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平成30年度戦略的基盤技術高度化支援事業(中小企業におけるFintech等の新たな技術やサービスの活用に関する調査)
PwCあらた有限責任監査法人2019年3月29日
PwC
1. 中小企業の人手不足とIT利活用の状況
2. Fintech等の新たな技術やサービス活用
3. 金融機関とベンチャー企業の提携状況
4. その他金融機関との提携事例
5. スマートSME研究会の結果
目次
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
2
中小企業の人手不足とIT利活用の状況
PwC
中小企業における深刻な課題である人手不足のアンケート結果をみると、小規模事業者の3分の2の事業者が人手不足を感じており、労働生産性を高めるIT化を実施するのではなく、経営者の労働時間を増やし対応が53.9%ともっとも多くなっています。
中小企業における人手不足とその対応
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
4
出典:小規模企業白書2018 第1章 小規模事業者の人手不足と業務の見直し
65.3
34.7
人手不足感(%)
人手不足を感じている 人手不足を感じていない
N=4,587
2.9%
8.8%
14.6%
17.1%
18.6%
19.9%
22.7%
25.2%
31.2%
35.0%
53.9%
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%
その他
他企業との連携による経営資源の補完
IT化、設備導入による省力化
女性・シニア等、多様な人材の積極的な採用
賃金、処遇等労働条件の改善
従業員の残業を増やし対応
業務の外部へのアウトソーシング
業務プロセスの改善や工夫
従業員の多能工化や兼任化
パート・アルバイト等による対応
経営者の労働時間を増やして対応
人手不足への対応(%)
PwC
小規模事業者の経営者の多くが、財務・会計、在庫管理、給与管理といったバックオフィス業務に時間を取られており、業務時間の削減意向が強い傾向にあります。
中小企業における業務時間の削減意向
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
5
66
46 4542
3936
2421 19
13
0
10
20
30
40
50
60
70
財務・会計(
記帳)(n=
1,347)
在庫管理(n=
1,422)
給与管理・勤怠管理(n=
1,189)
商品やサービスの製造・生産
(
受注、仕入を含む)
(n=1,721)
商品やサービスの販売
(
営業、接客、決済を含
む)(n=2,020)
顧客管理(n=
1,545)
資金調達(n=
1,860)
商品やサービスの企画
・開発・設計(n=
1,533)
人事・採用(n=
1,350)
経営計画の策定(n=
1,729)
(%)従事している業務別に見た経営者自身の業務時間の削減意向
出典:中小企業白書2018 第2部 小規模事業者の労働生産性の向上に向けた取り組み
PwC
「給与・経理業務」のパッケージソフトの活用においても、充分利活用されていると回答している割合が40%程度と一般オフィスシステムの利活用率56%と比較し低いため、利活用率の向上の余地があると考えられます。
中小企業におけるIT利活用の状況
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
6
出典:中小企業白書2018 第2部 第4章 IT利活用による労働生産性の向上
56
54
40
22
19
12
26
25
21
25
22
16
3
5
3
3
4
5
11
12
32
45
51
61
4
4
5
5
5
6
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
一般オフィスシステム(ワード、エクセル等)
電子メール
給与・経理業務のパッケージソフト
調達、生産、販売、会計などの基幹業務統合ソフト
電子文書(注文・請求書)での商取引や受発注情報管理(EDI等)
グループウェア(スケジュール・業務情報共有やコミュニケーション)
中小企業におけるITツールごとの利活用状況
充分利活用されている 限定的な利活用にとどまっている導入済だがほとんど利活用されていない 未導入・非該当無回答
Fintech等の新たな技術やサービス活用
PwC
様々な新たな技術・Fintechサービスにより、クラウド会計等の財務・会計領域だけでなく、資金調達、受発注、決済に至るまで、中小企業の資金管理に係る業務機能をカバーできる環境が整いつつあります。
Fintech等の新たな技術・サービスの活用領域
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
8
資金調達受発注
(債権債務管理)決済
(送金・入金消込)会計・財務管理
クラウド会計 クラウドファンディング(ソーシャルレンディング他)
トランザクションレンディング
POレンディング・ファイナンス(電子記録債権)
オンライン受発注 受発注EDI 電子請求
キャッシュレス決済・モバイルPOSレジ
金融EDI ネットバンキング
Fintechのサービス領域
資金の流れをデータ記録・自動取得・一元管理が可能。
個人から出資をオンライン上で受付可能。
店舗・Web上での取引・
決済・在庫等の受発注データを活用し運転資金の融資が可能。
商品やサービス提供以前の受注段階で発生した条件付電子記録債権を担保に融資が可能。
電話・FAX中心の注文をEDIで受け付けすることで、ペーパレス化を実現。
受注データを会計ソフトへ接続することでデータの入力作業の省力化を実現。
キャッシュレス決済・モバイルPOSレジ等による顧
客対応の効率化、会計・販売動向の見える化が可能。
受発注、請求等の商取引に関する情報を振込等に添付し、交換・共有することで、入金と請求情報の自動消込が可能。
Fintechによる影響
資金調達の多様化による資金繰りの改善
クラウド会計ソフト等による仕訳等のバックオフィス
業務の改善
受注EDI・金融EDIによる受注~決済業務プロセス
の効率化(資金循環効率の改善)
中小企業の“資金管理”に係る業務機能
PwC
近年のFintechはクラウドベースでのサービス提供であり、総務省によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は56.9%であり、前年の46.9%から大幅に上昇しており、今後もこの傾向は継続することが推察されます。
クラウドサービスの活用状況
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
9
29.4
24.4
22.8
20.7
15.0
27.5
22.5
21.7
18.0
18.0
13.4
14.5
15.0
15.9
17.5
22.1
29.3
30.0
32.2
34.4
7.6
9.3
10.4
13.1
15.0
2017年(N=2,570)
2016年(N=2,071)
2015年(N=1,821)
2014年(N=2,098)
2013年(N=2,183)
クラウドサービスの利用状況
全社的に利用している 一部の事業所又は部門で利用している
利用していないが、今後利用する予定がある 利用していないし、今後も利用する予定もない
クラウドサービスについてよく分からない
出典:総務省・平成30年版 情報通信白書 第2部 基本データと政策動向 第2節 ICTサービスの利用動向
56.9%
PwC
「技術・ノウハウを持った人材が不足している(45%)」が最も高く、「自社の事業への活用イメージがわかない(39%)」、「新技術について理解していない(30%) 」等が続いており、新しい技術に対する“リテラシーが不足している”ことに起因する課題が多く挙げられています。
Fintech等の新たな技術・サービスの活用課題
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
10
出典:中小企業庁委託「中小企業の成長に向けた事業戦略に関する調査」(2016年11月、㈱野村総合研究所)
45
39
3028
22
9 8
17
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
技術・ノウハウを持った人材が不足している
自社の事業への活用イメージがわかない
新技術について理解していない
必要なコストの負担が大きい
費用対効果が見込めない
連携相手を探すのが難しい
適切な相談相手が見付からない
特に問題はない
(%) 新技術の活用における課題
PwC
前述の課題を加味し、クラウドファンディングの活用状況を見てみると、“活用している、かつ、成功した”割合は0%であり、8割以上が、関心がない、知らないと回答しており、新規事業展開における資金調達としては、活用が十分になされていない状況にあります。
クラウドファンディング等の活用状況
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
11
68.859.4
38.3 37.3 39.0 34.6
0.0 0.5
3.8
5.5
10.2 8.814.7 19.1
2.4 3.2
11.613.8
20.7 22.519.3 21.3
16.3 13.6
15.8 21.330.8 31.3 27.0 25.0
81.3 82.7
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%成功した
(n=2
92)
成功していない
(n=7
24)
成功した
(n=2
66)
成功していない
(n=6
67)
成功した
(n=2
59)
成功していない
(n=6
53)
成功した
(n=2
46)
成功していない
(n=6
23)
民間金融機関からの融資 政府系金融機関からの融資 公的補助金・
助成金
クラウドファンディング
新事業展開における資金調達方法
活用している 関心があり、活用を検討している 活用を検討していないが、関心はある 関心がない/知らない
出典:中小企業白書2018 第2部 中小企業のライフサイクル 2 新事業展開の成否の実態
金融機関とベンチャー企業の提携状況
PwC
金融機関とベンチャー企業の提携状況(1/2)
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
13
No 企業名 サービスの特徴 提携状況
1
株式会社マネーフォワード 複数の口座残高の一括管理。口座の明細に関して、食費・光熱費などのカテゴリに自動分類・グラフ化が可能なサービスの提供。
登録可能サービス数:2,655社。※みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行等のメガバンク、地銀、カード、証券、仮想通貨、FX機関を含む。
2
freee株式会社 銀行口座・クレジットカードと連携することで、利用明細データから自動で勘定科目を推測するサービスを提供。(自動仕訳、請求書作成~決算書作成まで対応可能)
2016年10月時点で15金融機関と連携。※みずほ銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行、千葉銀行、北國銀行、住信SBIネット銀行、他
3
株式会社マクアケ クラウドファンディングサービス。2013 年 8 月のサービス開始より、4,300 件以上のプロジェクトを掲載し1,000 万円を超える大型の資金調達事例は 100件以上。
2018年7月時点で、全国 90 行を超える金
融機関との連携や提携により、地方の事業者によるプロジェクトの実施事例も増加傾向。
4
READYFOR株式会社 クラウドファンディングサービス。2018年10月時点で掲載プロジェクト数9,000件。達成率75%(業界平均30%)。累計支援総額70億円。
2017年10月時点で44金融機関と連携。
※北海道銀行、青森銀行、北都銀行、山形銀行、筑波銀行、栃木銀行、他。
5
ランサーズ株式会社 仕事を依頼したい企業と仕事を受けたい個人をオンラインでマッチングさせる日本最大級のクラウドソーシングサービス。
240,000社以上の実績。
※新生銀行と連携し、フリーランス向けのクレジットカード「FreCa(フリカ)の開発
出典:各社ホームページ等 公表資料より作成
PwC
金融機関とベンチャー企業の提携状況(2/2)
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
14
No 企業名 サービスの特徴 提携状況
6
株式会社クラウドワークス 企業と個人がオンライン上で直接つながり仕事を受発注できる、クラウドソーシングサービス。2018年4月時点で193万ユーザー。クライアント数24万社。
三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社Japan Digital Design株式会社との提携。
⇒個人向けデジタル・ウォレットアプリケーション(報酬管理や決済・送金)を提供。
7
株式会社Origami キャッシュレススマホ決済アプリのサービス提供。2018年末時点で100,000店舗で利用可能。
りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行、イオン銀行等と提携。
8
アルインマー・トウキョウ・マリン社(ATMC社)
サウジアラビアでのイスラム式保険商品の販売。合弁パートナーのアルインマー銀行の同国内全域の約80支店網を通じて販売を実施。
東京海上日動火災保険株式会社、アルインマー銀行、サウジアラビア基礎産業公社グループ会社
出典:各社ホームページ等 公表資料より作成
その他金融機関との提携事例
PwC
その他金融機関との提携事例
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
16
No 企業名 サービスの特徴 提携状況
1
株式会社トランビ 中小企業の事業承継問題を解決するためのM&Aマッチングサービスを提供。
2018年11月末時点で提携金融機関:73行。提携M&A専門家:62社例)新生銀行の事業承継金融部と提携し、事業承継・M&A支援サービスを拡大。
2
株式会社日本人材機構 地域中小企業が抱える人材不足に関する課題解決に貢献するための経営幹部人材の紹介サービスを提供。
2018年5月長野銀行と業務提携し、経営人材の紹介事業を拡大。
3
Tranzax株式会社 受発注を電子記録債権化することによる受注時点からの債権担保融資を実現するPOファイナンスサービスの提供。
2018年6月 西部信用金庫と業務提携し、POファイナンスサービスを提供。
4
サイエスト株式会社 グローバルビジネスの総合コンサルティングサービスを提供。
2018年11月 北洋銀行、西京銀行、南都銀行、山口銀行等の地銀・信用金庫17地域金融機関と提携。約5000人の専門人材を活用し、中小企業の海外展開を支援。
5
株式会社ライトアップ 経営課題の解決総合マッチングサイトの提供。サイト上検索することで、最適な解決施策(ITツール・社員研修)及び最適な資金手段の提案が可能。(サービス名称:Jマッチ)
会員数:12,862社。参加社数:13,421社。提携社数:163社。例)福邦銀行との業務提
携。福邦銀行の顧客に対して中小企業支援サービスJマッチの紹介が可能。
出典:各社ホームページ等 公表資料より作成
スマートSME研究会の結果
PwC
2019年3月13日 10時~12時 経済産業省 別館2階 227号室にて“スマートSME研究会”を開催。以下、議論・説明のあったポイントを記載します。
スマートSME研究会の結果
2019/3/29Fintech中小企業における 等の新たな技術やサービスの活用に関する調査
18
• 中小企業における企業活動データの蓄積の促進が必要。
• 企業横断の情報・機能連携を加速する制度・標準化が必要。
• B to B to Gによる小規模ならではの不利益や地域間受給格差の軽減が必要。
FinTechに関するグローバル動向からの示唆
• 国内のクラウド浸透率は40%程度と米国のH24時点の59%と比較しても低い。
• マッチング、請求・決済、経営・資金管理、資金調達等の業務プロセスを横断的に考えることが重要。
• クラウト会計は2割。そもそものシステム導入が5割が問題。
• 一部の地方銀行が地域へのIT導入に積極的だが、一部にとどまっていることが課題。
中小企業領域におけるFintechのトレンド
• 新しい技術の活用方法、活用の場を知らないことが問題。
• 新しい技術を導入する際の相談相手が少ないことが問題。
• 今までやっていなかったことへのチャレンジ精神のカルチャー醸成が重要。
FinTechサービスの現状
• ビジネスアプリといった年齢層にマッチしたワーディングが重要。(身の丈にあったIT導入が重要)
• 今後はクラウド会計、モバイルPOSレジ、キャッシュレス決済の導入の3点セットが重要。
• キャッシュレスは手数料が高いため、導入の意思決定に至らない。
商工会議所の経営支援におけるFinTechの活用支援
• 全銀EDIは売掛金の消込を効率化するプラットフォーム。
• でんさいネットは商品売買などによって生じた金額を指定日に支払う金銭債権の仕組み。
全銀EDI/でんさいの紹介
• 平成29年度は、HPや会計ツールが補助金の活用の主流。
• e-TAXのデータを活用し、IT補助金の効果測定に活用できる可能性がある。
IT導入補助金の執行から見えてきた成果と今後の課題
• 中小企業が自律的活動を助長するエコシステムの構築が重要。
地域の課題と財務局の役割 ローカルベンチマーク
• 財務情報及び非財務情報を基に、企業の健康診断を実施するツール。
クラウド等の新たな技術の普及は十分ではなく、新しい技術毎の経営者のITリテラシー(活用方法の知識)を向上させていくことが最も重要ではないか。⇒IT導入の相談相手を増やしていくことが重要。
pwc.com
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