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44第6章 施策の展開 6-1 「A.走る」 6-1-1 施策展開の方針 (1)自転車ネットワークの形成 ①基本的な考え方 利用目的やニーズに応じてネットワークを形成します。自転車走行空間が一定確保され ている幹線道路や自転車利用の多い市道などの裏道路線に自転車道を配置します。 とくに,都心環状線内は,東西移動の通勤・通学利用者や,買物利用などの自転車流動 が多いため,JR 駅から街なかを通り高校集積地区と結ぶ自転車ルートを配置します。 オリオン通り周辺は歩行者・自転車優先ゾーンとして自動車の流入を抑制します。 ②配置の方針 内環状線や内環状線の内側の幹線道路,内環状線と周辺部を結ぶ放射幹線道路などに配 置します。また内環状線の内側では,自転車利用の多い裏道路線にも配置します。 ほぼ都心環状線の内側に相当する中心市街地は,歩行者・自転車ルートを積極的に配置 します。 大通り・東京街道・いちょう通り・今小路通りに囲まれた範囲内の一部の道路について は,交通管理者や地元商店街などと調整を図りながら,自動車の一方向通行化や時間帯通 行制限などを採り入れ,歩行者・自転車優先ゾーンとします。 学校や公共施設など,自転車利用の多い地区と鉄道駅などを結ぶ道路に配置します。 6.1.1 自転車ネットワークの配置の概念 学校集積地区 都心環状線 大通り・東京街道・いちょう通り・ 今小路通りに範囲 :歩行者・自転車優先 ゾーンの配置 放射線 :歩行者・自転車 ルートの配置 内環状線 :幹線道路や裏道路線 への配置 :放射道路への配置

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第6章 施策の展開 6-1 「A.走る」

6-1-1 施策展開の方針 (1)自転車ネットワークの形成

①基本的な考え方

利用目的やニーズに応じてネットワークを形成します。自転車走行空間が一定確保され

ている幹線道路や自転車利用の多い市道などの裏道路線に自転車道を配置します。

とくに,都心環状線内は,東西移動の通勤・通学利用者や,買物利用などの自転車流動

が多いため,JR 駅から街なかを通り高校集積地区と結ぶ自転車ルートを配置します。

オリオン通り周辺は歩行者・自転車優先ゾーンとして自動車の流入を抑制します。

②配置の方針

内環状線や内環状線の内側の幹線道路,内環状線と周辺部を結ぶ放射幹線道路などに配

置します。また内環状線の内側では,自転車利用の多い裏道路線にも配置します。

ほぼ都心環状線の内側に相当する中心市街地は,歩行者・自転車ルートを積極的に配置

します。

大通り・東京街道・いちょう通り・今小路通りに囲まれた範囲内の一部の道路について

は,交通管理者や地元商店街などと調整を図りながら,自動車の一方向通行化や時間帯通

行制限などを採り入れ,歩行者・自転車優先ゾーンとします。

学校や公共施設など,自転車利用の多い地区と鉄道駅などを結ぶ道路に配置します。

図 6.1.1 自転車ネットワークの配置の概念

JR線

東武線

学校集積地区

都心環状線

● ●

大通り・東京街道・いちょう通り・

今小路通りに囲まれた範囲

:歩行者・自転車優先

ゾーンの配置

放射線

:歩行者・自転車

ルートの配置

内環状線:幹線道路や裏道路線

への配置

:放射道路への配置

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(2)自転車走行空間の確保

①基本的な考え方

自転車走行空間は,歩行者や自動車と分離することを基本とします。分離が不可能な場

合でも様々な工夫により走行空間の創出を図ります(下図参照)。

自転車走行空間の整備にあたっては,歩行環境に配慮しつつ,バリアフリー化と有効な

幅員の確保に努めます。

②整備等の方針

自転車走行空間の確保にあたっては,工作物や標識,路面標示などによる空間確保,車

道の一方向通行化,時間帯通行制限など多面的な工夫を行います。より安心で快適な自転

車走行を確保するためカーブミラーなど交通安全上必要な施設の整備を図ります。

今後,新たに整備される道路については,道路構造令の基準(自転車道の確保)に合致

するよう努めて整備します。

図 6.1.2 自転車走行空間の種類の大別

歩行者や自動車

との分離型

歩行者や自動車

との共存型

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6-1-2 都心部における自転車ネットワークの形成 (1)ネットワークの考え方

都心部における自転車ネットワークは,自転車利用の多い路線での安全で快適な走行の

実現や,近距離移動の自動車が多い中心市街地などで,自動車から自転車への転換を図る

ために形成します。

自転車ネットワークは,「現在の道路の整備状況を踏まえて平成 22 年度時点で,安全で

快適な自転車走行空間を有するネットワークを形成する路線」と捉えます。

(2)自転車ネットワークにおける今後の展開

自転車ネットワークにおいては,今後以下のように展開していきます。

表 6.1.1 自転車ネットワークにおける今後の展開

項目 展開の内容

自転車走行空間に関する整備手法

の検討

安全で快適な自転車走行空間にするため,ソフ

ト・ハード両面から整備手法を検討していきます。

関連施策の展開 他の自転車利用・活用のための関連施策である駐

輪場整備,レンタサイクル事業,サイクル&バスラ

イドなどの施策を展開していきます。

(3)自転車ネットワークの選定

ネットワークは,下図の①~④の4つの条件の何れかを満たす路線を選定しました。

図 6.1.3 都心部における自転車ネットワークの選定

②幹線自転車ネットワ

ークとなる路線 ③主要施設間を結ぶ

経路となる主な路

主な道路

平成22年度における都心部の自転車ネットワーク(44路線)

①自転車交通量の多

い路線 ④その他一定の走行

空間がある路線

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①自転車交通量の多い路線(図 6.1.4 参照)

自転車交通量が多く,走行空間の連続性と走行環境の安全性を確保すべき路線をネット

ワークとして選びました。

その結果,オリオン通り,ユニオン通り,競輪場通り,大通りなど全部で 15 路線とな

りました。

〔自転車交通量の多い路線〕

平日朝7時~9時の断面交通量注)で,500 台/2 時間以上の路線 上記路線と連続するため,同様の交通量がある路線

注:量の把握は,平成9年宇都宮大学・古池研究室で行った調査,平成 11 年度道路交通センサス

など既存データによるほか,不足する地点は独自の観測によります。

②幹線自転車ネットワークとなる路線(図 6.1.5 参照)

郊外部の各放射幹線路線と都心部内の各路線を相互に結ぶ基本となる路線や,都心部の

回遊性を高める基本となる路線など,幹線自転車ネットワークとなる路線を選びました。 その結果,県庁前通り,南大通り,大通り,桜通りなど全部で 13 路線となりました。

③主要施設間を結ぶ経路となる主な路線(図 6.1.6 参照)

買物や業務,観光,自転車による散策,通勤・通学などに対応する必要があることから,

自転車利用の需要の高い交通結節点である鉄道駅や主要施設を結ぶ経路を選びました。 その結果,大通り,オリオン通り,ユニオン通り,鹿沼街道など全部で 23 路線となり

ました。

④その他一定の走行空間がある路線(図 6.1.7 参照)

①~③の条件は満たさないが,整備済都市計画道路など,既に安全で快適な自転車走行

空間が一定程度確保されている路線を選びました。 その結果,(都)3.3.106 今泉川田線を始め 14 路線となりました。 なお,①~③の路線は,「自転車ネットワークを形成する重要な路線」と呼び,④は,

①~③の路線を補完する性格をもっているため,「自転車ネットワークを形成する補完的

な路線」と呼びます。

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図 6.1.4 自転車交通量の多い路線(500 台/2 時間以上)

図 6.1.5 幹線自転車ネットワークとなる路線

都心環状線として,今泉川田線,県庁前通り,市道 241 号,大通り,材木町通り,南大通りを選びました。 内環状線として,国道4号バイパス,競輪場通り,栃木街道,平成通りを選びました。 上記2環状と都心2駅を東西南北で一本ずつ結ぶ幹線路線として,鬼怒通り,不動前関堀線,大通り,東京

街道を選びました。

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図 6.1.6 主要施設間を結ぶ経路となる主な路線

都心部4駅(JR 宇都宮駅,JR 鶴田駅,東武宇都宮駅,東武南宇都宮駅)と中心市街地の間の道路が良

く利用されると考え,オリオン通り周辺の道路を位置付けました。 都心部4駅と公共的施設の間の道路が良く利用されると考え,4駅と栃木県庁,宇都宮市役所,御本丸

公園,二荒山神社,栃木県中央公園,宇都宮市文化会館などを結ぶ道路を位置付けました。 都心部4駅と高校の間の道路が良く利用されると考え,4駅と高校宇都宮白楊高校,宇都宮商業高校,

宇都宮中央女子高校,宇都宮文星女子高校,作新学院,宇都宮学園高校,宇都宮短大付属高校,宇都宮

女子高校,宇都宮工業高校,宇都宮高校などを結ぶ道路を位置付けました。

参考図 都心部における自転車による交通事故発生個所 (自転車 対 自動車の交通事故地点 平成 10 年~平成 13 年の合計)

資料: 宇都宮市企画部交通対策課

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(4)都心部における自転車ネットワーク

都心部における自転車ネットワークは図 6.1.7 と,表 6.1.2 の通り設定します。

図 6.1.7 平成 22 年度における都心部の自転車ネットワーク(44 路線)

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表 6.1.2 平成 22 年度における都心部の自転車ネットワーク(44 路線)

■自転車ネットワークを形成する重要な路線 番 号 通称など 正式名称〔都市計画道路名称〕

1 鬼怒通り (主)宇都宮・向田線〔3.3.101 東大通り〕 2 県庁前通り・白楊高校通り (主)宇都宮・向田線,市道 920 号〔3.4.106 塙田平出線〕 3 国道4号バイパス 一般国道 4 号〔3.4.105 バイパス通り〕 4 競輪場通り 市道 21 号など〔3.5.102 桜通り平出線〕 5 白沢街道 (県)氏家・宇都宮線〔3.4.103 宇都宮白沢線〕 6 上河原通り (主)宇都宮・烏山線,市道 7 号〔3.3.5 宇都宮陸羽線〕 7 JR 西口駐輪場前通り 市道 923 号〔3.4.116 駅西口広場北通り〕 8 今泉中央公園東側通り 市道 3761 号〔3.4.126 今泉2号線〕 9 今泉中央公園北東の東西通り 市道 8763 号〔3.4.128 今泉4号線〕

10 宇都宮駅東公園の西側通り 市道 937 号〔3.5.104 駅東口今泉線〕 11 市立東図書館東側遊歩道 市道 4087 号〔8.6.103 駅東図書館通り〕 12 今泉中央公園北側遊歩道 市道 4088 号〔8.6.104 今泉東通り〕 13 宇商通り・東通り・今小路通り (主)藤原・宇都宮線,市道 24 号〔3.4.101 不動前関堀線〕 14 栃木街道 (主)宇都宮・栃木線〔3.4.1 宇都宮栃木線〕 15 作新前通り・護国通り 市道 20 号〔3.4.112 鶴田宝木線〕 16 大通り (主)宇都宮・今市線〔3.2.101 大通り〕 17 栃木県中央公園北の東西通り 3.3.102 宇都宮水戸線・西側/県と市で事業中 18 平成通り (主)宇都宮・楡木線,市道 14 号など〔3.3.1 鹿沼宇都宮線〕 19 なかよし通り 市道 2458 号〔8.7.101 中央公園鶴田駅線〕 20 JR 日光線沿の東西通り 市道 2710 号 21 材木町通り・蓬菜大黒通り 市道 29 号など〔3.4.102 宇都宮日光線〕 22 東京街道 一般国道 119 号〔3.4.107 宇都宮東京線〕 23 旭陵通り 市道 1427 号〔3.4.104 宮の橋不動前線〕 24 シンボルロード (主)宇都宮・向田線,市道 1 号〔3.4.120 中央通り〕 25 今泉小学校東の南北通り (主)宇都宮・向田線,市道 1631 号など〔3.3.106 今泉川田線〕 26 南大通り (主)宇都宮・笠間線,市道 4 号など〔3.3.102 宇都宮水戸線・東側〕27 スカイブリッジ 市道 3364 号など〔8.6.101 駅東宿郷通り〕 28 駅東の南北遊歩道 駅東 2 号緑道 29 駅東の東西遊歩道 駅東 1 号緑道 30 赤門通り 市道 41 号 31 鹿沼街道 (主)宇都宮・鹿沼線,市道 1140 号 32 オリオン通り・ユニオン通り,ユニオン通りの西延伸通り 市道 3 号,市道 1140 号 33 日野町通り 市道 1136 号 34 東武一番通り 市道 3382 号 35 陽西通り 市道 18 号 36 石町通り・八日市場通り 市道 1137 号 37 JR 高架下の歩行者自転車連絡道 市道 1635 号 38 宮島町通り 市道 886 号 39 バンバ通り・御橋通り・本丸通り 市道 6 号 ■自転車ネットワークを形成する補完的な路線 40 市立東図書館前バス通り 市道 3762 号〔3.4.127 今泉 3 号線〕 41 県庁西通り 市道 240 号〔3.6.101 県庁西通り〕 42 富士見通り 市道 15 号〔3.5.103 新町鶴田線〕 43 西原通り 市道 28 号〔3.5.101 松原鶴田線〕 44 昭和通り 市道 19 号 注:市道 1140 号など網掛けの路線は重複路線であるためカウントしていません。また(県)氏家・宇都宮線と(主)宇

都宮・烏山線も同じルート上にあり重複しているため一つの路線とみなし,(主)宇都宮・烏山線はカウントしていま

せん。なお(主)宇都宮・向田線は 4 ヶ所にあらわれますが,ルートが異なるものとして扱っています。

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6-1-3 郊外部における自転車ネットワークの形成 (1)ネットワークの考え方

郊外部における自転車ネットワークは,主に通勤・通学の多い放射幹線路線の区間を対

象に,安全で快適な走行の実現を図るために形成します。

ネットワークは,下図の①と②の条件の何れかを満たす路線により構成します。

図 6.1.8 郊外部における自転車ネットワークの考え方

①自転車交通量の多い路線

自転車交通量が多く,走行空間の連続性と走行環境の安全性を確保すべき路線を選びま

した。平日朝7時~9時の断面交通量で,500 台/2 時間以上の路線を選定基準とし,そ

の結果,⑥市道 125 号を選びました。

表 6.1.3 15 路線の交通量の結果(台/朝 7~9 時の 2 時間)

番号 路線名 交通量 番号 路線名 交通量 ① 鬼怒通り 172 ⑨ 鹿沼街道 110 ② 水戸街道 233 ⑩ 大谷街道 280 ③ 真岡街道 267 ⑪ 日光街道 358 ④ 上三川街道 59 ⑫ 田原街道 387 ⑤ 国道4号・南側 118 ⑬ 白沢街道 220 ⑥ 市道 125 号 756 ⑭ 国道4号・北側 47 ⑦ 栃木街道 38 ⑮ 競輪場通り 224 ⑧ 鹿沼インター通り 196

②主として通勤・通学利用の路線

主として通勤・通学利用の路線を選びました。具体的には路線上または近くに高校や工

業団地などがある路線で,以下の通りです。

宇都宮海星女子学院,宇都宮清陵高校,宇都宮大学,宇都宮大学工学部などへの通学で

利用される,②水戸街道を選びました。

卸売団地,宇都宮東高校などへの通勤・通学で利用される,③真岡街道を選びました。

宇都宮北高校への通学で利用される,⑫田原街道を選びました。

平出工業団地への通勤で利用される,⑮競輪場通りを選びました。

主な放射幹線路線(表 6.1.3 の 15 路線)

平成22年度における郊外部の自転車ネットワーク(6路線)

②主として通勤・通学

利用の路線 ①自転車交通量の多

い路線

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(2)郊外部における自転車ネットワーク

郊外部における自転車ネットワークは下図の通りです。

②水戸街道,③真岡街道,④上三川街道,⑥市道 125 号,⑫田原街道,⑮競輪場通り,

の6路線を設定します。

図 6.1.9 平成 22 年度における郊外部の自転車ネットワーク

注:自転車ネットワークの対象は,自転車交通量が比較的多いと想定される図中の太線

の区間とする。都心部から外環状線までを基本とし,外環状線の外側に高校がある場

合は,都心部から高校までを区間とする。

参考図 都心部における自転車による交通事故発生個所 (自転車 対 自動車の交通事故地点 平成 10 年~平成 13 年の合計)

資料:宇都宮市企画部交通対策課

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6-1-4 自転車走行空間の整備 (1)基本的な走行空間確保の考え方

①走行空間確保の考え方

自転車走行空間の整備にあたっては「自転車利用環境整備ガイドライン(案)(平成 14年 4 月 15 日・警察庁/国土交通省)」に準拠し,路線ごとに走行空間の確保に努めます。

〔走行空間確保の考え方〕

路線ごとの道路の整備状況や整備関連計画を踏まえて,自転車利用環境整備

ガイドライン(案)に準拠し走行空間の整備パターンを設定します(表 6.1.4参照)。

道路拡幅による走行空間の確保は,抜本的なハード整備を伴うことから,現

状の道路幅員の中での確保を基本とします。確保にあたっては,現況の道路

幅員に即して分離型→混合型→暫定型の順で検討します。 現況の道路幅員に対する整備パターンの適用基準は,交通管理者と協議し定

めます。

図 6.1.10 走行空間パターンの設定手順

出典:自転車利用環境整備ガイドライン(案)

走行空間のパターンは,道路空間上における走行空間の位置をあらわしたものであり,

道路の整備状況に応じて歩道上,車道上,その他の3つに大きく分けられますが,具体的

なの整備手法としては交通規制に関するものと道路改修に関するものの二つがあります。

〔走行空間確保における整備手法〕

ソフト的な施策:交通規制に関する標識設置や路面標示など ハード的な施策:歩行者や自動車と分離するためのボラードや縁石などの工

作物設置や,路面のカラー舗装など 整備手法は路線ごとに交通管理者や道路管理者と協議します。

②平成22年度までの整備の考え方

自転車ネットワークにおいて,現道で路面標示や標識がなく走る場所が不明確であった

り,走行空間が狭いなど,走行環境上問題のある路線・区間は,優先的に整備を行います。

その他の道路においても抜本的な道路改良を行う場合は,道路構造令および自転車利用

環境整備ガイドライン(案)に則した整備を図ります。

分離型

混合型

道路構造令に即した自転車利用環境整備

現状において最適な手法による整備 分離型

混合型

〔整備ができない場合〕 暫定型

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表 6.1.4 既存の道路空間における自転車走行空間整備の考え方

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(2)走行空間確保における個別の対応

①オリオン通りにおける走行空間の確保

夕方のオリオン通りは,高校生が一斉に帰宅することやマナーの悪さと相まって,買物

客との接触などがあり大きな問題となっています。

そのため適切な自転車走行空間を確保するとともに,安心して買物ができる環境の整備

を図ります。

②裏道路線における走行空間の確保

都心部においては自転車の東西

交通が多いため,東西に走る裏道路

線において,自転車走行空間を確保

していきます。

一方通行化や,右図や次頁に示す

ような中央線をとり車道幅を狭め

る工夫,中央線のない道路で車道幅

をできるだけ狭める工夫,などによ

り自転車や歩行空間の確保を図り

ます。

③走行空間を確保した場合の交差点における滞留と横断処理

歩道のある道路同士の交差点においては,信号待ち等の滞留位置は歩道上とします。

滞留位置を適切に確保することが連続性の確保や歩行者・自転車の安全上重要であるた

め,整備にあたっては十分に配慮します。

表 6.1.5 信号待ち等の滞留方式

信号待ちなどの場合の滞留方式 歩道上確保(そのまま連続して,歩道

上で滞留 車道上確保(車道から歩道にルート変

更して,歩道上で滞留) 走行空間

の確保

④現状の問題箇所での自転車走行空間の確保

自転車ネットワーク上で,現在問題になっている箇所については早急な対応を図ること

とし,可能な限り適切な走行空間を確保します。

⑤高校生の自転車通学への対応

登下校時における自転車利用を時間で分散させ,ピーク時の利用台数を調整することで

混雑緩和が可能となることから,各校へ時差通学の誘導を図ります。

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■背景 平成 13 年都道府県交通事故死亡者数が、北海道に続きワースト2位。5年以上もワースト5位以内にランクされている愛知県。この不名誉な状況を脱しようと、県警本部が今までの常識をくつがえすような、新しい事故防止対策を講じた。 ■これまでの考え方 信号機のない交差点が多い生活道路で、交通量が少なく延長1km 未満の短い道路においては、中央線を引いて優先道路をはっきりさせることが、出会い頭事故などを防ぐ有効な手段と考えられていた。 ■しかし現状は、 抜け道として利用するドラ

イバーが多く、とくに中央線が引いてある道路では、優先意識が働くのか、速度が出やすく、歩行者などに恐怖感を与える自動車がいたり、出会い頭事故が多発している道路も少なくない。 ■安価で効果的な施策 「歩行者の安全確保」、「ドライバーの速度抑制」の二つを同時に満たし、しかも線を消して新たに描くだけという「安価」な施策が、逆転の発想から生み出された。 ■新施策の導入 平成 12 年7月から平成13 年3月にかけて、事故多発地帯を中心に15路線へ新施策を導入した。 ■効果 実施前6ヶ月間で、15 路線合計で17件の人身事故が実施後6ヶ月間で5件と大幅に減少した。 物損事故も 61 件が 34 件に減少した。 1路線で行った速度測定では、実施前が 53.1km/時に対して、実施後は 46.7km/時まで落ちた。 また、子供連れの主婦が「ゆっくり走る車が多くなり、路側帯ができたので、安心して歩けるようになった」との声もある。

資料:JAF MATE 4/2002

出典:日本経済新聞・01.12.18・朝刊

参考:裏道路線における自転車の安全走行に関する例

施行前

施行後