模と大型であったことから、当時これを収容

できる会場が無く、港の埠頭倉庫を改装して急逮対応した。その後、地元経

済会の中からコンペンション誘致の必要性とその施設整備の声があがった。

同構想と受けて、翌年昭和55年には「沖縄コンペンションホール建設基本計

画調査」が実施され、 5年後の昭和60年にはセンターの着工、昭和62年に多

目的展示場 (7,464平米)、会議場(大会議場516平米、 500人収容)及び中小

会議場、平成2年に劇場 (1,709席)が、それぞれ完成、供用開始された。間

昭和62年にセンターの管理運営主体として「財団法人沖縄コンペンション

センターJが設立された。事業内容は、コンペンションの調査・企画、誘致・

支援、情報の収集・提供、センターの管理運営、情報・宣伝に関する事業等

である。

2) オキナワコンペンションピュロー

オキナワコンペンションピュローは、昭和62年12月に設立された。設立目

的は、「コンペンションアイランド・オキナワ」の優れた地理的条件、伝統文

化等の特性を生かし、コンペンションの誘致、主催者に対する支援等を行う

ことによりコンペンションの振興を図り、もって人的・物的交流を促進し、

地域経済の活性化、文化の振興等国際交流の場の形成を図ることを目的とし

ている。

財源は基本的に会費収入と負担金(県、那覇、沖縄、宜野湾、浦添市)収

入に依存している。運営費の財源は、圧倒的に負担金収入に依存している(表

13)。組織の上では官民一体の推進型であるが、財源の面では行政主導型となっ

-85-

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ている。組織は任意団体かつ会員制非営利団体会員によって構成される。総

会が最高意思決定機関であり、運営は理事会によっておこなわれる。会長、

副会長、専務理事による執行役員体制をとっており、その下に事務局が設置

され、業務を遂行している。事務局は県、市(宜野湾、那覇市)、民間企業か

らの出向職員及びプロパー職員によって構成されている。会員は約200団体で、

多様な業界業種に及んでいる。

表13 財源の状況(予算ベース)

財 源 平成6年度 平成5年度 平成4年度

会費収入 14,420 14,420 13,600

事業収入 1 1 1

負担金収入 44,999 44,627 43,209

雑 収 入 230 372 748

前期繰越12,643 14,818 9,072

収支差額

計 72,293 74,238 66,630 」一 一

註:負担金収入は、沖縄県、那覇市、宜野湾市、浦添市、沖

縄市からの負担金である。

資料:オキナワコンペンションビュロー「総会議案」により作

(4) 沖縄におけるコンペンションの現状

1) コンペンションの開催状況(平成 3 年度~6 年度)附

a.種類別開催状況

コンペンションの種類を(1)大会・会議・学会、 (2)研究会・シンポジウム、

(3)見本市・展示会、 (4)スポーツ大会・行催事、 (5)その他の各種交流会の 5

つに分類し、平成 3年度から平成 6年度までの 4年聞におけるコンペンショ

ンの件数と参加者数の推移をみる。開催件数の最も多いのが項目 1で、沖

縄コンペンションの特徴としてこの項目に集中していることがわかる。因

-86一

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みに、項目 1の内訳をみると、 2つにわけられる。 Iつが、政党・宗教・

組合・企業等の大会であり、全国大会・地区大会等に活用されている。 2

つ目が正式の会議・学会・協議会・相談会となっている。

項目 1に続くのは、項目 4、項目 2、項目 5、項目 3の順序となってい

る。項目 3の見本市・展示会の開催は、特に全国規模では全く皆無に等し

い。これは見本市等は企業集積および大消費地を背景とした大都市で開催

される傾向があり、他の地方都市でもみられる現象である。近年特徴的な

表14 年度別・種類別開催状況

コンペンションの種類 3年度 4年度 5年度 6年度

162 148 114 131 ー"・・・・------------ ー-----・---------- -ーーーーーー

大 会 ・会議・学会69,197 126,678 53,338 93,234

(21,161) (35,842) (32,196) (22,558)

7 6 7 7 7 7 9 7 -・・・・・・・・・・・ーーーーー ー骨・・・・・・・・・・・._--・ -・・・・・・・------曲・ー ー---・・・・・・・ーーーーー.

研究会・シンポジウム19,748 18,545 16,698 27,883

(9,915) (9,407) (9,453) (13,155)

4 7 --値白ーーーーーーー--ー・-- -ー・ー・ーーー-ーーーーーーーー -・・・・・・・・・・・・・・ーー ーー-----_.幽・ー・.-・ー・.-

見 本市・展示会52,050 373,985

(4,505) (6,035)

9 1 8 5 111 116 司ー・・・・・・・・・・ーーーーー ーーーーーーー--ーーーーーーー・ -------司--司p・p・p・._-- ーーーーーーーーーーーーーーーーー

スポーツ大会・行、催事791,459 1,005,1384 1,256,294 1,348,684

(141,389) (169,674) , (210,425) (233,192)

3 3 138 9 5 4 1 -・・・・ーーーーーー---.・骨. -・・・ー・・.ーーーーーーーー・ -・・・・・・・---------- -ーーーーーー-.・ーー

その他の各種交流会19,821 25,583 26,513 9,229

(3,444) (14,737) (16,424) (7,067)

362 448 401 3 9 2 -・・・ー・ー・--------- ーーーーーー,ー-_---ーーーー -ーーーーーーーーーーーー ー・ーーー・・・ーーーーー・ーー・e

tE3 h 計 900,225 1,175,994 1,404,893 1,853,015

(175,909) (229,660) (273,003) (282,007)

資料:オキナワコンペンションビュロー「平成6年度コンペンション総計JP. 9

ni

oo

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ものは、項目 4、スポーツ大会、行催事が増加している。昭和62年度は23

件であったが、平成3年度91件、平成6年度には116件と開催件数は飛躍的

に増加している。また参加者数および県外からの参加者数も増えている。

これは沖縄の温暖な気候がスポーツリゾート開催の誘因のーっとして高く

評価されてきた表れである(表14)。

月別(平成 3年度""6年度)の開催状況をみると、件数のトップは、例

年おおむね、 11月、 10月、 2月の順になっており、秋・冬型に若干集中し

ている。沖縄県が観光地であり、県外からの来訪者のほとんどが空路を利

用するという制約等からコンペンションの開催は春・夏の観光シーズンを

控える傾向が見られ、沖縄のコンペンションの開催は秋、冬型が主導とい

うことができる。また、スポーツ関連のものは、秋冬でも温暖は沖縄の気

候を活かして、秋、冬型に集中する傾向がみられる(表15)。

2) プロック・全国・国際規模コンペンションの開催状況(平成6年度)

開催件数で、最も多いのが全国関係が183件 (46.7%)、次に、ブロック関

係151件 (38.5%)、国際関係58件 (14.8%)となっている。

県外・圏外参加者数では、全国関係が146,789人で52.0%と大半を占めている。

次に、国際関係104,487人 (37.1%)、プロック関係で30,731人 (10.9%)と

両者は開催件数とは全く逆になっている。それは、国際関係でスポーツ・催

事関係が開催件数5.4%(21件)と少ないのに比して参加者数は36.4%(102,565

人)と大きな差が生じているためである(表16)。

沖縄において、いろいろのコンペンションが開催されているが、現実はど

ちらかというと、県内コンペンションが多く、プロック、全国、もしくは国

際規模のものはすくない。したがって、県外からの誘致の施策展開が緊要の

課題となる。

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表15 年度別・月別開催状況

4 月

5 月

6 月

7 月

8 月

9 月

10 月

11 月

12 月

1 月

2 月

3 月

3年度 4年度 5年度 6年度

-k(: 一.;;一-i)-- --f- ------(t之仏:?ff三誌-:::会~-~)----f 一h(一}.-~)----f 一i(;;-;:.;一:;j

iιf-----(品 f-------(一;-:.ム|一r{;:一:jkηf-----(札JぷiJJよtお:;:f三-.-j)----f 一;一一-i)----f 一I{;;一:.:-;;

一h(-;一;よ f-------(-~ι品:fff日仏-::?去~-!)----f-------(一t~)----f-----(品h誌 f-------(-i -. -!) ----f-------(-i -. -6) ----f-------{i -. -~) 2 4

(6.6)

4 1

(9.2)

2 2

(5.5)

2 4

(6.1)

i証JJ4JぷiJJ4止ιt-k---f-----(札4J4ぷiJよよぷι守:if日;:f日;::一-6)--+----(証JA正ぷ品tt正ι品:1f:::7去-i)----f-----(瓦JA斗ぷぷJええιぷ::f日::7去-:i ;i j

iお f-----(札JぷぷJt2ιι:L:2::jよ一-~)----f-----(l一ti)-- --f----.(証JAι♂品tttι品(1f:;:;5 一::;: j

k-仏| }J:-:.:-; | hiJJお勾;ff日;;if日-::7今~-k---f-------(-~芯誌::f己誌;:f己;:;る司:;;; j

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id[ttβ'i-.-~)--+------(ι芯 f-----(品 f Oo ---(i~品:;7-::i hJJι:7i土2-;:?.;:一_!)Oo--f-------a ~ぷ品:7if2ら-;:7主~-k---f-------(一t~)Oo --f よし

合 計 l 耐ω耐ぷ而b:ふb而)----f----(-'瓦耐∞玩:沿-6)-- --f----(~瓦i耐而玩耐;ふ-6)-- --f- ---(-iぷi※( )書きは構成比

資料:オキナワコンペンションビュロー「平成6年度コンペンショ

ン統計JP .10

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表16 年度別・地域規模別開催状況

コンペンションの地域規模 3年度 4年度 5年度 6年度 %

4 6 5 5 5 0 5 8 14.8 国 際 -・・・・・・・----ーーー ーーー----ーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーー ー司司ー・ー----曲ーーーーー ーーーーーーーーーー

412,867 595,235 567,696 591,517 31.9 (90,168) (ll2,257) (100,205) (104,487) (37.1)

6 8 162 175 183 46.7 全 国 ーーー・ー・・・----ーーー ー--------------ー・--------------

409,665 419,987 788,767 1,215,516 65.6 (58,887) (88,452) (140,403) (146,789) (52.0)

248 232 176 151 38.5 ブ ロ ク

ー...ー..晶..畠晶E ・--------------・・・・・ーーーーーーーーーーツ 77,693 160,722 48,430 45,982 2.5

(25,854) (28,951) (32,395) (30,731) (10.9)

362 448 4 0 1 3 9 2 100 Ed』3 計 ーー・ーーーーー.ーーー E ・---------------------ーーー-----色合ーーー------

900,225 1, 175, 944 1,404,893 1,853,015 100 (175,909) (229,660) (273,003) (282,007) (100)

※上段:件数中段参加者総数下段県外参加者数

資料:オナキワコンペンションビュロー「平成6年度コンペンション統計」一部加工、 P.9

(5) 沖縄観光・リゾー卜の特性

1) 沖縄県の観光・リゾート市場は 1年のうちで次のような 2市場に大別さ

れる。

a.海浜リゾート市場(4 月 ~10月) 4 月 ~10月のシーズンは、沖縄の

青い海、青い空に代表される海水浴やマリンレジャーを中心としたマリ

ン・リゾートの市場で、 30代以下の若者市場となっている。

b. 周遊型市場 (11月 ~3 月) 11月~3 月のシーズンは観光スポット巡

りを主な内容とする40代以上の中・高者市場となっている。

2) 入域者数の季節的特徴

夏期休暇時期の 8月と春休みの 3月が大きな山となっている。これに対し

て、年末年始の12月から 1月、 4月、 5月がオフとなり冬場のボトム期の入

域者数は 8月の63%(平成 6年実績、平成 6年版観光要覧)に止まっている。

オフシーズン対策による通年化が課題とされる。

3) 滞在日数

12泊 3日Jの4l.1%が最も多く、次いで 13泊 4日J37.3%、14泊 5日J

9.3%、15泊 6日J3.7%、11泊 2日J3.4%、17泊以上J3.3%、16泊 7

-90

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日J1.9%の順となっている。平均滞在日数は、 3.94日となっている(平成6

年実績)。平均滞在日数は、昭和56年 (4.85日)から短期化の傾向がみられ、

本県の観光・リゾートは短期滞在・周遊型観光が主流となっている。

5.観光・リゾー卜地とコンペンション

(1) 観光・リゾー卜とコンペンションの補完関係

既述したように、コンペンションは域外から、人・物・情報を呼びこむシス

テムであり、その特徴は非日常的かつ滞在型の行動にある。この点では、観光

地及びリゾート地は域外から来訪者の受入れ態勢が整備されており、また、サー

ビス産業も充実しているので、コンペンション受入れの基本的な基盤は整備さ

れているといえる。それをうらがえしていうと、観光地及びリゾート地はコン

ペンション都市化、あるいは地域化の推進しやすい環境にあるということにあ

る。これはリゾートとコンペンション施設を有機的に結びつげることによって

魅力を増幅させ、双方の利益になるようにすることができるということである。

コンペンションは、ある場合には、リゾート地を活性化させる切り札でもあり、

またある場合には、リゾートがコンペンションの誘致・開催を決定する重要な

要因にもなるということである。リゾート戦略とコンペンション戦略には基本

的に共通要素が多く、互いに補完関係にある。 (27)

世界の有名リゾート地では、相当以前から来訪者の通年化を実現することで、

より一層の地域の活性化を図るためにコンペンションの振興に熱心に取組み、

成果を挙げている。わが国においても、コンペンションを人を集める手段とし

て打ち出し、コンペンションの推進によって来訪客の増加を図ろうという都市、

あるいは地域が増えてきた。そこで、観光リゾート地におけるコンペンション

開催のメリット及び海外における海外・リゾート型コンペンション都市につい

て概観する。

(2) 観光・リゾート地におけるコンペンション開催のメリッ卜

1) 参加者、主催者のメリット

a.参加者と心身ともにリフレッシュする機会を与える。

-91-

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コンペンション参加者は 3、4日から数週間にわたってその都市で過ご

すが、アフター・コンペンション、すなわち滞在期間中コンペンションに

よる拘束を受げない時聞は、その地域と何らかの接触を持つようになる。

快適な環境が約束されるリゾート地でのコンペンションは、心身ともにリ

フレッシュする機会を手にいれることでもある。特に、インセンティプ・

コンペンションの場合には、社員の動機づげ及び報奨という意味あいから、

目的地がリゾートになる必然性は高い。実際、開催地選定に際して、会議

施設以外にレクリエーション施設と気候が重視されている。

b.会議の効率化、参加者の連帯感の高揚が期待できる。

リゾートコンペンションには、企業レベルでの膨大なニーズが存在して

いる。これは、専門職の高度化や情報処理機器への対応、あるいは経営戦

略の確立や体力づくり、健康管理のための職場外教育という、いわゆるO

JTの効果が広く認識されはじめたことによるものである。この企業レベ

ルのコンペンションがリゾート地で開催されるメリットは、参加者を24時

間その場に拘束できることである。会社の所在地や近隣で開催すると、参

加者が途中で退席したり、夜には帰宅するなど、全体としての一体性が薄

れがちになる。 24時間拘束することは参加者の連帯感を、そして親睦を深

めることにもなり、コンペンションとしては内容はより濃いものになる。

また、長期間にEる研修の場合には、会議、研修の合聞に、テニス、ゴル

フ、水泳などのスポーツやレジャーを組み込むほうが研修全体としての効

果が高まるということが経験的に理解されている。

2) 主催地(地元)のメリット

a.オフシーズン対策として観光客の安定的確保が期待できる

観光にはシーズンがある。個人々々の希望をベースにした観光旅行とい

うのは、シーズンによって大きな繁閑の差があり、観光商品は一般に時間

とともに消えてゆくものである。オフシーズン対策を観光レベルだけで考

えては、輸送機関と連携し特別割引きにするくらいしかないだろう。都市

や観光・リゾート地にコンペンションを誘致することは、強制的に人を呼

び込む最高の方法なのである。例えば、冬の札幌は、雪祭りの時を除いて

-92-

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一般の観光客は寒くて行かない。コンペンションがあるとすれば、義務と

して行かなければならない。反核や平和会議が広島、長崎で催されるのも

その例である。

b.まとまった集客が可能である

観光は、原則として全国の不特定多数の人々を対象にしている。そのP

R方法は、新聞や雑誌での広告、パプリシティや駅張りポスターなどによ

ることが多く、その意思決定は個人レベルである。一方、コンペンション

は開催する事務局を持ち、その企画にそった人々を集める。従って、誘致

方法はいわば一本釣りに近く、実際多くのコンペンションビュローがおこ

なっているように、直接その事務局や業界に対して PRすることになる。

事務局や機関が開催地を決定すると、その協会、団体等の会員、いわば特

定多数の参加が期待できるのである。

(3) 海外における観光・リゾート型コンペンションの事例側

1) 海洋性リゾート:ニース(フランス)

温暖な気候、美しい海岸と家並、古い歴史と文化を誇るフランス有数のリ

ゾート観光として世界的に知名度を誇っている。観光客のオンシーズンは 6

月から 9月、それからカーニパルの開催される 2月、従って11月から 1月に

かけてオフシーズンとなるため通年化をはかることを目的に、1985年に1,500

席の大ホールをもっアクロポリスコンペンションセンターを建設し、コンペ

ンション振興に取り組んだ。

2) 山岳リゾート:ダボス(スイス)

ダボスは結核の保養地でしたが、その後スキーリゾートとして知られるよ

うになったアルプス最高地の小さな町であったが、医学関連会議が多数開催

された。1969年には1,100席の大ホール、中小会議室20室を有するコンペンショ

ンセンターを建設し、本格的にコンペンションに取組み、 1971年以降世界経

済会議の開催地となっている。この他に地の利を活かしてスポーツイベント

も多数開催されている。山岳リゾートコンペンション都市の典型的な例であ

る。

-93-

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3) スポーツレジャーリゾートコンペンション:アスペン(米国)

米国コロラド州にある。 1800年代には銀の町として栄えたが、 1893年に「銀

買上げ法」が廃止された後急激に衰退した。しかし1930年にはいり、スキー

リゾートとして開発され、全米に知られるようになった。つまりアスペンの

コンペンションへの取組みはスキー大会誘致から始まった。当然の流れとし

てオフシーズン、つまり夏の閑散期対策に取組み、夏の音楽祭、春のデザイ

ン会議の年中行事化に成功した。現在では会議誘致のほかゴルフ、テニス、

エアロピックスなどに加えワイン会議、ビール祭り、姉妹都市行事などの開

催により来訪客の確保に努めている。夏はスキーシーズンの冬につぐハイシー

ズンになっている。

4) 温泉観光地:パーテ.ン・パーデン(ドイツ)

ドイツの西南部の温泉保養地。近年、温泉と観光と会議の町として売出し

ている。コンペンションへの取組みは、他の観光リゾート地と同様オフシー

ズン対策である。 11月と12月がオフシーズンで、この聞にコンペンションの

誘致に努めている。 1968年にコンペンションセンターを建設し、その後拡張

した。来訪者の80%がリピーターである。目的別に分類すると、保養、観光、

会議、それぞれ3分の lずっとなっている。来訪者の通年化に成功している

例といえる。

5) 歴史的観光地:ウィーン(オーストリア)

音楽と文化の町として世界的に知名度が高く、音楽祭を開催し多くの観光

客を誘致している。1987年に4,500人収容のメインホールを持つ大型コンペン

ション施設を建設し、コンペンション都市として一大飛躍をみせた都市であ

る。ウィーンは世界的な知名度を背景に歴史と文化的な魅力と、近代的なコ

ンペンションセンターをセールスポイントとして強力に誘致活動を展開しコ

ンペンション都市としての成長が著しい都市である。

6.沖縄におけるコンペンションの振興方策(むすび)

(1) 観光・リゾート型コンペンションの推進

観光地では、来訪者は普通、通過型で、しかも季節的な変動がみられる。つ

-94-

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まり、オンシーズンとオフシーズンにおける来訪者数の差が大きい。そこで、

通過型来訪者をいかに長期化させるか、またいかに解消するかは観光地の抱え

る課題である。また、リゾート地についても、本来は保養が目的であるが、観

光地と同様の問題をかかえている。例えば、海洋性のリゾート地では、夏はオ

ンシーズンであるが、冬はオフシーズンとなり、リソート地は閑散となる。そ

こで、リゾート地が一つの産業として良質のサービス提供を維持するためにも、

この季節聞のギャップを埋める戦略が必要になってくる。

入域者の季節的特徴は、夏期休暇と春休みの時季がピークで、これに対して

年末年始の冬期はオフシーズンである。したがって、年間の入域観光客の平準

化を実現するためには、オフシーズンにも入域する観光リゾート需要を喚起す

る方策を講ずる必要があり、また、短期滞在型・周遊型観光から、沖縄の人、

自然、文化等と深く係わりあえるような長期滞在型の観光リゾートへの転換を

促進することである。つまり、コンペンションを起爆剤として観光・リゾート

型コンペンションを振興していくことが、有効な課題解決の一助となりうるの

である。

既述のとおり、アジアのコンペンション先進国であるシンガポーノレや香港に

加えて、台湾、韓国等も同様に各々のお国柄をいかしたマーケテイング戦略で

コンペンション誘致合戦を繰り広げている。ハワイやオーストラリアも洗練さ

れたノウハウをもって環太平洋のコンペンション市場の開拓を推進している。

今後、世界的規模でコンペンション需要の高まりに伴い、コンペンション市場

がボーダーレス化し、わが国の市場を巡って国際間において激しい競争が展開

される。

沖縄がアジアの要に位置し、わが国の本土とアジアの主要都市を結ぶ中間地

点にあることは、環太平洋時代、とりわけアジア時代をむかえるなかで、その

地理的有利性を有するものの、コンペンションの誘致の面では、環太平洋の各

都市・リゾートが我が国のコンペンション市場を重要なターゲットとしたライ

バルであることは間違いない。

沖縄はすでに、圏内のみならず、台湾、韓国への売り込みに熱心である。今

後はさらに、競合相手の多い環太平洋の観光・リゾートエリアの中で、沖縄の

FD

nB

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地理的特性、歴史、文化そして豊かな観光資源を、コンペンションのプログラ

ムに生かすさまざまな方法を、地域自らが模索し、演出し、表現していくこと

が国際化社会の中での唯一の区別化を可能にする。

(2) 観光・リゾート型コンペンションの振興策

1) 観光・リゾート型コンペンション都市を実現するための課題

環太平洋の観光・リゾート型コンペンション都市の実現に向けて今後対応

しなければならない課題について、「観光・リゾート型コンペンション地域沖

縄一実態調査報告書J(制tま次のように提示している。

① ターゲット・マーケットを想定したコンペンションのソフトを開発

すること

② 観光・リゾート立県沖縄の地域資源を“コンペンション資源"にす

③ 観光・リゾートらしさを演出し街並みの整備をはかる

④ 24時間にぎわいのあるコンペンションセンターゾーンを創出する

⑤ 輸送力(対国内、国際、県内市場)の強化とアクセスの向上をはか

⑥ コンペンション拠点のゾーニングとネットワーク化を図る

⑦ コンペンションに地域が参加する

⑧ 観光・リゾート型のコンペンションの人材の育成

2) 振興方策についての提言

既述の報告書の他にこれまで各種の報告書で、観光・リゾートを基軸にし

た沖縄コンペンションの振興策について、ハードおよびソフトの両面から多

くの提言がなされている。そのなかには、すでに完了しているものもあるし、

現在計画中または実施に入っているものもある。ここでは、ソフトを中心に、

主として行政とコンペンション推進機関が中心になって解決すべき若干の課

題について述べることとする。

a. ピュローの充実(財政的支援)

大規模なコンペンションセンターを建設したからといって、コンペンショ

-96-

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ンは自らやってくるわけではない。現代コンペンションは、「都市そのもの

を売る」都市戦略に成長してきた。そこでは、コンペンションが最新の設

備をもち、有能なスタッフをもっていることは誘致をする場合の一つの力

になりうるが、行政からの応分の財政的裏付げなくては、その役割を遂行

することは難しい。既述したように、内外の観光・リゾート地聞のコンペ

ンション誘致競争は厳しい。誘致に成功するためにいろいろな便宜供与が

講じられる。誘致の有利な条件の一つに開催費用の低廉化、金銭的オファー

があることから、財政の多寡がコンペンション誘致の成否にかかわること

は間違いない。

b.スペシャリストの育成・確保

地域聞の誘致競争の激化に伴い、コンペンションの企画、営業など、ソ

フトの重要性が一段と高まってくる。従って、ビジネスマインドを持つ企

画および営業の能力のあるプロフェツショナルが必要になる。各都市は地

域の活性化、国際化、また観光を一層推進するために、地域の特性をいか

して他の都市にない魅力を創造、開発していかなければならない。例えば、

地方都市の持つ距離的ハンディを克服し、自分の都市で開催することの必

然性を打ち出し、たとえ遠距離でも、そのコンペンションに参加せざるを

得ないような状況をつくりだす工夫が必要なのである。こうした必然性を

生み出すためには、単に誘致ということだけでは無く、自都市の特質、歴

史的、文化的な資源、地域資源などを見直して、その中から地元みずから、

企画・運営していくという「内発的コンペンションJを開発していくこと

が大切である。そのためには、企画力のある人材が必要である。

また、観光資源のない、もしくは乏しい都市は、いわゆる観光都市にな

りえないが、コンペンション都市には観光資源は絶対に必要な条件ではな

い。人々をひきつける誘因を創造すればコンペンションの開催は可能であ

る。すなわち、知恵と企画力に依ってコンペンション都市になりうる素地

はいかなる都市でも有しているのである。その好例が、人口わずか千人た

らずの交通条件のよくない富山県利賀村で開催される世界演劇祭。0)である。

行政の分野にもコンペンション専門職員が必要であるoわが国のビュロー

-97ー

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によくみられるように、県、市から「出向jの形で職員は配置される。し

かし、 3、 4年すると経験を積んだ職員は別の部署へ配置換えになる。そ

の時点で、それまでに培ってきたコンペンション主催者や開催決定権をも

っデイシイション・メーカーとのコネが途絶する。コンペンションのノウ

ハウは傾向として人に付随するもので、その誘致は、人脈を生かし、長期

にわたるセールス活動を必要とすることを考えるとき、この様な人事異動

が何を意味するか分かるとおもう。アメリカはもちろんのこと、シンガポー

ル、香港のコンペンションビュローには高度の訓練をうりたベテランが配

置されている。コンペンションが大きく育っていくためには一つの職能と

しての専門家を早急に養成することが大切である。

C. 誘致コンペンションのターゲットを絞ること

都市型、観光・リゾート型コンペンションは、それぞれの地域特性から

取組みの背景は異なり、また、ターゲットとするコンペンションも異なっ

てくる。都市型の場合、巨大なコンペンション施設、充分な宿泊施設、高

度に発達した交通アクセス、充実した都市機能等が整備されているので、

大規模のコンペンションの開催に向いている。観光・リゾート型の場合は、

観光・リゾート地には大都市とは異なった地域特有の自然、観光、文化な

どの魅力があり、快適な環境に恵まれており、参加者を一定期間拘束しや

すい環境にある。このような特徴に魅力を感じるコンペンション、あるい

はこのような特徴を十分生かして大きな成果を挙げうるコンペンションは、

中小規模のコンペンション、例えば、専門性の極めて高い学術会議、職員

研修、販売促進などを目的とする企業会議、インセンティブなどに向いて

いる。

特に、最近、内外の多くのコンペンション都市が、インセンティブを観

光・リゾート型コンペンションのターゲットとして積極的に誘致活動を展

開している。アジアでは、コンペンション/インセンティブを推進してい

く共同組織として1983年にAACVB(アジア・コンペンション・ビジター

ズ・ビュロー協会)が設立されている。現在JNTOはじめアジア10カ国

の国および都市のコンペンション推進機関や施設など約50機関が加盟して

-98-

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いる。糊沖縄コンペンションセンターは1989年(平成元年) 4月に協力会

員として加盟している。

d.地域住民の洗練されたホスピタリティ

単に、関係者のみならず、地域に住むすべての人々が、コンペンション

のホストでありホステスでなければならない。来訪者に対する手厚い歓待、

厚遇の精神を地域住民が実践していく資質がなければ、コンペンション都

市として成功の可能性はない。コンペンション都市が、地域ぐるみで支援

していかなげればならないものであることからすれば、地域の一般住民を

はじめ各界、各層のコンペンションに対する十分な理解と協力が必要とな

るのは当然のことである。そのためには、様々な形でのPR活動、啓蒙活

動の展開が必要となる。「コンペンション都市」の推進の第一歩はそこから

始まるといっても過言ではない。

e.プレ・ポストコンペンションツアー

豊かな観光資源はコンペンション誘因の一つである。特に、インセンティ

プ・コンペンションの場合には、社員への報奨、動機づりという意味あい

から、目的地が観光・リゾート地になる必然性が高い。そのため、観光資

源等は開催地を決める大きな要因となる。コンペンション開催期間中、あ

るいは開催前後、コンペンション参加者はその都市のもつ良さを十分満喫

したいと思うし、それがまたリピーターをうみだせるかどうかの鍵でもあ

る。シンガポールは、沖縄に比べると、自然、伝統に裏打ちされた観光資

源に乏しい国である。しかし、アジア太平洋地域の中心にある地理的条件

をいかして、近隣諸国の豊かな観光資源を上手く活用、演出して、来訪者

の好みにあった多様のコンペンション・ツアーのメニューを準備している。

沖縄の場合、豊かな観光資源と温かいホスピタリティとを組み合わせて、

沖縄の魅力を最大限に演出することによって他地域の比肩しえない、ユニー

クなプレ・ポスト・コンペンション・ツアーのメニューを作ることができ

るはずである。

f.学会、大学等の協力体制

学術団体の国際会議は、多くのコンペンションのなかでも花形である。

-99-

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7王.

それは、学術会議が聞かれると、地名が広く知られ、地域のイメージアッ

プにつながり、学者や研究者との交流により、学術、技術、教育、芸術文

化等の水準の向上が期待できるからである。

学術会議は、一般にコンペンション施設が整っており、大学や研究機関、

国際交流団体等の国際交流に熱心な機関があり、また国際機関の協会また

はその支部の存在する都市、地域で開催されることが多い。

シンガポールの学会、大学、協会等は、資源の乏しい固にとってコンペ

ンションの誘致は国益につながるという共通認識にたって、行政と一体と

なって、海外の本部にむけた誘致活動を行っている。大学の教授や団体の

役員達は、海外の会議に出席する場合に、シンガポールにコンペンション

を誘致する立場でPRする。また、国際機関や協会、団体の本部の誘致に

も力をそそいでいる。

沖縄におけるコンペンション振興の中核的組織として活動している「オ

キナワコンペンションビュロ-Jおよび「糊沖縄コンペンションセンター」

については紙幅の都合で詳述できなかったが、後日の機会に譲ることに

したい。

1.運輸省国際運輸観光局観光部 121世紀のコンペンション戦略J 観光産業

連絡会議コンペンション分科会報告書、昭和61年9月、 p.5

2.沖縄開発庁沖縄総合事務局「コンペンションを中核とした県勢振興調査報

告書j平成 4年 3月、 p.5

3.神戸都市問題研究所「神戸・コンペンション都市の政策ビジョンJ都市研

究報告第 7号、 p.v

4. 日本開発銀行「コンペンションの現状と展望」調査第80号、昭和60年 1月、

p.9

5.米国におけるコンペンションセンター建設は主として次のような理由に依

る。都市の再開発、都市経済活'性化ニーズへの対応、スラム化したダウンタ

-100一

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ウンの再開発、経済成長の助長、情報時代への対応、オフシーズンの不振打

開、都心部人口増加促進の一環、リゾートとして通年化を高める等。梅津忠

雄「コンペンション都市最前線」電通、 p.262

6.真栄城守定「コンペンション産業論序説J琉球大学教育学部紀要 第43集、

p.93 (倉辺喜一郎「アメリカのコンペンション事情Jより引用)

7.梅揮忠雄編著「コンペンション都市戦略」日本地域社会研究所、 p.83

8.梅津忠雄、前掲書、 p.93

9.沖縄開発庁沖縄総合事務局、前掲書、 p.16

10.糊日本交通公社「沖縄県民会館管理運営及びマーケティング調査報告書」

昭和60年3月、 p.126

11. U A 1の統計基準による国際会議の定義は、「国際団体本部並びに国際団体

の支部が主催する会議で、 1)参加者数300人以上、 2)参加者の40%以上が外国

人であること、 3)参加国数が5ヶ国以上、 4)会議3日以上のものJとしてい

る。

UAI統計の国際会議等の開催件数は国際会議振興会が毎年発表する「コ

ンペンション統計」に依る。

12. 1994年の開催件数は、 fCongress& ConventionJ No.49、 Oct~Dec 1994、

f1994年コンペンションJ(速報)に依る。

13. fC&CJ前掲書、 p.84

14. J NT 0 (日本国際観光振興会)の統計基準による国際会議は、日本を含

めて 2か国以上の参加があった会議、シンポジウム、セミナー、講演会等を

含めている。 UAIとJNTOの統計では国際会議の定義が異なるので開催

件数に差がある。

15.わが国で開催される見本市・展示会については10年前から統計をとってい

る。 20数年の歴史がある国際会議に比べると、漏れている部分も多々あるが、

ある程度の実態は明確になってきている。

16.前田隆平「国際コンペンションの振興JW観光文化』側日本交通公社、 Vol.

70, July 1988 p. 2

17.コンペンション法は第 1条で法制定の目的を次のように規定している。「こ

-101一

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の法律は、我が国における国際会議等の開催を増加させ、及び国際会議等に

伴う観光その他の交流の機会を充実させることが外国人観光客と国民との聞

の交流の促進に資することにかんがみ、国際会議等の誘致を促進し、及びそ

の開催の円滑化を図り、並びに外国人旅客の観光の魅力を増進するための措

置を講ずることにより、国際観光の振興を図り、もって交際相互理解の増進

に寄与することを目的とする」

18.平成 6年11月2日から 6日まで、大阪において「世界観光都市会議」を中

心とした 10S AKAワールド・ツーリズム‘94Jが開催された。本フォーラ

ムは今後の国際会議の一層の発展と関西を中心とする新たな国際観光需要の

創出および関西国際空港の利用促進を目的としたもので、「コンペンション法J

に基づき国際コンペンションの第 1号となった。観光白書 平成6年度版 p.

92

19.運輸省運輸政策局観光部編著「コンペンション法解説Jアイシーエス企画

p.130

20. アメリカのビュローの運営費は行政からの補助金と多額な会費によって賄

われる。代表的なビュローの一つであるニューヨークビュローの場合は、年

間予算は514万 3千ドルで、その内訳は、市からの補助金が150万ドル、会費

収入が300万ドル(会員1,300人、会費は会員企業の規模、営業内容により決

定されるが、最低500ドルから最高25万ドル)、州からの補助金が64万 9千ド

ルとなっている。十卜|からの補助金は、事業毎にピュローが拠出する額と同額、

いわゆる MatchingFundsである。「米国コンペンション視察団実施報告書j

国際観光振興会・笹川平和財団、昭和63年3月、 p.23

21. 1アイシーエス企画」の調査 (1994年11月)によると、わが国のビュローの

年間事業予算規模は、人件費・施設の維持管理費の計上の仕方にもよるが、

1 , 000万円~3 , OOO万円未満というところが最も多く 33.3%。全体の 6 割は5 , 000

万未満で、 1億円以上は 7機関にとどまっている。 1C & CJNo.50、 Mar~Mar

1996. p.126

22. 1 C & C J No.46、 Jan~Mar 1995. p.45

23.沖縄県「平成 6年度版観光要覧」

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Page 46: Title 沖縄短大論叢 = OKINAWA TANDAI RONSO, 10(1): 59- 104 …okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/... · 語として用いられ、主に政府高官が特定の職務の人々を集め会議を開くこと

24.沖縄コンペンションセンター建設の経緯については、拙稿「沖縄コンペン

ション開設に至るまでJr観光文化』財日本交通公社、 Vo1.70,July 1988, p.

14参照

25.沖縄コンペンションセンターは、昭和62年にオープンしているが、おそら

くコンペンションというコンセプトのもとに建設された圏内初の建設といえ

る。展示場、会議場、劇場の 3点セットで構成され、観光リゾート地に相応

しい施設内容になっている。設計者は大谷幸夫東京大学名誉教授(国立京都

国際会館の設計者)。南国・沖縄のコンペンションセンターということで、特

に開放的である点を強調して設計された建物は、全側面ガラス張りで、随所

に沖縄の特色ある曲線を配している。屋根は南国の強い日差しを遮り、風雨

に耐えうる花弁型の造形で、沖縄の風土を象徴している。 rc & CJVo1.13, p.

44

26.沖縄県におけるコンペンションの開催状況に関する統計は、オキナワコン

ペンションビュローが毎年発行する「コンペンション統計Jに依る。開催件

数は、沖縄コンペンションセンターのほか公共施設(市民会館、スポーツ会

場等)、及びホテル(会議場、展示場)等で開催されたコンペンションも含ま

れる。

27.糊日本コンペンション振興協会「観光・リゾート型コンペンション地域沖

縄一実態調査報告書Jp.27

28.運輸省運輸政策局観光部編「第2回コンペンション振興フォーラム報告書」

平成5年 3月、 p.ll

29.糊日本コンペンション振興協会、前掲書、 p.138

30.糊日本観光協会「地域振興・イベント戦術」昭和62年 3月 p.108 富山県

の山奥の過疎の村、利賀村は、世界演劇祭、利賀フェスティパルを開催して

から、マスコミにとりあげられ全国に知られるようになった。日本だけでな

く、いまでは世界的に知られている。早稲田小劇場の主宰者鈴木忠志氏の主

導で昭和51年に始まり、世界各国から劇団、音楽、ダンス等の団体を集めて

公演する。舞台は合掌造りを改造した700人収容の利賀山房と古代ギリシャの

野外劇場を模した800"-'1,000人収容の野外劇場である。来訪者の増加に伴い

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新しい温泉場、村営スキー場などを開設した。利賀村の昭和60年の観光入込

客数は139,421人で、宿泊客は55,287人、日帰客84,134人となっている。入込

客は順調に伸び10年間で約2.7倍も増えている。

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